わんわんが一大事
わんわん光線の秘密を蝶華から聞いた。
その内容はなんていうか、私たちがどうにかするとかそういう問題じゃなくなってきている。
移民は失せろ。そのメッセージが縦読みで書かれていた。
「星音、本当にわんとしか言えなくなったのかね?」
「くぅんわんわん」
「くぅんも言えるもん」
蝶華がお父様に私が言おうとしている事を翻訳してくれる。
「わんわん」
「移民ってこの国多いの?」
「そうだなぁ。確かに多い。最近は特に」
「わんわんわん」
「移民は来てほしくない?」
「それは人それぞれだよ。ただ、受け入れない人もいるのは確かだよ」
じゃあ、これは受け入れない人が作ったって事になるのかな。でも、これじゃあ移民だけじゃなくてここにずっと住んでいた人たちまで巻き込まれているって事になるよね。
その辺の勉強は授業でやっているけど、この国は移民に補助金を出しているから反対している人がいるのかな。
「わん」
「やっちゃダメだからやらないってなれれば良いんだけど、そうしない人もいるんだよ」
「わんわん」
「いなくなった人達の場所は分かる?」
「それがまだ分かっていない」
早く紀蝶ちゃんが戻って来て欲しいけど、場所も分かっていないんだ。
「わんわん」
「書斎に行ってくる。僕も一緒に行く」
「わんわん」
「また夕食の時に」
書斎の本で何かないか探してみる。
******
「紀蝶の事心配?」
「わんわん」
書斎に来て二人っきりになると蝶華がそんな質問を投げかけた。
そんなの心配に決まってるよ。
「……場所知ってる」
「わん⁉︎わんわん!」
「今夜、月華と待ち合わせしているんだ。一緒に行く?」
「わんわん」
行くよ。危険かもしれないけど、お友達がいなくなっているんだから私も探しに行きたい。
「じゃあ、ここで夜まで寝とく?夜中に眠くなると行けなくなっちゃうから」
「わん」
書斎で本に囲まれながら寝るって勉強の夢を見そうだけど、ここ以外誰も来ない場所ないからね。
昼間に寝ていたのバレたら怒られちゃう。
「わんわん」
「僕にとっては良い夢見れそうな場所なんだけど、星音は本って好きじゃない?」
「わん」
ここって難しい本ばかりだからあまり好きって言えない。
「でも、ぐっすり寝ちゃえば夢なんて見ないよ。それに、いやな夢見ても僕が側にいるから」
「わん」
夢見ないくらいぐっすり眠って起きたらさっぱりってなれば良いんだね。
丁度ここに来て眠くなっているからそれはできそう。
「おやすみ」
「わん」
今日の夜に備えてたくさん寝る。
おやすみ。




