閑話 轟くん視点2 バスの中
本日閑話。短めです。
どうも、デブです。じゃない、轟です。
ネズニーランドへ行く日がやってきた。僕は鞄にお菓子を目いっぱい詰め込んできた。僕の存在価値って何だろうって考えた時に、やっぱり食べ物だと思うんだ。
だから、おすすめのお菓子をいっぱい持ってきた。
もちろん、自分で食べるのがメイン目的なんだけど、グループ行動するのに、自分だけ食べるなんてことはできたいからね。
分けるめに、たくさん持ってきたんだよ。
女子3人は、クラスで……いや、学校でもトップレベルの容姿の子たちだ。普段でも十分人目(主に男子生徒)を引くのに、私服姿の今日は、御そろいのふわふわのケーキみたいなスカートをはいて、とってもおいしそう。いや、いつも以上にかわいくて人の目を引き付けている。
そんな3人と同じ班だなんて、いつもは筋肉デブにさほど厳しい目を向けない男子も、デブが、デブめ、デブ野郎ときつい視線を向けてくる。
うう、これは地味に辛い。
「轟くんっ、バスの席決めよう?」
にこっとマカロンのような笑顔を鈴木さんが向けてくれた。
その隣でチョコレートクッキーのように皐月さんが微笑んでいる。
「あ、轟くん、私と隣同志ですね。よろしくお願いいたしますわ」
生クリームたっぷりのホワイトケーキのような白川さんが隣の席に決まった。
今日は僕はこの3人と一日行動を共にするんだ。
少しくらいデブだとバカにされたって構うものか。
そんな僕の耳に、衝撃的な言葉が耳に入る。
バスで、注意事項を告げる先生の声だ。
「ネズニーランドは食料品の持ち込みが禁止だ。持ってきたものは、鞄から出してバスに置いていくように」
なんだって?
せっかく皆で食べようと思って持ってきたお菓子……。それが、無駄になったというのか……。
いや、バスの中で食べよう。
ちらりと白川さんの顔を見る。
白川さんと言えば、日本有数のお嬢様だ。
コンビニで買うようなお菓子なんて食べるかな?
ちゃんとした洋菓子や和菓子じゃないと口にしないだろうか?中学の頃にもいたんだよね。
「ジャンクフード食べてるから太るんじゃね?」と蔑む目をした同級生。
「僕は、一流のパティシエが作った菓子しか口にしないからね」と自慢げに語りだす同級生。
おいしいんだけどなぁ。
特に、日本のお菓子は世界でも一二を争うほどなのに……。
ポテトチップス一つとっても、中学の時の同級生は、家の料理人がバージンオリーブを使って北海道産のジャガイモをスライスを揚げ、沖縄さんの雪塩を振った作り立てを食べていると言っていた。
「おいしいんだけどな」
ピザ味のポテチとかも……。
鞄の中から、ピザ味のポテチを取り出す。
白川さんが、すんごい目で、僕の手元を見ている。
えーっと、バスに乗り込んで3分も経たないうちにお菓子を取り出すなんて、びっくりさせちゃったかな。
袋の口を開ける。
白川さんの目が、ピザ味ポテチを見つめたまま微動だにしない。
えっと、臭いもするし迷惑だったかな?白川さんの鼻がぴくんと動いている。……。そういえば、チーズの臭いって嫌いな人は嫌いだったよなぁ……。
考えなしだった。えーっと、どうしよう。迷惑ならしまった方がいいよね。
袋の口を閉じようとしたら、白川さんの手がぴくっと動いて、ピザ味ポテトの袋に伸びた。
「え?」
「あ、あの、これは何ですの?ピザと書いてありますが、ピザではございませんわよね?」
心なしか、白川さんの顔が引きつっている気がするけれど、気のせいだろう。
「あ、これは、ピザの味のするポテトチップスなんだよ」
そうか、珍しいから凝視していたんだ。
「食べる?」
袋の口を開けて、白川さんに向ける。
白川さんの目が見開いた。驚かせちゃったかな。まさか、お嬢様にジャンクフードたるスナック菓子を進めるなんて思ってもみなかったかなぁ……。
中学の時の女子にも同じように、お菓子を食べているところを見ていた女子に「食べる?」と聞いたことがあった。その時の女子は何と言っただろう。
「デブがうつるしー、誰がだべるかよ!」「てか見苦しいから、別んとこで食べてこいや」
だったかな?今思えば、ダイエット中だったのかもしれない。僕はデリカシーなくダイエット女子の目の前でお菓子をぽりぽりしてたわけで。
あ、白川さんもダイエットとかしてたらどうしよう。
「いいんですの?ええ、ぜひいただきますわ!」
あれ?食べてくれるの?
ジャンクフードだけどいいのかな?
袋に手を入れ、ポテチをつまんで口に運ぶ白川さん。
ぽりっ、ぱりっ。
ホワイトケーキに、生クリームの薔薇が飾られたごとく、幸せそうな顔を白川さんは見せた。
なんて、おいしそうな顔をするんだろう……。
「もっと食べる?」
白川さんは、ありがとうといって、袋に手を伸ばした。
「それは、何ですの?」
別のお菓子を出すと、それにも白川さんは反応を見せる。
途中から「お菓子の写真を撮影させてくださいません?」とスマホを取り出して、お菓子の写真を取り出した。
よっぽどジャンクフードが珍しいんだろうなぁ。
それにしても……。なんて、かわいいんだろう。
差し出せば、差し出すだけ白川さんは食べた。
どれも、本当に幸せそうな顔をして食べてくれる。
なんだろう、飼い犬にエサを与えている気持ちになるのは。白川さんが、白い毛をしたポメラニアンに見えてきた。
ありがとうございます。
轟くん視点パート2です。
前回、ここまで書きたかったのですが、挫折しまして、念願かなって書くことができました。
轟くんの気持ちは恋じゃないのかしら?
っていうか、璃々亜さん、まじ、餌付けだったらしいです。犬扱いされとります。ふははははっ。




