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死霊術士は生き還る  作者: ク抹茶
カラクリ人形編
34/143

三十三話 アウレリア

『パチパチ』


 うう、何だこの音……何かが弾けるような。


 まだ日がで始めた早朝、私は奇妙な音と共に目を覚ました。


「ユウカ様!」


 するとまだ夢見心地な私の気分を遮る様にアンナが叫んだ。


「ふえ? 何かあったの?」

「燃えています」

「……何が?」

「ここが燃えているんです!」


 ここが燃えている? それってつまり………この宿が燃えてるって事!!?


 アンナの言葉を聞いて辺りを見渡すと、私の泊まっている部屋の床から炎が噴き上げていた。


 なにこれどういう状況なの!?

 い、いやそんな事より今のこの状況をどうにかしないと。


「骸骨さん、この火を消火できる?」

「はい、ですが火元は一階のようなので私一人では」


 そっか、骸骨さんだけじゃ人前に出られないんだった。


「それじゃあ早くローブの中に!」


 それを聞いたアンナは急いで私のローブに隠れた。

 それを見た私は扉を開けて勢いよく部屋を飛び出すと、一階までの階段を降りた。


「う、うわ!」


 私が一階まで到着すると、厨房から大きな炎が上がっているのが見えた。


「嬢ちゃん逃げろ! ここは危ない!」


 すると厨房から端が焼け焦げた上着を持った宿の主が飛び出してきた。


 この人まだここにいたのか。

 もうこんなに燃え盛ってるのに。


「私が消火するので下がっていてください」

「ッ………! できるのか?」

「はい!」


 私はそう言って火元の厨房まで駆け寄った。


「骸骨さん、今だよ」

「はい、分かりました」


 私がアンナにそう囁くと、アンナは私の周りの空中にいくつか水の球を作り出すと、そこから持続的に水を放出した。


『ジュゥゥゥ』


 アンナの放つ水流は順調に火を弱めていった。


「これは………何者だ、嬢ちゃん」

「あと、もう少しで……」


 そして火元は完全に消え、真っ黒に焦げた厨房が残った。


「よし、やったね骸骨さん」

「はい!」


 それにしても何で火事が。

 ん、よく見ればここって厨房なんじゃ? という事は原因は料理かな?


「お、おい大丈夫か!」


 すると突然宿の扉を開けて三人の冒険者が入ってきた。


「あ」

「「「……あ」」」


 あれ、この人達って冒険者の……って金髪もいるのか。


「何してるんだミノ?」

「えっと、ここで火事があって………あなた達は?」

「ああ、俺達もこの建物から煙が上がっているのが見えて駆け付けたんだが……」


 ニコラッドはキョトンとしながらそう言った。

 もう二人の冒険者も私の方を見ながら固まっていた。


「もしかして、ミノが消火したのか?」

「えっと、まあそんな感じです」

「へえ、凄いな」


 ダニエルの問いに私は曖昧な返事をした。

 それを聞いたダニエルは感心しながら自分の顎に手をやった。


「だが、俺らもさっきまで強敵と戦ってたんだぜ」

「強敵ですか?」

「ああ、めちゃくちゃでけえスケルトンなんだよ。なんだったか……ミノタウロスだっけか?」


 ん? 今なんと??

 ミノタウロス? 今ミノタウロスって聞こえたような……。


「アイツの攻撃、ダニエルの盾を易々と砕いたんだよ」

「ああ、あの盾高かったんだけど……まあいいか、はは」


 ええ! 盾を砕いたって……それで今ここにいるって事はミノタウロスを倒したという事に……。

 いやいやその前に私はこの町に来てから一度もミノタウロスを召喚してないけど!?

 それじゃあこの人達が倒したミノタウロスは………はッ! まさか置き去りにしたあのミノタウロスが?

 だとしたら森から着いてきた事に……。


「そ、それは災難でしたね。あはは………」

「ま、俺にかかればあんなの楽勝よ」


 え、さっきまで強敵って言ってたじゃん。


「あなたミノタウロスにもう少しで倒される所だったじゃない。それに倒したのは私でしょ……? というか今その話題は置いておいて……ここで一体何があったの?」


 エリザは少し不満そうな顔でニコラッドにそう言った後、私の方を向いて質問した。


「いやあ実は」


 すると突然宿の主が話に割って入ってきた。


「さっき近くで物凄くでかい音が聞こえて、驚いたら間違えて手に持っていた油を火に掛けちまって……」


 宿の主は冒険者の方を向いて頭を掻きながらそう言った。


「おいおいマジかよ」

「……ちゃんと注意しなきゃね?」

「ああ、以後気をつけるよ」


 なんか今日は朝から色々あるな………ま、これで一件落着かな?

 あれでも待てよ、元々の原因はミノタウロスだから、これって結局私の所為?

 い、いやでも被害は少なく済んだし、スケルトンを置いてけぼりにすると追いかけてくるっていうのも分かったんだから、結果オーライ………かな。


「そうだミノ、俺らが倒したミノタウロス見に行くか?」

「あ、はい見たいです」


 そうだ、まだ私のミノタウロスと決まったわけでは無いし、この目で確認しなければ。


「そういえば、ミノって名前ミノタウロスの最初の部分だよな」

「へ!? あの、そそそうですね……」


 ニコラッドの突然の発言に私は声を震わせながらそう答えた。


「ん、何だ? 何で動揺してるんだ?」

「いえ、別に。何でもありませんよ……」

「……そうか。それじゃあ行くか」


 ニコラッドがそう言うと、三人の冒険者は次々に宿を出た。

 そして私達はニコラッドが倒したと言う場所まで到着した。


「あれ?」

「無くなっているわね」


 だがその場所にはミノタウロスはおろか、骨の一欠片も落ちていなかった。

 あったとすれば大きな穴が空いた壁と、壊れた盾位だった。


「ついさっきまでここに倒れていたんだがな………」


 あ、そうだった。

 私の召喚したスケルトンは倒されると消えるんだった。


「何でいなくなったんだ?」

「さ、さあ何ででしょうね?」


 それにしても何で壁を壊したんだろ? 門があるのに。

 もしかして勢いよく直線に走ってきたから壁に激突したとか?


「皆さァん!」


 そんな事を考えていると、私達の元にケイティが走ってきた。


「ご無事でしたか」

「おう。壁を破壊した奴はやったんだが、いつの間にか消えちまって跡形も」

「そんな事より、アウレリアさんが戻ってきましたよ!」


 ニコラッドの話しを遮る様にケイティは大声を発した。


「おお! 本当か!」

「お、帰ってきたのか」


 アウレリアさん? 誰だろう……。

 皆んな待ち侘びていたかの様だけど。

 ………あ、そういえばノアがまだ宿で寝てるんだった。

 朝誰もいないと心配するだろうし、もう戻るか。骸骨さんの時みたいになるかもだし。


「それじゃあ私はこれで」

「あ、待ってミノちゃん」

「はい、何ですか?」

「どうやらあなたに用事があるみたいなの。だから冒険者ギルドまで来てくれない?」


 私に用事? そのアウレリアさんが誰かも知らないんだけど、私何かしたのかな?

 でもノアの所にも行かなきゃだし………まあ暫くは起きないかな。


「分かりました」


 そうして私達は冒険者ギルドに向かった。


『ガチャ』


 ギルドの扉を開けて中に入ると、そこにはケイティと同じ服を着た見慣れない女性がいた。

 髪は草原の様な緑色で、モデルの様な体型をし、この場にいる誰よりも際立つ雰囲気を醸し出していて、何よりも先ず目を引いたのは、耳の先が細く尖っっていた事だった。


 綺麗だな……。

 あの女の人ほど胸は大きくないけど、寧ろあの人より目を引くと言うか、全体的に完成されてるって感じがする。

 いやまあ雰囲気も全然違うんだけど。この人はまるで妖精って感じが………いやあの耳ってもしかしてエルフ?

 だとしたら本当に妖精なのかな?


「あなたがユウカ? だとしたら話があるのだけど」


 え? 今この人私をユウカって。

 この町に来てから一度もその名は名乗って無い筈。一体どこで私の名前を?


「ユウカ? アウレリアさん、こいつはミノっていう名前だぞ?」

「………そう、今はそう名乗っているのね………まあいいわ。それならミノ、私について来てくれないかしら?」


 アウレリアは淡々と私にそう言った。

 その顔は無表情ではなく、どちらかと言うと見下している様な感じだった。


「は、はい」


 そして私はアウレリアに案内されて、ギルド内にある応接室の様な部屋に通された。


 な、何でこんな事に……。

 それに何で私の名前を知っているんだろう?


「あ、あのォ何で私の名前を」

「私は煩わしいのが嫌いだから単刀直入に話すわね」


 するとアウレリアは私の話しを遮って話し始めた。


「……はい」

「あなた、神都に行きなさい」

「…………え?」

書き損ねていましたが、スケルトンは倒されると消えてなくなります。

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