第44話 夢の中
その夜ーー
あたしは、疲れてルチアさんよりも早く眠ってしまった。
暗い、暗い、闇の中。
一人の女の人が立っていた。
あたしを見ている。
もう、お年の人だ。
でも、谷の長老よりもずっと背筋が伸びていて、立ち姿が綺麗。
あたしに手招きをする。
女の人の方へ歩く。
女の人は、大きな鱗を持っていた。
何か言ってる
わからない……
でも、とても嬉しそうなのは伝わる。
この人もしかしてーー
「マーラさん?」
たぶんそうよ。デュール谷の火竜も人型を取ることがあると聞いたわ。
黒髪の女性は、涙を流して頷く。
『あなたの治してくれた鱗から、周辺の鱗がどんどん浄化されていくわ
ありがとう』
何か言ってるーー
『……わからないのね』
マーラさんは、残念そう。
でも、あたしに綺麗な暗緑色の鱗を渡してくれた。
朝、目覚めるとーー暗緑色の鱗は確かにあたしの手の中にあった。
あたしは、それを握りしめて胸にあてた。
なぜだかそうしないといけない気がしてーー
そうすると不思議。
手の中の鱗が消えてしまったの。
「どうしたの? マリベル」
「ルチアさん、えっとですね~ 地下の地竜さんのことは……」
ルチアさんは、最後まで言わせてくれなかった。
「あの地竜のことは、治療棟でも特別な人しか知らないのよ」
そうなのね~
午後ーー
ジェド氏が、治療棟にやってきた。
「マリィちゃん、ボクは今日銀の森へ帰るから」
と言って、子供用の古代レトア語の絵本を持ってきた。
「急ですね」
「エリちゃんが、エラドーラに行ったでしょ?」
エラドーラは、銀の森と隣接してる町だわ。
まさかーー
「ティランが、早く帰りたがってるんだ」
やっぱりだわ~~




