第144話 ボッチの皇帝はチケットが足りないらしい
今日の夕食は何かなぁ。。
昨日はカレーだったから、今日は和食かな?中華かな?
「どうぞ、焼きちゃんぽんです」
お手伝いの早間さんが、食卓に料理名を口にしながら皿を並べていく。
焼きちゃんぽん?
「ネズニーのチケットを配ることが正式に決まったが、璃々亜は使い道は決めたか?」
何それ?前世では一度も食べたことないよ?
一口サイズにカットされた、イカにエビにかまぼこ。それから豚肉。キャベツやニンジンや玉ねぎなどの野菜もたっぷりの乗っている。
箸で、麺と野菜を一緒に取り、口の中に入れる。
うわー、太麺に餡になったスープが絡んでおいしい。鶏ガラ出汁に、油はラードかな?豚肉から出た油だろうか?塩味なんだけど、ほんのり甘い。
ちゃんぽん麺もおいしいけど、餡のスープで食べる焼きちゃんぽんもすんごくおいしい!
次は、魚介類と麺を一緒に口の中へ。
エビは火が通り過ぎてなくてぷりっぷり。太麺のモチモチと合うわー。
次は、具だけで食べてみようかな。おっと、サラダとスープもあるし、ここはスープを一度飲んでから、焼きちゃんぽんに戻るべきか……。
よし、決めた!
「璃々亜、もし決まってなければ……」
はい?
「決めましたわ。次はサラダを食べます」
野菜を食べてから食事をするとダイエットになるって話を思い出したのだ。私としたことが、うっかり、焼きちゃんぽんの魅力に思わず一番に箸を伸ばしちゃったけどさ。
野菜から食べるのが正解なのよっ!
「誰が、食べる順番の話をしてる!」
嘉久がむっとした声を出す。あれ?違った?
「チケットだよ!ネズニーのチケット!」
うぐっ。
その話か。
「嘉久様は、どのようにお使いになるのですか?」
「ああ、2枚あるだろう?1枚をネズニーランド、もう1枚をネズニーシーで使えばいいと思うんだ!」
何?2枚とも自分で使う宣言しおった!まさか、まじで、ボッチで夢の国……。そ、そうですか。
流石は皇帝の名を冠するだけのことはありますね。
もしかして、嘉久は群れるのか嫌いなタイプなのかな?一人が気楽でいいって人いるもんね。
「璃々亜もそれでいいか?」
はぁ?
何で、私までボッチしなくちゃならないんだよ!
ボッチの女帝とかじゃありませんからね!あれは、縦ロールマジックだったんですから!
中学で卒業です!
「嘉久、お茶会部でネズニーの清掃技術を学ぶんだったよな?よかったな、チケットを役立てることができて」
兄の言葉に、嘉久が顔色を白くした。
「2枚チケットがあるんだ。ネズニーランドとネズニーシーのそれぞれのクリーンスタッフをお茶会部でじっくり見てくるといい」
兄が、笑っている。笑っているけれど、なんだか、見ていると凍り付きそうな笑顔だ。
あーあ。かわいそうに。嘉久、一人で回れなくなったね。お茶会部の団体でどやどや移動するんだ……。
思わず、憐憫のまなざしを向ける。
「そうだ、璃々亜も2枚チケットもらえるよな。1枚くれないか?」
兄がチッとしたうちした。
ボッチのネズニーがそんなに楽しみだったなんて……。
それとも、お茶会部で回ると、アトラクション全制覇の夢がかなえられないから必死なのかな?
1枚は、皆でネズニーに行くときに使うけれどもう1枚は使い道考えてなかったからちょうどいいや。
「ええ、構いませんわ。私のチケットを1枚、お譲り致しますわ」
「本当か?」
嘉久が、感極まって食事中にも関わらず立ち上がる。
食事の最中に立ち上がるなんて、子供ですか!
兄も、すごい形相で嘉久を睨んでいる。そうだよね。食べてる最中に立ち上がるなんてお行儀悪いよね?
って、あれ?もう食べ終わってるぞ?
「じゃ、じゃぁ、いつにする?」
いつ?
チケットの受け渡しの話か?
「月曜日にチケットを受け取ってからでしたら、いつでもよろしいですわよ?」
っていうか、毎日顔合わせてるんだから、すぐにでも渡してあげるのに。
「いつでもいいのか、GWは混むだろうから、いつがいいかな」
はい?GWは混む?
まさか、なくすといけないから、行く前日までチケットを預かっておいて欲しいとかそういうこと?
やだよー。自分のチケットなら、なくしても自業自得だけど、人のチケット預かっておくと、無くすのとこ怖いじゃんっ。
前世だって、「バスミュ」(バスケの王子様のミュージカル)のチケットとか買ったら、次に会う時にすぐにみっきゅんに渡してたんだからっ!
「嘉久様がいつ行こうが勝手ですが、チケットはいただいた翌日には、お渡しいたしますわ」
「あ、うん、いつ行こうが勝手?」
嘉久は気の抜けた返事。
「私は、まだお友達といつ行くか決めておりませんが、確かにGWは混みそうですわね」
嘉久が、すとんっと、椅子に腰を下ろした。
「友達と?」
唖然とした顔で問いてくる。
何よ、私にだって、一緒にネズニーに行く友達くらいいるんだからね!ぷんぷんっ。
「ぷっ」
え?
兄が珍しく噴き出して笑った。
「璃々亜、友達というのは、皐月さんたちのことかい?」
流石兄、分かってるね!
「ええ、そうですわ。今回は、新しくできた友達2人もお誘いしようかと思っていますの」
相原さんと相良さん、一緒に行けるといいなぁ。そういえば、小悪嬢の一件ですっかり誘うの忘れてたよっ!
にこにこして答えると、兄は、嘉久の肩をぽんぽんと叩いた。
「璃々亜と一緒に行きたかったけれど、友達と行くなら仕方ないな。楽しんでおいで」
おおそうか、兄と行くという手があったのか。ちっ。チケット嘉久にあげる約束しなけりゃよかったよ。
ん?まてよ、兄も2枚もらうんじゃないのかな?
「お兄様は、チケットはどうなさるのですか?」
「剣崎が欲しいって言うからあげる約束をしたよ」
そうなんだ。剣崎徹ってもしかしてネズニー好き?
食後のデザートを食べるころには、嘉久はすっかり肩を落とし、心なしか元気がないように見えた。
毎日生徒会の仕事の手伝いしてて疲れちゃったのかな?
いつもありがとうございます。
えー、今回の夕食のメニューはツイッターで「夕飯」で検索をかけて、その時5番目に表示されたものを採用いたしました。
焼きちゃんぽん、私も食べたことがないです。
あんかけ焼きそばみたいな味なのかなぁ?いや、ちゃんぽんめんの味あよね?
嘉久、璃々亜を誘えず玉砕。
というか、兄の鉄壁のガードにより、お茶会部も巻き込まれた。




