第8話 古代レトア語の聖典
さすがに魔法使いの学校だわ。
壁は、ものの三十分で直された。
木を運んできて、打ち付けるのかと思ったら、馴染ませてる。
もう、穴があった場所さえわからない。
一時間目はつぶれたけど、二時間目は、神官服を着た人がやってきた。
いや~な予感。
あたし、神様関係とても苦手。
家が隣だから、礼拝にも行くけど。
本当は嫌い。
この時間にあたしとエリサに分厚い聖典が配られる。
中身を見て、目を回しそうになる。
なんて書いてあるか、まるでわからない。
「エリサ-シャ・フレイドル。読んでみなさい」
神官の教師は、エリサを名指しした。
この子も読めないと思うけどなぁ
ーー読んでる。
いつ習ったんだろ?
こんなに流暢に?
「ーー創世のはじめ、世界はまだ名を持たず。
大地は揺らぎ、空は閉ざされ、深き闇のみが生きていた。
闇を統べし一つ目の王、その視線は、命を石へ変え、
炎は消え、水は濁り、風は哭いた。
そのとき、精霊たちは、嘆きの円環に集い、
己が身を砕きて、一つの光を生みだしたーー
あたしは、聞き惚れてしまった。
ううん、あたしだけじゃない。
クラス中のみんなもよ。
多分、神官の教師もよ。
みんな、創世の光りの神の誕生を映像で見たわ。
だから、みんな変な顔してる
急に現実に引き戻される。
戸惑ってる。
エリサの声には、魔力があるって聞いたーー
それがこんな風に、影響するなんて。
一人の生徒が拍手をする。
それは、連鎖してクラス中の喝采に変わった。
エリサは、表情も変えず座る。
「続きをマリベル・フレイドル」
ひえっ!
「あの~ 読めません~」
クラス中は、大爆笑に変わった。
笑いの渦。
その中心にあたしがいるなんて~




