第42話 地竜
「……暗いから、気をつけて」
ジェド氏は、階段を下りていく前に、松明をつけてあたしに渡してくれた。
階段を下りていく。
途中で、ニ、三段踏み外す。
「大丈夫? マリィちゃん」
「はい、いえ……ちょっと」
「怖いかい?」
「かなり……」
ジェド氏は、吹き出して笑った。
「面白いくらい、普通の子だね」
普通で、どこがいけないのかしら?
こんな真っ暗闇の中に来たら、誰だって……
ーー何かいるわ。
ーー気配があるもの。
あたしは、松明を大きく回して地下の様子を探った。
ーーある一点が光ったの。
……同時に白く濁った目と目があってしまった。
ぎゃー!!
ぎゃー!!
ぎゃー!!
大きな蛇だわ!!
一気に視界が暗くなった。
……
……
……
次に目覚めると、あたりが少し明るくなっていた。
「マリィちゃん、大丈夫?」
「あの、あの、あの、大きな蛇と目があって~」
「落ち着いて、マリィちゃん。彼女は、マーラ。地竜だよ」
「地竜?」
どう見ても、大蛇よ。とてつもなく大きな。
「怖いなら、もう少し暗くするよって言ってる……けど?」
??
あたしは、意味がわからない。
だから聞く。
「ジェド氏は、この大蛇……いえ、地竜さんの言葉が喋ってると……?」
ジェド氏は、頷く。
「竜族は、最古の生き物だよ。魔法も、言葉も竜が発祥だよ。特に古代レトア語はね」
ジェド氏は、当たり前のように言う。
あたしには、ちっとも当たり前じゃないのに……
「マリィちゃん、こちらへ」
ジェド氏は、あたしを起き上がらせて、言った。
「怖くないから、触れてごらん」
「……はい」
あたしは、ゴクリと唾を飲み込んだ。
目の前には、大きな鱗が見える。
黒くて、周りの色と同化してるわ。
ところどころ、傷もあるみたい。
あたしは、鱗の一つに触れた。
銀色の光があたしの手から流れた。
えっ?
どうしたの?
地竜の鱗が、みるみるうちに綺麗になっていったの。




