第26話 初めて空を飛ぶ
夜中の内にーー荷物も持たずに、あたしとエリサ、レフさまは守護の森を出発した。
エリサは、とても禁忌なことをしてしまったみたい。
「本当におまえはーー」
「だって~ 向こうから、契約してくれって来るのよ。無下にできないでしょ?」
「おまえの場合、ほとんど、祝福精霊だ。断れ! 他の人の精霊にも興味を持つな」
「えーー!! 向こうから、挨拶に来るのよ~」
レフさまは、もう一発頭にげんこつをおみまいした。
そしてあたしを見る。
その顔は、エリサを見るときよりずっと優しくなってた。
「マリベル、エリサのお守りで大変だな。礼を言うぞ。これから行くサントスにはーーおまえの父がいるから」
初耳だった。
ずっと、銀の森で治療を受けてると思ってたわ。
「サントスの治療院のほうが、腕のいい治療士が揃っていてな」
レフさまは、優しい声で言ってくれた。
「それでだーーマリベル」
レフさまは、あたしの目を見つめる。
……嫌な予感。
「エリサのやらかしは、クライヴに任せて、我らは至急サントスへ行くことになった。
大陸の西にあるーー大神殿だ。
「あの……? レフさま」
「おまえは、ほとんど魔法にはふれてこなかったがーーことは急ぐ」
へ?
へっ?
へへぇ~?
「飛ぶぞ」
レフさまが言ったときには、あたしの足元に地面がない。
怖くて目をつぶる。
大柄なレフさまは、しっかりと私を抱き抱えてくれていた。
風の中を移動してるみたい。
レフさまの上着が風にめくれたわ。
分厚い包帯が巻かれていたーー




