第4話 エリサ、覗き見される
「反対よ! は・ん・た・いーー絶対に嫌」
あたしは、エリサに向かって怒鳴る。
エリサは、あたしがどうして嫌がってるのかわからない
「ねえ、リカルド? マリベルは、なぜ怒ってるのかしら?」
<お前に、お父さんを怪我させられたろうが>
私には、精霊は見えないけどーーそんな話をしていたと思うんだ。
「ロブおじさまのことは、ごめんなさい。
火竜谷の真上の結界が脆くなっていたからーーつい加減を間違えたわ」
「谷の人の生活、みんな壊しておいてーーごめんですむと思ってるの?」
あたしは、エリサの顔を見ない。
十五年の縁もこれで終わりだわ。
エリサは、アリシアさまに泣きつく。
「マリベルが、いっしょじゃなきゃ学ひ舎は、嫌よ」
「それは駄目。谷の結界を壊したお前への罰なんだもの。
マリベル、わたしからも頼むわ。エリサといっしょに学び舎に行ってくれないかしら? その代わりーーロブには会いたいときに会えるように言っておくわ」
アリシアさまにも言われてしまった。
でもーー父さんに会えるなら……
その時ーーエリサが叫んだ。
「誰よ! 今の会話聞いてたのーーリカルド追って!!」
<無理だ。向こうは、俺より上位の精霊だ。ここまで気配を消して近づいてきたんだ>
ーーそんなことってある?
エリサが声を荒げると、風が私たちの回りから引いていくのがわかった気がした。
銀の森ではーー光の神の直系の血筋。
エル・ロイル家の館。
風の奥方が、若長のもとに押し戻されていた。
<なかなか、骨のあるお嬢ちゃんでしたわ>
「ご苦労でした、リザベータ。彼女は《《ここ》》に来るんですよね?」
<はい>
銀に輝く葉の森の奥で、気持ちのよい風が吹き抜ける。




