第60話 ルシアンさん再び
それから十日くらいたった日ーー
レフさまが、金髪の男の人を連れてやってきた。
「マリベル、元気にしてるか?」
レフさまは見たこともないような、優しい顔であたしに手紙を渡してきた。
「サントスのロブからだ」
とうさんーー
手紙が書けるくらいに回復したのね。
あたしは、嬉しくてその場で封を切る。
ーーとうさんの手紙。
元気かということ。
今はデュ-ル谷へ帰っていると聞いてること。
……それから何があっても、お前はカナと俺の娘だーーで締め括られていた。
珍しいな……とうさんがこんなことを書いてくるなんて。
「ロブはなんて言ってきたんだ?」
あたしの浮かない顔を見て、レフさまは奇妙に思ったんじゃないかしら。
あたしは、作り笑顔で答える。
「治療士見習いのお前に、火竜さまのお世話ができるのか心配してるんです」
レフさまは真顔で言った。
「それは嘘だろ」
即答過ぎるわ!! レフさま。
「奇跡の治癒士なんだから、そんな心配するわけがないだろ!!」
この人、確かサントスで……
ーーあたしの親戚って言ってた人。
「ルシアン、おまえがどうしても、マリベルに会いたいと言うから連れてきたが。……ここは、傷ついた火竜の静養先だ。静かにしないなら、骨も残らんぞ」
レフさまが凄むと、ルシアンさんは大人しくなった。
そりゃ、パーシアが本気を出せば、人間なんて骨も残らないわ。
「そ、それより、かティアの娘」
「かあさんは、カナですから」
「もう、わかってるんだよ、このレフィニール・フレイドルが、カティアをこの谷に連れて、鍛冶士と結婚したのは」
前にアリシアさまと聞いた話しと同じーー
「その奇跡の力は、我が家の復興のために使うんだ!」
レフさまがルシアンさんの頭にげんこつ。
ごつん!!
痛そうな音。
レフさまは、眉をつり上げて言った。
「マリベルは、間違えなくロブとカナの娘だーーマリベルの力を変なことに利用したら、神殿に訴えるぞ」
レフさまがあたしのために本気で怒ってくれた。




