第53話 火竜の治療
どおりで、人間の枠からはみ出すわけね~ ピク草って……手術の必要な患者さんにほんの少し、飲ませる毒ーー
「竜には、滋養強壮と睡眠剤になるのですって」
エリサは、そう言いながらパーシアにピク草を渡している。
人型のパーシアは、若い葉の部分をムシャムシャと食べ始めた。
「とうさまの鍛冶場まで行きましょうか」
やがて、意識の失くなったパーシアを、あたしたちは三人がかりでレフさまの鍛冶場まで運んだ。
上を見る。
結界は、綺麗に直っていた。
パーシアを休憩室に横たえる。
よく見ると、破片の刺さった手は、黒ずんでいた。
とうさんやレフさまの症状と同じ!?
なぜーー
結界が古いから?
あたしは、アリシアさまが治療士の勉強をしたことがあるというので、そばについてもらった。
慎重に、破片を抜く。
小さく見えるけど、本当はこの二十倍ぐらい大きいはず……
パーシアが人型になってるから、傷も小さく見えるけどーー
問題は黒ずんで、ただれた皮膚。
私の力でなんとかなるのだろうか?
エリサが、村から癒しの泉の水を汲んできてくれた。
あたしは、包帯を巻きながら、パーシアの傷の完治を祈った。
一通り終わると、アリシアさまが礼を言ってくれた。
「マリベル、うちのお転婆娘の後始末を押し付けてごめんなさいね」
「大丈夫です。アリシアさま」
ーーそういえば、
「アリシアさま? さっき、パーシアがエリサのことをちがう呼び方してませんでしたか?」
「あら、耳がいいのね。エル・セレシアは、エリサの真名よ。名づけ親がパーシアなの」
竜が名づけ親ですって~??




