第31話 私にできること
あたしは、患者さんのベッドの間を歩いた。
高熱で苦しんでる小さな男の子。
爆発で片足が、吹き飛ばされている騎士。
あたしは、男の子の手を握りしめてーーあなたは大丈夫よ、頑張って。
励ます。
男の子はいつの間にか、眠っていた。
「お嬢さん、縫い物できるかい?」
喋りかけてきたのは、片足を失った騎士だった。
「はい、裁縫は得意ですよ」
「悪いなぁ、俺の服を繕ってくれないか? 爆風でズタボロになっちまって」
「わかりました」
あたしは、任務中の事故なら、新しい服の支給くらいあってもいいのに……と思ったが、口にはしなかった。
人、それぞれ、事情があるものーー
「不思議だな……君がそばにいると安心するよーー家族からも騎士団からも、見捨てられたようで悲しかったんだが」
「あ!! それ違いますよ。騎士団は、今大変なことになってるんです。きっと情報が、いってないだけです。……家族の人だって、すぐに駆けつけます」
そういうと、騎士さんは、安心して涙を流した。
「きみの言うことなら信じられる」
我ながら上手い具合に繕えたと思う。
あたしは、騎士さんに上着を掛けてあげた。
そこへ、中年の女の人と女の子が。
「エドガル!! 大丈夫かい」
「兄さん」
「かあさん、ミレア。来てくれたか」
「当たり前じゃないか。騎士団で爆発物の事故に巻き込まれたと聞いてーー心配したんだよ」
「でも、遅かったな……」
「列車が、大幅に遅れたからね」
騎士さん、よかったわ。




