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寮長

 

 壁触りたかったのに。


「星音、道開いた」


 道が空いて、少し歩くとまた行き止まり。それを何度も何度も繰り返していた。


 いつになったら出る事ができるんだろう。


「今何時なんだろう」

「さぁ?」

「そろそろ出たいんだけど」

「せめて外と連絡が取れればな」

「うん。連絡できれば良いのに」


 外に連絡できないし時間も分かんないし、どっちかでもできれば良いのに。


「誰か不審に思って探してくれていれば良いのに」

「探してるだろ。ここにつかなかったとしても」

「ここでずっといないととかないよね?」

「蝶華あたりが探してくれれば良いんだけどな。もしくは空姫」

「どうしてその二人なの?」

「寮長の連絡先知ってんのが蝶華と空姫だけなんだ」


 寮長さん。いまだに一度も見た事がないんだよね。


「寮長さんに連絡すれば良いの?」

「ああ。そうすればここからも出られるはずなんだが、俺も連絡先は知ってるけど今は連絡できないからな」

「他のみんなは知らないの?」

「知らない。俺や蝶華達が知っているのは学園の前に入る少し前に教えてもらったから」

「そうなんだ。空姫ちゃんは寮長さんの兄弟で、空姫ちゃんは蝶華のお家の使用人の家の人で、空姫ちゃんと寮長さんは兄弟だから、寮長さんも蝶華のお家の使用人の家の人って事になるから……」


 えっと、だからなんなんだっけ?


 使用人が……あれ?良く分からなくなってきた。


「いた!」

「星音ちゃん、月華様、無事でよかった」


 噂をすればってやつなのかな。


 蝶華と空姫ちゃんが助けに来てくれた。

 これでやっと元に戻れる。


 あと寮長さんも。


「ありがとうございます」

「感謝するのはこちらの方です。星姫のご令嬢を傷一つなく守ってくださったのですから」

「だからそれ僕に対する嫌味だよね?」

「そんな事はございません。許婚であるにもかかわらず、一緒にいる事すらできていない金神様に対する嫌味ではございません」

「星音と月華を探すのに協力してくれたのは感謝してるけど、一応主人にそれはなくない?」


 そういえば前に寮の部屋で聞いた記憶ある。


 空姫ちゃんと寮長さんは蝶華が使用人のお家の人達の中で選んだんだって。それに主従契約も蝶華がやっているらしい。だから、一応空姫ちゃんと寮長さんのご主人様は蝶華なんだって。


「蝶華、今何時なんだ?」

「二日目の朝だね」

「えっ」

「疲れてるでしょ。寮に帰って休も」

「うん」

「出口まで案内します」

「ありがとうございます」


 これでようやくここから出られる。それにしてもいつに間にか日付変わっていたなんて。


 ここと外の時間違っていたのかな。


「そういえば理事長」

「心配してたよ。あと感謝してたよ。この前の図書室の事」

「ありがとう」


 そこまでやっておいてくれたなんて。


「どういたしまして。それと月華、ちゃんと言っておいたよ。星音の事なら月華が守るだろうから大丈夫だって」

「そのための養子だからな」

「うん。あと、二人ともたまには会いに来いって」


 そういえば入学以来寮生活で会ってなかった気がする。

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