第34話 ティラン視点(2)
「マリベル・モルガン・フレイドルの娘と結婚? ですか? エリサじゃなくて」
「谷の姫は、やんちゃすぎる。我が家の姫に、悪影響があったらどうするんです? ティランくん」
「でも父上ーー僕は……」
「きみの気持ちは知っているつもりだよ。でも、今、サントスで、浄化治療士の娘が現れたそうだよ」
浄化治療士ーーもしこの力が銀の森で現れていたなら、聖女として祭り上げられていただろう。
古くは、エル・ロイル家の女子にも顕れた奇跡の力。
だが、その源流は聖域の女性たちにあるという。
調べれば、今は滅びた小国リリエンハイムに行き着く。
その伯爵令嬢は、強力な浄化魔法を使ったと記録されていた。
ならばーー
光の神の系譜たる我がエル・ロイル家に迎える価値は、十分にある……と父上はいう。
でも、僕は……
「ねえ、ジェド。リリエンハイムのモルガン家って、エル・ロイル家とは関係ないのですか?」
「きみが調べた
ので、間違えないよ。数百年前にとんでもない、力の令嬢がいたらしい。でもーー血の系譜としては、それから数代みられただけで。
今は、没落してるね~ 系譜の人がどこにいるかもわからない」
僕は、集めた文献に一つずつ目をやる。
その中にデュール谷の文献もあった。
デュール谷は、古くから銀の森の直轄地だ。
我が家とも関わりが深い。
五百年前の魔族との戦いで、神代の竜を召喚した。
その竜を保護してきたーー谷。
その谷の娘二人。
僕は……




