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死霊術士は生き還る  作者: ク抹茶
カラクリ人形編
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二十二話 少しの懸念

 私達は五日間森の中を走っていた。

 ひたすら続く木々を通り抜け、たまに見かける遺跡を横目に。


「まだ着かないの? 骸骨さん」

「もう少しだと思うんですが……」


 まさかこんなに長い距離を移動するとは。

 夜は移動出来ないけど、日中はずっと走ってるから結構な距離を進んだと思うんだけどな。


「ユウカ、大丈夫ですか?」

「ああごめん、私は大丈夫だから。ノアは疲れてない?」

「私はずっと飛んでいますから大丈夫です」


 この五日間、というかノアが骸骨さんと会ってからずっと空気が悪い気がする。

 二人ともお互いに会話しないんだよね。

 私としか話そうとしないし。

 まあノアと骸骨さんはあんな事があったからお互い接しづらいのかもしれないけど。

 うゥん、アンナ、あんな事………ここは私が場を和ませるしかないよね!


「ねえねえ二人とも」

「どうかしましたか?」


 よし、私の渾身のギャグを見せる時だ。


「ええ、コホン。生まれたてのスケルトンが爆発した、ボーン……てね」


 我ながらいい出来なんじゃないかな。

 さて、二人の反応は………あれ、あんまりうけてない。


「ユウカ、急にどうしました?」


 エレノアは不安そうな顔でそう言った。


「………ハッ! あはは。面白いですね」


 アンナは何かを察したかのように笑い出した。


「あはは……すいませんでした」


 空気、さらに悪くなったかな。

 ………面白いと笑うアンナは、oh真っ白い。

 意外と良いと思うんだけどな。


「話は変わるけどさ、骸骨さんに加護を与えた時に記憶を見れなかったんだけど、なんでだと思う?」


 よし、このまま空気を切り替えよう。


「記憶、ですか?」

「ミノタウロスに人形の体が砕かれて私が気を失っている間に、ユウカは私の過去を見たのです」


 考えてみればなんであの時ノアの記憶を見れたんだろう?

 骸骨さんの時は見れなかったから加護を与える条件という訳では無さそうだけど。


「さあ、私にはさっぱり。ですがユウカ様が気になるのでしたら、私の過去の事について幾らでも聞いてください!」

「あはは、それはまたの機会に」


 というか過去で思い出したけど、私この世界に来るまでは家族以外に駄洒落言うような性格じゃ無かったんだよね。恥ずかしいって思ってただろうし。

 なんだろう、大雑把になったのかな? まあ、十数年位ノアの記憶の中にいたから大人になったのかも。

 いや、その前からも大雑把だったかな。


「ユウカ様、見えてきましたよ」


 アンナは突然止まると、私の方を見てそう言った。


「え、町が?」

「はい」


 私が少し進むと、そこには広い草原の向こうに家々が立ち並ぶ場所があった。


「おお! あれがロペル」


 よく見えないけど、前に見た国とは少し違う雰囲気だな。

 だけど、やっと町に辿り着いた。

 ここまで長かったなァ……。


「ユウカ様、少し良いですか? 町に入る前に言っておきたい事があるんですが」


 アンナはそう言うと、私が乗っているスケルトンの頭の上に乗った。


「ユウカ様のスケルトンは多くの人目を引きすぎます。ですから街の中にスケルトンを連れて行くのはあまり良い事ではないかと」


 それは確かに。

 普通に生活していて突然スケルトンが歩いてきたら腰を抜かすよね。

 それこそ冒険者になる前に私達が冒険者に狩られそうだし。


「うん、分かった。ここからは歩いて行こう」


 私はそう言って乗っているスケルトンから降りた。


 さてと………あれ、このスケルトンどうすればいいの?

 そういえば今まで召喚したスケルトンは全て壊されてたから、召喚した後の事を考えなくて良かったんだよね。

 どうしよう。スケルトン、勝手に消えないからなァ……。

 いや待てよ、そういえば一つだけ壊されていないミノタウロスのスケルトンがいたな。

 出発する時に置き去りにして来ちゃった。

 誰かを攻撃してないと良いんだけど。


「ユウカ、どうかしましたか?」

「えっとォ……ノア、このスケルトン壊してくれない?」


 エレノアは何を言っているんだと言わんばかりに眉をひそめた。


 まあそういう反応になるよね。

 でもこれ以外にどうすれば良いか分からないし。


「……もしやスケルトンの後始末が分からないのですか?」

「ああ、うん……」

「………骸骨さん、どうすれば良いのですか?」


 エレノアはしばらく考えると、アンナを見てそう言った。


「えっと、私も死霊術を使えますがユウカ様のとは大きく違うので……」


 アンナはそう言うと下を向いて落ち込んだ。


「分かりました。ユウカ、少し離れていてください」

「わかった」


 エレノアが右手を構えると、私は急いでエレノアの横まで走った。


『ドォン』


 エレノアが放った火球はスケルトンに当たって体をバラバラにした。


「おお、壊れたね」


 ノアの火球だと一発なのか……。

 それにしても荒業だったな、スケルトンの体があっちこっちに飛んでいってたし。

 スケルトン出す度にこんな事するわけにはいかないし、どうにかしないとな。


「それでは町へ行きましょうか」


 アンナはそう言って森から出ようとした。

 私はそんなアンナを見てある事に気がついた。


「あ、骸骨さんもスケルトンじゃん」

「あッ………」


 エレノアとアンナは同時に声を出して立ち止まった。


「確かにそうですね」

「わわわ私はどうしたら」


 早めに気づいて良かった。

 というか骸骨さんはただのスケルトンじゃなくて、喋るスケルトンだから余計に目を引くよね。


「取り敢えず、私のローブの中に隠れておいたら?」

「……分かりました。出来るだけバレないように気をつけます」


 そう言うとアンナは私のローブの中に入っていった。


「グヘヘ、ユウカ様」


 あ、判断を間違えたかな。


 だがアンナが隠れた位置は私のお腹辺りで、明らかに不自然だった。


 て、これじゃまるで妊婦じゃないか。

 町の人に奇異の目で見られるよ絶対。

 というかある意味スケルトンよりも目を引く格好でしょ。


「骸骨さん、それじゃ怪しまれる。後ろに回れない?」

「分かりました……」


 アンナはそう言って私の背中に移動した。

 その間エレノアは私を横目でじっと見つめていた。


 うう、視線を感じる。

 なんかやっちゃいけない事やってる気分になる。


「これで良いでしょうか?」

「うゥん、どうだろう。どう、ノア?」


 そう言うとエレノアは私の後ろ姿をまじまじと見つめた。


「いいのではないですか。バッグに見えなくもないです」

「よし、じゃあ行こうか。もう大丈夫………だよね?」


 私は辺りを見渡し懸念材料が無い事を確認すると、エレノアの方を見てそう言った。


「はい。それでは行きましょう」


 やっと町にはいれるなァ。

 というか、入る前からこれじゃあ先行きが不安だな。


 そんな事を考えながら、私達は草原の向こうに見えるロペルの町まで歩き出した。


----


 私達は広い草原を抜け、町の前まで辿り着いた。

 そしてそこには木でできたそこそこ頑丈そうな外壁があった。


「おお、立派な壁だね」

「はい、どうやらここからは入れないようです」


 まあどう見ても町の側面だしね。

 横に道が見えたからそっちから入るのかな?


「あっちの道がある所に行こう」

「はい」


 ここはどんな町なのかな? ちょっとだけワクワクする。

 異世界だし、もしかしたらエルフとかいたりして。


「ここが入り口のようですね」


 私達は開けっ放しになっている門の前まで来ると、そこから町の中を覗き込んだ。


「思ってたより発展してるなァ。まあ骸骨さんが発展してるとは言っていたけど」


 門が開けっ放しだけど、勝手に入って良いのかな?

 まあ大丈夫か。


「じゃあ入ろうか」


 そう言うと私達は門の中に足を踏み入れた。


「ちょっと、そこのお嬢ちゃん」


 すると町に入って直ぐに、見知らぬ女性に呼び止められた。


「え、あ、はい」


 なんだろう急に。

 私、何処かおかしな所でもあったかな?


「どうしたの? そんな泥だらけで」


 話しかけて来たのは小太りで気の良さそうな女性だった。

 その女性は私のローブに付いた土汚れを手で払うと、私の方を見てそう言った。


「えっと、その……」

「大丈夫? 何かあったの?」


 ど、どうしよう。

 何て言えば。森の中突き抜けて来ました何て言えないし。


「お父さんとお母さんは?」


 こ、ここは一旦逃げよう!


「し、失礼しました!」


 私はどう対応して良いか分からず、その場から逃げ出した。


「あ、ちょっと………あの子、全く表情が動かなかったわ。少し不気味ね」


----


 ここまで来れば大丈夫かな……。


 私は門の辺りから逃げ出して家の路地裏にいた。


「大丈夫ですか?」

「うん、大丈夫。少し驚いただけ」


 まさかあんなに直ぐ声を掛けられるとは。

 私の事心配してたな。まあ確かに汚れてたけど。


「やはりその姿では怪しまれますね」

「え、この姿が?」

「はい、どこからどう見ても子供ですからね」


 あ、そういえば私は少女の体だったんだ。

 だから怪しまれたのか………。

 まあ見知らぬ少女が突然現れたらそりゃ驚くよね。

 て、私はスケルトンじゃなくても目を引くじゃん。


「あれ、冒険者って子供が成れるものなのかな?」

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