閑話 田中くん視点
短いです
「お兄ちゃん、それも食べたい」
「立花もたくさんもらっただろう?」
立花には、鈴木からもらったマカロンをあげた。
中には色とりどりのマカロンがたくさん入っていたはずだ。
「だって、立花のには、オレンジ色のなかったんだもん。立花もオレンジ色のも食べたい!」
「これは、お兄ちゃんの特別な奴だから、あげられない」
「えー、お兄ちゃんのケチ!ケチ!ケチ!」
このまま泣かれたら面倒だな。こんなことなら、大事に取っておかずに、さっさと全部食べればよかったな」
仕方がない。
「あのな、立花、こっちのオレンジ色のは、苦いんだ。それでも欲しいか?」
「え?苦いの?」
ごめんな。立花。嘘ついっちゃって。
「そうだ」
「じゃぁ、立花いらなーい」
立花は、やっとオレンジ色のマカロンを諦めてくれた。
それどころか、立花は、自分の袋の中から一つマカロンを取り出した。
「苦いのかわいそうだから、立花の一つあげようか?」
小首をちょっと傾げるしぐさが、ちょっと白川に似てるなぁなんて思いながら、立花の優しさに心が痛い。
ごめん、嘘なんだよ。
苦いなんて嘘だ。
どんなお菓子よりも、僕には甘い。
落ちるのは頬っぺただけじゃないよ。
心まで溶かす甘さなんだ。
いや、だけど、苦いっていうのも完全に嘘じゃないよ。
いろいろと考えると、苦い気持ちもこみあげてくるんだ。
「ありがとう、立花。大丈夫だよ。大人になると、苦いのもおいしいと感じるようになるからね」
「あーそっか。お兄ちゃん、コーヒーも飲めるんだもんね!」
そう、苦い思いもすべて含めて、今は幸せなんだよ。立花。
あう、ついに、田中くんの気持ちが見えました!




