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宿命の再会

大都会の陽は沈み、空はすっかり薄闇に包まれている。

 その夜陰に溶け込むように、魔性使いの集団は悠然と街の上から人々を睥睨する。

 別段何も攻撃は仕掛けず、ただ不気味に夜空を飛空するばかりだ。

 敦たちは丁度都庁の外縁に待機しながら、その冥怪妖魔軍団の動静をうかがっていた。

「あの様子は、俺たちを待ち伏せしてるようだ。忍者とハンター、遅いな。北風で凍えそうだよ」やってられないと言った態度で、正義が手で顔を摩擦する。

「どうする?私たちだけで、先陣を切ってもいいけど」由美が旺盛な気概を見せる。

「いいや。魔界の魔法は強力だろうし、油断ならない。敵の特性もまるで分からないしな。全員集合するまで待とう」敦が沈思しながら冷静に言う。

「私の愛のエナジー。どこまで伝わるかな?」亜季が爛漫な口調で小首を傾げる。

 魔性使いたちは変わらず落ち着き払った挙動で、夜の闇を飛び回っている。

 マスメディアは地上から恐る恐る中継を試み、政府軍は手をこまねいて傍観しているようだ。

 またあのヒーローたちがやってくれる。

 国民も政府も、その希望に縋っているのだろう。

 そして幾時かが経過した時。

 不意に空気が裂け割れ、影狼部隊の面々が飛び出して来た。

「元気にしていたか、救国使」ジュウゾウが楽しげに口角を上げる。

 他の忍者たちも鬼気あふれる風貌で、懐かしそうに挨拶する。

「もうすぐ五人のスナイパーもやって来る。やるのはそれからだ」敦が夜空を仰ぎながら言う。

「スナイパー?そんな話は聞いてないぞ。人間のお前たちと協力するのはいいが、どこぞのネズミと手を組むつもりはない」ジュウゾウが言い捨てると、他の忍者たちも同様に拒絶する。

 敦があれこれと説得しても、彼らは俄然聞く耳を持たない。

「しょうがないなあ。じゃあとりあえず、俺たちで先に切り込むか」敦が一同に開戦の意志を告げた。

 戦いの合図を宣言する役を担ったのは正義だった。

 翔天の羽衣を装備し、さらに念には念を入れて、必殺の夢想狂銃を手に空へ舞った。

 そして、軍団に接近して大声を張り上げた。

「お〜い!魔法使いさ〜ん!お望み通り、僕たち揃って登場だよ〜!」

 突如ふざけ口調の宣戦布告を聞いた魔王軍は、拍子抜けしたように正義を目視した。

「ま、待って!始めるのは、地上に戻ってからだからね!」恐れをなした正義が、空中でバタついて騒ぐ。

 急降下する正義を追うように、軍団がひらひらと高度を下げて来る。

 敦たち、影狼忍者たちは臨戦態勢をとる。

 すると、一人のアスファルトスレスレまで降りてきた長らしい魔法使いが開口した。

「いやいや。皆さん、私ね、楽しみに待っていたんだよ。いきなりの自己紹介で何だけど、私は冥怪妖魔軍団長のプラウドと言う者なんだけどね。君たちの事はよく知ってるよ。名だたる魔王軍団を手籠めにして来た超優秀な高校生でしょ?スンゴイなあ。ホント、やる事が感動的だよねえ」

 あまりにお笑いじみた喋りに、一同は完全に腰を折られてしまった。

「あの、あんた。マジで俺たちと戦う気はあるの?」敦が当惑して問い詰める。

「勿論。そのために来たんだよ。あっ、あんたたち、影狼部隊じゃない!魔王様を裏切るとはスンゴイ度胸だね!そんなにこの子たちに惚れ込んじゃったわけ?」

 緊迫感の欠けたやり取りに、忍者たちも閉口してしまう。

「プラウド。俺は前から理解できなかった。なぜお前のような戯けた調子者が、魔王軍のリーダーなのかをな」ジュウゾウが嫌悪の目つきで腕を組む。

「ハッハッ。面白い軍団長もいるんだな。でも、何か・・・」敦はなぜか惹き込まれるようにプラウドの相貌に見入った。

「どうしたね、救国使君。私の顔に菓子粒でもくっついているのかな?」

「その見てくれ。おっさん、何か俺に顔似てないか?何だかハンサムな目鼻立ちがさ」

 そう言うと、プラウドは何処かバツが悪そうに顔を顰めた。

「そう言えば、似てなくもないけど。雰囲気がだいぶ違うなあ。それに敦はハンサムとは言えないから」正義が開けっぴろげに印象を述べる。

「まあいい。どうせ戦うために出会ったんだ。早くおっ始めようぜ」仕切り直して、敦が言い放つ。

「ワッハッハ!やる気満々だねえ。それじゃ、我々の凄さをお見せしようかな。皆の者、集まりなさい!」プラウドは号令をかけて全軍を集める。

「さあ、マジックショーの時間が始まりますよ。救国使君たち、レディOK?ヨーイ、ドーン!」

 すると忽ち、魔性使いたちは夜空に散り散りに舞い広がった。

「ではでは、まずは小手調べに、天舞浄化のロンド!」プラウドが蝶のように手を上下に動かす。

 命令が下るや、彼らは花鳥のように艶やかな所作で、空の風を意のままに操り始めた。

 そして、綺羅びやかな魔光を体内から発生させ、風に鮮やかな色彩を刷いて飾った。

 つむじ風、突風、渦巻き、かまいたち、等あらゆる形態の風を顕現させて、夜空をカラフルな狂風の荒波で覆い尽くす。

「なんて風だ。掠っただけでも吹っ飛んじゃうよ」正義がはや降参状態で縮こまる。

「冥怪妖魔軍団の魔力は魔界最強。命を捨てる覚悟で戦うしかない」ジュウゾウが唇を引き締める。

 地表で見上げる敦たちを、言わば罠にかかったウサギをあやすように、魔性使いたちが風の塊を放って来た。

 猛烈な爆風により、街中の窓ガラスが割れ飛び、車がプラモデルのように吹き飛ばされる。

 その超然とした風は、敦たち四人と忍者たちを軽々と宙空に攫い、あたかも紙吹雪のように巻き込んでしまう。

「クソッ、舐めやがって!」敦は神力を稼働させて、風に取り込まれた肢体を何とか安定させる。

 しかし他の全員は、荒風に抱き込まれたまま上空に捕縛された。

「大丈夫か!今何とかするから待ってろ!」敦が張り付いた風を神気のオーラで消し飛ばす。

 そして神光の烈弾を連発し、仲間たちに絡み付いた風の猛威を打ち払った。

「おー!これが天津神のパワーか!全く驚きだねえ!」プラウドが驚嘆しながらも嬉しそうに叫ぶ。

「ありがとう、水上君。愛の念力、繋がるかどうかやってみるわ」亜季が破邪の錫杖に愛念を込める。

「俺もやるぞ!頼むよ相棒!」正義が夢想狂銃に命運を預け、向かい撃つ。

「子供だと思って甘く見ないでよね!ボコボコにするわよ!」由美が鬼の形相で朱雀の靴を履く。

「魔法使いと忍び。どちらが優れているか、はっきりさせてやるぜ。行くぞ、野郎ども!」ジュウゾウが影狼部隊に発破をかける。

 こうして、首都圏上空は一大騒乱合戦と相成ったのだった。

 そんな中、眼下の人々は屋内に避難し、街は無人状態となっていた。

 夜空には、双方の豪放にして華麗な攻撃が目まぐるしく衝突し、技の応酬による大競演が展開された。

「やるねえ、諸君。それなら、次なる作戦に移ろうかな」プラウドが今度は両手を高く頭上に伸ばし、卵を描くようにして優雅に回した。

「ではでは!無空神牙の協奏!」

 司令が発動されると、魔性使いたちは空中に静止して、何やら祈念を呟き始めた。

 すると、敦たちの身体が突然強張り、一同はそのまま緊縛されてしまう。

「な、何の魔術を使いやがった!」ジュウゾウが動かなくなった身体に焦慮を表す。

「魔封瘴を使わせてもらったよ。君たちはもう静止物になってしまったのさ。後は降伏するまで、じっくり弄らせてもらおうかな」プラウドが痛快な笑いを響かせる。

 魔王軍団は自由を失った敦たち、忍者たちを念力で翻弄する。

 一同は抗う術なく、紙袋のように夜空にグルグルと吹き回されてしまうのだった。

「誰かー!助けてー!目が回るー!」正義が悲嘆の叫びを上げて惑乱する。

 さらに魔性使いたちは、両手から放たれる念波を使って、まるでキャッチボールをする要領で一同を投げ合う始末だ。

 華麗なパス交換よろしく、敦たちは魔王軍からいいように弄ばれる。

 それはまさに圧巻の魔力だった。

 数刻の間、プラウドたちの前に一同はオモチャのようにあしらわれていた。

 影狼部隊として修行を積んでいるため、ダメージ耐性のある忍者たちはしっかりと意志を保っているが、まだまだ経験値の低い正義、亜季、由美は既に意識を失いかけている。

「これしきの封力で、俺を抑え込めたと思うなよ」防戦しつつ敢えて敵の術策を見極めていた敦は、苦笑いしながら瞑目すると、反転して神気を捻り出した。

 その体内から湧き出る波動が魔封瘴の束縛を破り、敦は一気に身体を解放してしまう。

 そして、大将のプラウドと相対峙する。

「おっさん。あんた方の魔法の威力は分かったよ。でも、あれじゃ仲間は戦えない。他の魔法で勝負してくれないか?」

「救国使君。君は素直だ。実に裏表のない子に育ったもんだね」プラウドはなぜか安心したように微笑む。

「俺一人でまとめて戦ってもいいんだけどさ。人数が多いから、時間かかって面倒くさいんだよな」

「ハッハッハ。確かにそうだ。いいだろう。とことんまで、君たちの潜在能力をテストして見たくなったよ」

 プラウドの命令で魔性使いたちが、魔封瘴を解除した。

「さあて。盛り上がるには、どの魔法がいいかな」プラウドは口に手を当て、一人思案する。

 自由になった一同は、九死に一生を得たような面持ちで息を整える。

「僕たちじゃ敵わない。敦に任せようか?」正義が怖気づいた声で言う。

「駄目よ。私たちお側役は水上を守るのが役目だわ。私は死んでもいいから戦うわ」由美が鬼勢を発露して言い切る。

「愛の念動で、少しでも水上君を助けられればいいけど」亜季も気丈に自分の力を信じる。

「魔王軍から抜忍して、黄泉と現世の平和樹立に加勢すると約束したからには、後には引けない。まさに影狼の底力を見せる時だな」ジュウゾウが、自信ありげに鼻っ柱を撫でる。

「よし、決めたぞ。相手は最強の天津神門弟なんだからね。遠回しな演出は抜きだ。一気に勝利を確定付けてやろうじゃないか。行くぞ、百千妖魔のフルスロットル!」

 プラウドが叫ぶと、魔性使い一味がそれぞれ属性の異なる技を繰り出した。

 ある者は南極氷河が顕現したかのような絶対零度の氷雪を、ある者はマグマ噴火を彷彿させる獄炎を、さらに天空から神大な稲妻を呼び寄せる者、地上の礫片や塵芥を集め凄絶な暴風爆弾を生成する者など、各軍団員が自らの個性や特技を総動員して、圧倒的な威力を誇る魔法を現出させた。

 しかし、敦たちも決死の勇気で恐怖心を抑え、最大限の防陣を張って構える。

 すると魔性使いたちは、分散して敦たち標的に向かい降下して来た。

 敦は、軍団長プラウドと睨み合う形になった。

 正義、亜季、由美、忍者たちも分派して、持ち前の得意技で敵へ立ち会う。

 夢想狂銃を乱射して怯えと戦う正義。愛の錫杖で敵の心を浄化する亜季。真念の魔草で死闘衝迫する由美。

 そして、多種多芸な忍術を駆使して躍動するジュウゾウたち影狼忍者。

 首都の夜空に、流麗な夜景の如く壮絶なバトルが華々しく開戦した。

「救国使君。君に私が倒せますかな?」プラウドが唇を広げて尋ねる。

「当たり前だろ。俺はマンドラを倒すために戦ってるんだ。ヘボ軍団長なんかに負けるわけないさ」

 プラウドは何故か敦の心を審察しきったように納得の表情を見せる。

「何だよ。その馴れ馴れしい顔は」

「達者な高校生に育ったもんだ。期待通りのね」

「は?何でアンタに期待されなきゃなんないんだ?」

「もう話してもいいだろう。水上敦君。私、冥怪妖魔軍団長プラウドは、何と驚くなかれ。君の実の父親なんだ」

「はあ?父親?」敦は思わず吹き笑いしてしまう。

「おいおい。ジョークも休み休みにしなよ、おっさん」

「お母さんから聞いたことがあるだろう。お父さんとは、南洋県の浜辺で出会い口説かれたと」

 敦はドキリと反応する。

「な、何でそんな込み入った事まで知ってんだ?」

「私は当時野菜園をしていて、初デートではトマトたっぷりのピッツァを振る舞った、というのも聞いてないかい?」

 期せず、敦は身震いする。

「そんな。まさか」

「驚かせて済まないね。何せ、私は君が生まれる直前に失踪しているんだからね」

 全て事実だった。父親が死んだのではなく、敦の生誕前に失踪したというのは、中学に上がる時に母親から知らされた。

 でも何でだ?何で何で、コイツが・・・。

 敦は表情を、感情を失くし、脳裏が真っ白になった。馬鹿な、馬鹿な。

「し、信じない。俺は、そんな馬鹿な話・・・」

 胸が塞がり、息ができない。

 プラウドが寂寥に満ちた、いかにも子を慰める目で敦を見遣る。

「無理もないんだ、息子君。私はそもそも天津神の兵卒でな。ほんの出来心で地球に遊びに来たが、お母さんに出会い、愛してしまった。恨んでも構わないよ。これは私の蒔いた種だ。君に罪はないからね」

「天津神って!じゃあ何で魔王軍になってるんだよ!」

「説明すれば長くなるが、端的に話そう。私はかつて、天津神正規軍の将軍を務めていた。しかしある日、一人の召喚士を助けたんたが、色好みな私はその召喚士と恋仲になってしまった。しかし、その年の魔界遠征で彼女は魔王軍の捕虜になった。助けて欲しくば、天津神の将軍職を辞し、我が魔王軍に寝返れと迫られた。見捨てるわけにはいかなかったんだ。私がいなくとも天津神正規軍は安泰。ならば、魔王に隷従してでも彼女を救おうと思った。天津神の神々を裏切るのは断腸の思いだったが、それでも恋人を救いたかった。どんなに名誉を汚し屈辱を浴びても、私は彼女の命を守りたかったんだ。彼女さえ生きてくれれば、私は天津神の矛に貫かれても本望なのだ。息子君、こんな父親をどう思うかい?」プラウドは眉根を下げて憐憫の情を表す。

 敦は唇を噛み締め、押し黙った。

 やがて、顔をそむけたまま言った。

「どう思うかって。いきなりそんな馬鹿話突き付けられたって、答えられねえよ」

「そうだろうね。ごめんよ、敦君」

 名前を呼ばれて、敦の感情の糸が切れた。

「知るかよ、そんな事!倒すべき人類の敵が、魔王軍軍団長が、父親なんて信じられるかよ!いい加減にしろ、ボケナス!俺はてめえをやっつけて任務を果たすだけだ!」敦は完全に理性を無くして怒鳴り散らした。

 そして、全身に神気のオーラ発生させて戦闘態勢になる。

 プラウドも覚悟したように、魔力を身体中に放出させて対峙する。

 敦が拳を握って、烈火の如くプラウドの間合いに突撃する。

 激しいオーラの衝突が起こり、敦の拳がガッチリとプラウドの掌によって受け止められる。

 敦はいきり立ちながら、強引に拳を目一杯押し込む。

 そして、持ちこたえるプラウドに渾身の気合いで衝撃波を押しかぶせた。

 プラウドは羽虫のように大きく跳ね飛ばされ、バランスを逸する。

 そこに追い打ちをかけて、敦が対空ミサイルのように突進する。

 すぐに態勢を持ち直したプラウドは、肩を張ってそれを防がんとする。

 両者の肉体が思い切りぶつかり、相互の波動がプラズマ音を発しながら夜空を切り裂いた。

 そのまま二人は、内在する念力を放ち合い、押しつ戻りつして互角に組み合う。

「驚いたよ、敦君。魔界屈指の魔法使いである私と対等に戦うとはビックリだ」

「そっちこそ、さすが魔法使い軍団の頭領だけあるじゃんかよ」

 さらに両者は念動を強め、あたかも身体ごと燃えてしまいそうなまでに波動を増幅させる。

「どうだい、親を憎んでいるのかい?」

「当たり前だ!家族を捨てて、なおかつ天津神を裏切ったんだろう!情はかけないぜ!」

「裏切りではなく、ある意味斥候なんだがな。まあ、理解してくれなくてもいいんだ。人助けのためには致し方なかった」

 理解なんかできるか!とも思ったが、攫われた恋人の命を守るために魔王の軍門に下ったのは、確かに察するものがあった。

 忠義を守るために、無辜の人間を見殺しにはできないだろう。

「そうかい。その温情には敬服するよ。でも、俺たちを捨ててトンズラこいたのは許せねえ」

「済まない済まない。本気でそれはいつか償おうと考えてるよ。だがな、マンドラに逆らってはならないんだ。あの御人は完全無欠の生命体。地球の民の安心立命のためには、魔王に屈するしかない。さあ、敦君。私の所へいらっしゃい。また親子水入らずで暮らそうではないか」プラウドが滾る波動の中から笑い掛ける。

「あんた、魂が腐ったみたいだな」敦は蔑みの笑みを返す。

「何?私の魂が?」

「そうさ。ボロボロに腐ってんじゃねえの?」

「些か心外な発言だな」

「まるきり腰抜けだね。スパイを演じるのはいいよ。でも何で恋人を連れて、さっさと魔界から逃げないんだ?すぐに天界に還ればいいだけだろ?」

「そう容易く魔王から逃げ延びられると思うのかい?帰還途中で二人とも処刑されてしまうよ」

「やってみなきゃ分からねえだろうが!」

「もう遅い。私は魔国の信徒になってしまった。退路は絶たれている」

「とんだ負け犬め!なら、お前を倒す!」

「説得には応じてくれないようだね。やむを得まい。これは、地球人を守るためでもある。救国使君、君を処刑するしかない」

 プラウドはさらに飛躍的に魔力を高める。

 どよめく波動の巨大旋風に、ズルズルと後退する敦。

 魔力の桁が段違いで、オーラシールドを強化してもとても凌ぎきれない。

「これが、魔界最強の魔法か」

 そして刹那の後、魔法の風圧が敦を取り囲み、劈き音とともに大爆発したのだった。

 一同が何事かと、その爆音にバトルを止める。

「敦!まさか!」正義が青褪めた顔で顎を垂らす。

「水上君!大丈夫!」悲鳴を上げた亜季が手で口を覆う。

「何やってんの!死んだら承知しないわよ!」由美が悲痛な叫びを漏らす。

 夜空一面にもくもくと煤煙が漂い流れ、塵芥が地表の街路に舞い落ちていく。



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