第159話 パンケーキの上にはサクランボがのっているらしい
今日は土曜日です。
起床はいつものように5時です。今日はほんの少し眠いです。
興奮して眠れなかったんだよ。
だって、漫画が私を待ってるんだから!璃々亜になって、初めての夜更かしですよ!23時まで起きてたんだよ!……。
小学生の夜更かしか!……。はい、いつもは9時ですから。11時なんて、2時間も眠れませんでした。
さて、勉強勉強。昨日、芽維たんに教えてもらった部分の復習から。
うん、やっぱり人に教えてもらうと理解が進むわ!
都キャプテンに勉強を教えてもらう京様も、これだけ勉強はかどったのかな?
いや、だめだ。あいつら!
「この問題解けたらご褒美をあげるよ。さぁ、頑張って解いてごらん」
京様の耳元で囁く都キャプテン。都キャプテンの息が、京様の耳をくすぐる。
「あっ」
くすぐったさに、思わず首をすくめる京様。
「何?ちゃんと問題見ないとだめだよ?別のことに神経を集中させてる場合じゃないからね?」
都キャプテンの手が、京様の手に添えられる。
あああーーーーーっ。ダメダメ!
二人っきりで部屋で勉強なんて進むわけない!わけがないですよぉ!
だって、都キャプテンと京様が部屋で二人きりなんだものっ!ふふふ腐。
って、部屋で一人で勉強してる私も、勉強進んでないじゃないかっ!お、恐ろしい影響力だな、京様……。
妄想終了。テスト間近。頑張れ私。
今日は漫画っていうご褒美が待っている~るんるん。
朝食、今日はふわっふわのパンケーキ。
厚みが3センチもあろうかというパンケーキが2枚重なり、その上にはたっぷりの生クリーム。そして、サクランボがかわいらしく鎮座している。
うっふっふー。
1枚目は、生クリームを付けて食べて、2枚目にメープルシロップをたっぷりかけて食べようっ!
きゃほーい!
ナイフとフォークを手にもち、はたと気が付く。
あれ?サクランボって、上流階級ではどう食べたらいいんだろう?
指でつまんでも、マナー違反じゃない?
種とか出したら、どうすればいいの?皿の隅に置く?それとも見えないように何かに包まないとダメ?
ぐぅ、やばいわ!こういうところで、育ちの違いが出てしまう!
仕方がない。真似だ。
兄や嘉久の真似をすれば問題ないだろう。
兄に目を向ける。まずはサラダからか。知りたいのはサラダじゃないのだよっ!
食べるのが早い嘉久なら、さっさと食べるはず。今度は嘉久に目を向ける。
指でつっとサクランボの柄をつまんだ。
ほぉほぉ、流石にナイフで刺すとかしないのか。
そして、皿の隅にぽいっ。
ナイフとフォークを持って、パンケーキを切り出した。
うえええーーーーっ!
サクランボ食べないのかいっ!
それとも、最後まで取っておくの?そうなの?
「嘉久様、サクランボ……」
「サクランボがどうした?」
「食べないのですか?」
それとも、最後のお楽しみに取っておくのだろうか?
「何だ突然。いつも璃々亜も残してるじゃないか」
えーっ!
何で、マジで、どうして、璃々亜、サザエも食べなかった上に、サクランボもかよっ!
兄が、クスクスっと笑い出した。
「小さいころ、璃々亜は、その真っ赤な色が怖かったんだよな。紅ショウガをうっかり食べてしまって、サクランボも辛いと思ってたんだ」
そうなのか、小さいころの私、それは仕方がない。
小さいっていつごろかは知らないが、確かに、紅しょうがの赤とサクランボの赤はそっくりだもんなぁ。
って、白川家の紅ショウガは、色が薄かったじゃない?お好み焼きの時は食紅たっぷりカラーじゃなかったと思うけど?
どこで、真っ赤な紅ショウガを口にしたんだ、小さいときの璃々亜よ。
がしかしだ、同じ赤だからって食わず嫌いはもったいないぞぉ!
「私、サクランボを辛いなどともう思っておりませんわ!」
兄が、サクランボの話題が出たからか、サクランボの柄をつまんでパクんと食べた。
よし!手で持っても大丈夫。そして、例え私が食べ方を失敗したとしても「サクランボを食べるのが始めて」だったら不自然じゃないよね!
うむ。
兄は、サクランボの柄をペーパーナプキンの上に置いて、ペーパーナプキンを手に持ち、口を覆うようにして種を出した。
人の目に触れないように、そのままナプキンを折りたたんでテーブルの上に戻す。
よし、食べ方マスターした!オッケーオッケー。
「何だよ、急にサクランボなんてどうでもいいだろ?」
やばい。
何やら、嘉久に不審な目を向けられました。
えーっと、えーっと、えーっと、ごまかさないと。
「聞いた話なのですが……」
サクランボの豆知識を思い出すんだ。って、あれしか出てこないけどな。
「サクランボの柄の部分を、口の中で、舌を使って結ぶことができる人とできない人がいるのですって。本当かしらと思いまして……」
「はぁ?口の中で結ぶ?」
サクランボを手に取り、食べてから、兄のようにナプキンに種を出す。
そして、柄の部分を手でくるんと結び目を作り、嘉久に見せる。
「このような状態に、口の中でするのですって。嘉久様はできますか?」
嘉久は、サクランボを食べて、種を同じように出した後、柄を口の中に放り込んだ。
口元をむぐむぐとさせる嘉久。
むぐむぐ。
むぐむぐ。
……。
待っていても仕方がない。
どうやら、話題をそらすことには成功したようだ。
さぁ、サクランボの食べ方もマスターしたことだし、次はパンケーキをいただきましょう。
ごらんいただきありがとうございます。
ホットケーキにしようかパンケーキにしようか悩んで、なんとなくパンケーキの方が響きがオシャレな気がしたので、パンケーキにしたけど、
パンケーキ「甘くない、薄い、食事」
ホットケーキ「甘い、厚い、おやつ」
だそうです。でも、海外だと「ホットケーキ」って言葉はなくてすべて「パンケーキ」だそうなので、作中のパンケーキはそうだと思ってください。
ちなみに、「あんまり甘くない、厚い、食事」という立ち位置のものです。
甘さはクリームやシロップで調整する感じ。璃々亜はたっぷりです。




