第32話 父さんと再会
ーーその夜
ルチアさんに、治療棟の最奥の部屋につれていかれた。
なにがあるんだろう?
「心を強く持ちなさい」
扉を開ける前に、ルチアさんが、言った。
扉を開けるとーー
浄化の香木の香……薄暗いろうそくの明かり……
明らかに他の患者さんと違う。
隔離された部屋ーー
薄暗い明かりの部屋にいたのは、包帯だらけの男の人だった。
でも、見覚えがある……あの肩の輪郭、右肩だけが異常に発達しているのは鍛冶の仕事のためよーーとうさん。
「ロベルト・フレイドル、起きてて大丈夫ですか?」
「巫女殿、今日はなぜか、海からの風が気持ちよくてなぁ」
「あら、海風は身体には毒なのよ」
あたしは、ルチアさんが喋ってるのを押し退けて、とうさんに抱きついた。
「とうさん!!」
「……マリベル!! いけない! 離れなさい!」
とうさんはあたしを突き飛ばした。
あたしは、信じられずとうさんを見た。
身体中包帯だらけ。
かろうじて左目だけで、あたしを見ている。
「どうして? とうさん」
あたしは、とうさんの手に触れる。
その瞬間、ものすごい熱さを感じた。
「誰と来たのだ?」
「レフさまとよ。エリサもいっしょに」
とうさんーー
二度目は、突き飛ばすことなく。
あたしの手を振りほどかなかった。
ふと、とうさんの手を見る。
レフさまとと同じように包帯が黒ずんでる。
ーーそれが、みるみるうちに薄くなっていく。
「……やはり、カティアさまのお力を受け継いでいるいらっしゃる」
「マリィ、その力は使ってはいかん」
「あたしはなにもしてないわ」
でも、とても、今までない感覚があたしの中に流れてきた。




