二十八話 初めての依頼
「朝、だね……」
昨日冒険者ギルドで登録を済ませた私達は、未だ泊まる宿がない為再度路地裏で一夜を明かした。
「はい、おはようございますユウカ様」
「ユウカおはよう」
「おはよう、二人とも」
今日はついに冒険者として初めての依頼を受ける日。
バンバン依頼を受けて、バンバン稼ぐぞ、おお!
「さて、じゃあ早速ギルドに向かおう」
「「はい」」
--冒険者ギルド--
ギルドの中にはいつもの冒険者達が雑談をしていたり、依頼を凝視したりしていた。
「お、よう、冒険者になったんだって?」
すると図体の大きい冒険者が私に話し掛けてきた。
「あ、はいそうなんです」
この人は金髪と違って優しいから好感が持てるんだよね。
初めて会った時も私を心配してくれていたし。
ただ………大きい。この人は私のスケルトンくらい身体が大きいんだよね。
「依頼を受けにきたのか………? ん、でも身分証がないぞ」
「身分証?」
「ああ、自分が冒険者だと示す証なんだが……ま、良いか。そんじゃあ冒険頑張れよ」
身分証か………確かに私が冒険者だって分かるような物持ってない。
ウゥン………受付の人に聞いてみるか。
「あの、すいません」
私は受付にいた女性に話し掛けた。
「はい。てミノさん、お待ちしていましたよ。これをどうぞ」
「これは?」
「これは冒険者であるという証です」
受付嬢はそう言って二つの首飾りを手渡した。
その首飾りを私が受け取って見てみると、それぞれにプレートがついていた。
そこには一つずつミノ、そしてエレノアという名前が彫られていた。
「これって……身分証?」
「はい、昨日冒険者登録して頂いた後に出来たので、今日お渡しする事になりましたが」
昨日のうちにこれを作ったのか……それって結構凄いんじゃ。
それにしてもこれが身分証か、プレートに名前が彫ってある。
「それでは」
「あ、どうもありがとうございました」
私はそう言うとミノの名前が彫られた首飾りを首に掛けた。
そしてもう一つの首飾りは隣にいたエレノアに手渡した。
エレノアはそれを受け取ると、自分の首に掛けた。
よし。
これで何の気兼ねなく依頼を受けられる。
さて、どんな依頼があるのかな?
私は依頼書が貼ってある掲示板を眺めて、丁度良さそうな依頼を探した。
「ねえノア、どの依頼が良いかな?」
「そうですね………やはり報酬の高い物が……」
報酬の高いか…………お、これは。
アンデッドの発生源を調査する。アンデッドの発生源を破壊する。
報酬の高い物はどれもアンデッド系だな。
まあそれもそうだよね。毎夜毎夜大量のアンデッドが壁をバンバン叩いていたら、鬱陶しくてしょうがないし。
ウゥン、でもアンデッドの発生場所には遺跡があるんだよね。
私達が遺跡の主と戦った時は骸骨さんがいたから勝てたものの、結構ギリギリだったから余りこの依頼は受けたくないな。
「ユウカ、これはどうですか?」
「ん、なになに……ウルフを狩ってほしい、報酬は一体五千オルム」
オルム? オルムって何だろう。
一体五千オルムって書いてあるくらいだからお金の単位かな?
五千オルムってどのくらいだろう。五千円……という訳ではないよね。
というかウルフってどこかで………ああそうだ、初めて冒険者とあった時に依頼達成出来なかったとか言ってたっけ?
それじゃあそれなりに手強いのかな?
まあ私達なら余裕か。
「よし、これにしよう」
「はい」
えっと確かこの紙を持っていけば依頼を受けた事になるんだっけ?
私はそんな事を考えながら依頼の紙を掲示板から取った。
依頼書が低い所にあって良かった。
………あ、そういえば依頼には一つ一つに依頼主がいるんだよね。
そんでこの依頼主は……商業ギルドって書いてある。それじゃあウルフを討伐したらその牙を商業ギルドに届ければ良いのか。
………て、ちょっと待って。これには頭意外はなるべく傷付けずにウルフを商業ギルドに届けて欲しいって書いてあるから、牙じゃなくてウルフ自体を持っていかなきゃいけ事に………ま、まあ他の依頼と比べるとそこそこ良い価格だし、頑張って持ってくるか。
そうして依頼書を持った私達は、冒険者ギルドを出て門の前まで向かった。
「よし、それじゃあ行き先は………」
私はそう言うと持っていた依頼書を見た。
だが依頼書には狩の目的地は示されてはいなかった。
「どこに行けばいいの?」
「ウルフの生息地ですか………」
「あ、ミノちゃんじゃない」
聞こえてきた声の方へ振り向くと、そこには三人の冒険者がいた。
「もしかして依頼?」
「はい………ですがその依頼の目的地が分からなくて」
「何の依頼を受けてるの?」
「ウルフの討伐です」
「「「え!」」」
私がそう言うと三人の冒険者は驚いた表情をした。
「み、ミノちゃんは凄いな……えっと、ウルフなら近くの森周辺にいたりするよ。今は朝方だからまだ行動してるかもね」
「へえ、そうなんですか………どうもありがとうございます」
私はそう言うと冒険者達と別れて町の門を出た。
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私達はロペルの町を出た後、冒険者に言われた森まで来ていた。
この森に来たのは二日ぶりかな?
ここにウルフがいたって事は、私達が森の中を進んでいた時に出会ってたかもね。
さてと、ウルフはどこにいるかな。
「私が飛んで探して来ましょうか? ユウカ」
「確かにそれならすぐ見つかりそう。頼んだよノア」
「はい、それでは」
エレノアはそう言うと、浮遊しながら森の中に入っていった。
ウゥン、そうなると私はここで待っていた方が良さそうだね。
その間何をしていようか……あ、そういえば依頼主の商業ギルドがどこにあるのか私知らないじゃん。
「ユウカ様」
私が考え込んでいると、突然アンナが話しかけながらローブの中から出てきた。
「あ、骸骨さ……ってその仮面」
ローブの中から出てきたアンナは、遺跡の主の仮面を着けていた。
「ああ、これですか? ユウカ様のローブの中にいる間この仮面を調べていまして」
骸骨さんローブの中でそんな事してたのか。
それにしても骸骨さんの姿………やっぱりホラーだな。
「それで、どうかしたの?」
「いえ、ユウカ様は商業ギルドの場所をご存知無いのではと思いまして」
「あ、うん知らない」
「………どうしますか?」
どうするって言ったって………ウゥン。
やっぱりあの冒険者達か受付の人に聞いてみるしかないかな。
「誰かに聞くしか」
「ユウカ!」
私がそう言いかけると、いきなりエレノアが森の中から現れた。
「ノア、どうしたの?」
「ウルフです、誘き寄せてきました」
え!? という事は今からウルフが来るの!?
スケルトンを出して迎え撃たなきゃ。
私はエレノアが出てきた森の方を向いてスケルトンを数十体召喚した。
『ガウッ!』
すると突然森の中から三体のウルフが姿を現した。
そのウルフ達は勢いよくそれぞれのスケルトンに飛び掛かった。
『ガルルル』
そして飛び掛かったウルフ達はスケルトンの肩に噛み付いたまま、しがみついた。
「おお、これがウルフ」
ウルフっていうからもしかしてと思ったけど、やっぱり元の世界にいた狼そっくりだ。
いやいやそうじゃなくて、コイツらをどうにかしないと。
まずはしがみついてるウルフを引き剥がして………いや、このままコイツらを離さないようにすれば確実に頭を狙える。
私はそう考え、ウルフがしがみついてるスケルトンに命令した。
するとスケルトンはウルフを両手で掴んで逃れなくした。
「よし!」
「おお、凄いですユウカ」
ウルフが最初に飛び掛かって離さなかったから楽に捕まえられた。
後はコイツらを倒せば。でもスケルトンの攻撃じゃ力が強すぎて変な事になりそうだから、骸骨さんに頼むか。
「骸骨さん、トドメを」
「分かりました、お任せ下さいユウカ様」
アンナはそういうと、ウルフの頭上から風の刃を放った。
『バシュッ………ボトッ』
風の刃は勢いよく三匹のウルフに当たり、首を落とした。
お、おお……グロテスクだなァ。
ウルフを討伐できたのは良いけど、この状態で依頼は達成なのかな?
まあ頭意外はなるべく傷付けずにって書いてあったから大丈夫か。
「これってこのまま町に持って帰るのか……血とか道端に垂れて……え」
そう言いながら私がウルフに近づこうとしたその時、首の無い三匹のウルフからそれぞれ魂が出てきた。
「ユウカ?」
「ああ、ちょっと魂が」
そしてその魂は真っ先に私の方へ向かってきた。




