第109話 轟くんは魅力的らしい
学校集合!バスに乗車するために、グラウンドに集合です。
「璃々亜さんかわいー!」
「芽維さんも似合う!」
私服で学校!もうそれだけで、非日常感で興奮。もちろん、それは私たちだけでなく。
「きゃぁーっ!高円寺様の私服姿が見られるなんて感激ですぅ~」
「白川生徒会長もとても素敵でしたわよ!」
「私なんて、ほら、見てくださいまし!このチェックのスカートが、会長とおそろいみたいじゃありませんこと?」
「ふふ、それを言うならば、私だって、剣崎様とおそろいのジーパンですわ!」
「ああ、私もジーパンに挑戦すればよかったですわ」
「三笠蔵はどんなお姿でしたか?」
大興奮だな。
攻略対象キャラ、どうやら嘉久と兄と剣崎徹と三笠蔵の4人で決定でよろしくて?
「おはよう。いつもと印象違うのがまた新鮮でいいね」
ふえっ!
新鮮でいいって、何でも似合うっていうよりも褒め言葉としてドキッとする。
だって、何でも似合うって言われるのって、逆に投げやりというか、適当という印象になりかねないもん。
やっぱり、分かってる男だな、田中くん!
「あ、ありがとうございます」
そうだった、田中くんも普通メン枠の攻略対象候補だった。それで5人。それから、東章子先輩が、男装麗人枠で6人目。
あと、来年か再来年に、年下後輩枠で1人か2人。それで、7~8人。転校生とか新任の先生枠、ライバル校枠とかもあるんだろうか。
うーん……。そんなに攻略対象キャラって多い?
っていうか、そもそも、本当に今上げたメンバーは攻略対象なの?
「ごきげんよう、璃々亜様、芽維様」
「「ごきげんよう、皐月さん」」
二人が揃った。服装チェック。おお、二人ともシフォンスカート加えても問題なさそうな服装だわ!
「あの、少し付き合っていただけませんか?」
二人を、校舎の女子トイレに誘う。
「も、もしよろしければ、おそろいで……」
かばんから、小さく折りたたんだシフォンスカートを取り出し二人に渡す。
「あの、それはプレゼントいたしますから、今日、身に着けなくても、よろしいのですが……」
もごもごもご。
「わー!嬉しい!璃々亜さんのかわいいって思ってたんだぁ!いいの?本当にもらっちゃって?」
芽維たんが目をきらきらさせてくれる。
こくんとうなづくと、早速スカートを装着。
「おそろいなんて嬉しいなぁ!どうかな?」
パステルグリーンのズボンに、お揃いの白のシフォンスカート。トップスは、グリーンのキャミの上から白いジッパーのパーカー姿だ。
「ちょっと待ってくださいね」
皐月さんもいつの間にかスカートを身につけ、そしてズボンのすそを私たちと同じ高さまでロールアップしていた。
「これで、私もお揃いですわね?」
ちょっと照れくさそうに笑う皐月たん、萌!
おお、まじで、3人でお・そ・ろ!
「ふふ、なんだか、アイドルグループの衣装みたいですね!」
ぎゃわっ!な、なんと恐ろしいことを言うんだ!
そりゃぁ、芽維たんはアイドル顔負けのかわいさだし、皐月たんだって美少女だよ!
……よく考えると、その二人とおそろいの服装なんて……。比べてくださいって言うようなものだったな……。
やばっ。
璃々亜も、多少は可愛いとは思うよ?
でも、このヒロイン候補の二人と並ぶほどでは……あわわわっ。
バスへ向かう途中、男子生徒のざわつく姿が目に入る。
スマホを構えて写真を撮っている姿も見える。盗撮だぞっ!と、言っても無駄なんだろうなぁ……。
よい子はまねしちゃだめだよ。写真は被写体本人の許可を取っ手から撮るものだよ?
イベント会場でレイヤーさんに声がかけられないタイミングがあるけどどうすればって?
人気レイヤーさんは、ポーズ決めたままカメラ撮影に応じてるから声がかけられない、勝手に撮影してもいいかって?
あのね、ちゃんとね正面に回って、ぺこんとお辞儀するなり、手を軽く上げるなりして合図すればレイヤーさんもどうぞとにっこり笑ってくれるよ。
それをね、横とか後ろから知らない間に撮影するのは駄目。
って、誰がコスプレやねん!
お揃いシフォンスカート色違いズボンで、そりゃコスプレっぽくなっちゃったけど、違うっての!
やめて!かわゆい芽維たんと美少女皐月たんと同じフレームに納まりたくないようっ。
っていうか、さすが芽維たん、皐月たん。人気ですな!
相模くんと轟くんと田中くんはすでに3人バスの横に集まっていた。
「おお、いいね!」
相模くんがにやっと笑った。
「並んでくれるかな?写真撮るよ」
轟くんがカメラを構えた。
ああ、写真係だもんね。
3人並んで轟くんに写真を撮ってもらう。
ふふふ、友達と仲良くおそろいの服着てる写真。これ、部屋に飾ろう!
あ、轟くんの後ろに盗撮くんがいるっ。あの角度、絶対芽維たんだけ撮ってるやろっ!
写真の端に見切れてる私の姿を想像してちょっと涙。
人気者ですね、芽維たん。
むむっ、あちらの方角では皐月たんファンと思わしき人がいますよ?
せ、せめて、3人ともフレームに収めてくれないかな?その上で、私の知らないところで、芽維たんだけとか皐月たんだけに加工してくれないかな?
カメラの角度で、分かるんだよぉ、ああ、私写ってないなって……。
ぐすんっ。
「せっかくですので、1班全員の写真も撮りませんこと?」
皐月たんの提案に、轟くんがカメラのシャッターを押してくれる人を探す。
女子3人に、轟くんと相模くんと……。
あれ?田中くんがいない。
きょろきょろすると、2年生のバスが並んでいるところで、何人かの男子生徒と一緒にいる。
野球部の先輩?という風貌の生徒2人が、田中くんに何か言うと、田中くんがこっちを見ました。
目が合ったとたんに、ふいと顔を戻して、先輩に何か言っています。
先輩が手を顔の前に上げて、頼むみたいなポーズ。田中くん、頭を横に振って無理ですのポーズ。
もう一人の先輩がごしょごしょと言っている。田中くんが、こっちを手で示して、また何か言って……。
なんだろう?
最後は大きなため息をついて、小さくうなずいていた。
?
田中くんが戻ってきたので、6人そろって写真を撮る。
その後、田中くんが申し訳なさそうに頭を下げた。
「ごめん、白川さんっ」
え?
私、何かしたかな?
「ほんの2秒でいいから、あっちを向いてくれないかな?」
え?
何だろう?
言われた方を向く。
1、2秒。
「ありがとう、本当にごめんっ!」
えーっと、何だったのだろう?
「いえ、別に謝っていただかなくても?」
訳が分からない。
「そうですか、野球部の2年がね……」
皐月さんは、何かを察したようで、悪い笑みを浮かべた。
何?
きょとんとして皐月たんの顔を見る。
バスの席、当然2人掛けなわけだ。あれ?どうやって座るの?
私、芽維たんと二人で座っていい?そうすると、皐月たんが一人になっちゃう……。ああ、だめだ。
補助席使う?あれ?そうすると横並び5人になって、1人だけ別の席になっちゃうね……。
「席、グーピーパーで決めない?」
相模くんの一言で、バスの席決め方法決定。
うん、そうだよね。それがいい。
グーを出したのは、芽維たん。
もう1人、グーを出したのは……田中くん。
そっか。
そうだよね。
ヒロイン候補と攻略対象候補が接近するイベントだったりするんだよね?
仕方ないよね……。
何だろう、ちょっと嫌だな。
私は、轟くんの隣になりました。
ネズニーまでのおよそ40分。
「食べる?移動中に食べようと思って」
轟くんが、かばんからポテチを取り出した。
きゃーっ!轟くん天使!
「これもどう?」
轟くんが、かばんからポッチーを取り出した。
きゃーっ!轟くん、マジ天使!
「口にあうかわかんないけど、よかったら、これも」
轟くんが、かばんからうまーい棒たこやき味を取り出した。
きゃーっ!轟くん、ネ申か!
はー。轟くんの隣に座れて幸せ!帰りも轟くんの隣に座りたいな。
お読みいただきありがとうございます。
時々は、芽維たんや皐月たんが男子生徒から人気があるっていう話も入れておかないと……と思いまして・・・。
それにしても、璃々亜、食べ物に釣られすぎ!
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