第3話 父さんの怪我
エリサの結界破壊は、凄まじく。
火竜の棲まで穴を開けてしまった。
あたしは、ショックだったーー火竜谷で、魔法鍛冶を手伝っていた父さん巻き込まれてしまったこと……
父さんの怪我は、かなり重く。
聖地の銀の森へ運ばれて行った。
あたしの同行は、許されなかった。
ただ一人の肉親なのに。
代わりにミシャールさんが、付き添ってくれた。
どうしてーー
「ロブおじさま、大丈夫だといいわね?」
自分でやっておいて、他人事のことのように無邪気に言う。
エリサに怒りを感じる。
「あんたが、やったんでしょうが!」
「私は、結界を直しただけよ」
「ぶち壊してるわ!」
あたしは、エリサに掴みかかった。
アリシアさまが止める。
「マリベル、この子にはよく言って聞かせるわーーごめんなさい、ここはおさめて」
「だって!!」
「ロブおじさまは、大丈夫よ」
エリサは、笑顔で言った。
「銀の森からの風が、最高の治療士をつけてくれたからーーそれよりも……」
笑顔の後で、エリサの顔が曇る。
「結界の修復、どうしようかと神官さんたちが悩んでるみたい」
あたしは、まだエリサに腹を立てていたので、彼女を見なかった。
この上、精霊と話しているなんてーー
エリサは、あたしがなぜ怒っているのか理解できない。
頭上にいるらしいーーあたしには見えない精霊と話していた。
そして、結界壊しがあたしとエリサの運命を変える。
結界がなくなったことでーー谷は、安穏な地帯ではなくなる。
獣の被害に怯えなくてはならなくなる。
魔法の恩恵が、受けられなくなった。
谷にいた精霊が、逃げてしまったのだ。
罰として、エリサは、銀の森の学び舎に入れられることになった。
「直せばいいでしょう?」
「さらに被害を大きくする気なの?」
あたしが水汲みに行くとき。
谷長の館裏。
アリシアさまとエリサの会話を聞く。
「レフだって、仕事場を失ったわ」
「私は、結界を補強しようとしただけだわ」
「お前の考え方は、かなり危険なのーーだからこその、学び舎いきよ」
……そうね。
そうなるわよね。
したら、エリサが思いがけないお願いをしてる。
……この子、人に興味がないから、お願いなんてする子じゃない。
「だったら、マリベルもいっしょがいい」
結界の外からの風が、気持ちよくない。




