第65話 騎士、ダール
あたしは、エドガルさんと馬車で騎士団まで行った。
途中で、神殿の警備騎士に捕まった。
……モルガン家のルシアンさんに待ち伏せされてーー
本当にエドガルさんといっしょでよかったわ。
彼は、礼儀正しく「奇跡の治療士は騎士団へ行きたいと行ってます」と言って、神殿の警備騎士やルシアンさんを追い払ってくれた。
あたしは、馬車が止まるたびに、びくついていた。
銀の森を西に出て、エラドーラの町。
さらに北上してロサ小国。
そして、騎士団のある守護の森。
御者は、エドガルさんがしていた。
「本当に、自覚がないのですね。自分の価値に」
「価値って……」
「あなたには、自分で思っている以上の力があるんですよ」
「でも!! あたしにはなんの力もないわ!!」
エドガルさんは静かに言った。
「騎士団は、雑用係の俺を使ってでもあなたを迎えたいんです」
「あたしも知り合いがいるの」
あたしも大きな声を出したのが恥ずかしくなって、小声で言った。
やがて見えてきた騎士団の入り口。
たしか、ここにも結界があるんだったわ。
「大丈夫。前もって連絡をいれてあるから」
見た顔が出迎えに来てくれた。
ダルウィン・フレイドル。
ダール、エリサの従兄であたしの……気になってる人……
内緒ね。
二年前に騎士団に入ってしまって寂しかった。
でも、谷を継ぐ必要も、魔法の力も受け継がなかった彼は、騎士になる道を選んだ。
「マリベル」
「ダール」




