二十一話 ユウカの力の謎
はあ、ちょっとだけ楽しみにしてたんだけどなァ。
………でも、まあいいか。どうせ他にも遺跡はあるし。
「ユウカ、それでどうしますか?」
ああそうだ、これからの事を考えないと。
まあ取り敢えずアンデッドはいつでもいいから、先ずは町に行きたいな。
遺跡の中でノアと約束もしたし。
「えっと、じゃあ近くに町とかある?」
「そうですね、一番近くですとロペルの町という所があります。町に何かあるんですか?」
アンナは近くの町の名前を言うと、ふとした疑問を投げかけた。
「冒険者ギルドにちょっとね」
「ユウカ、それって……」
エレノアは少しだけ目を輝かせながら私の方を向いてそう言った。
「約束したからね」
あの時ノアと冒険者になるという約束をしたからね。
まあ私自身冒険者は気になっていたし。
やっぱり異世界と言ったら冒険者ギルドだよね。
「わかりました。では目的地はロペルの町ということでいいですね、ユウカ様」
「うん。それで、そのロペルの町ってどんな所なの?」
「サレウス皇国と港町ボルムルの間に位置しているので、結構発展しているらしいです」
皇国か、どんな所なんだろう……少し気になるな。
皇国って言うぐらいだから神様を信仰している国とか?
もしかしたら実際に神様がいたりして。
「サレウス皇国って、神様がいたりするの?」
「いえ、そんな話は聞いた事がありません……ですがあの国には使徒と呼ばれる神に最も近い存在がいます。なんでも使徒は直接神と対話できるとか」
使徒か、なんかちょっとカッコいいな、神様と話せるとか………。
そういえば遺跡でスケルトンと戦った時にミノタウロスを召喚できたんだよね。
あのミノタウロスって絶対ノアの体をバラバラにしたやつだよね。
だとしたらやっぱり私は魂を吸い取っていたのか……カーラに似てるよね。
「それと使徒になると魔法を無詠唱で扱えるようになるとか」
「へェ………あれ、それってつまりノアの火球は魔法って事?」
骸骨さんは私がノアに加護を与えたと言ってたから、私は神様みたいなもんだよね………て、なんか自分で言ってて恥ずかしいな。
「はい、ですからエレノアはユウカ様の使徒という事になります」
ノアが使徒か………なんかちょっと嫌だな。
ノアとはそういう主従関係というか何というか、信者みたいな関係でありたくない。
私はふとエレノアの顔を覗き込んだが、表情には特に変化は無かった。
「私とノアはそういう関係じゃないから」
私がそう言うと、エレノアの表情は少しだけ明るくなった。
「そうですねユウカ」
うゥん、それにしても使徒か。
神様と会話が出来るんだったらカーラとも話せるのかな? 確か愛の女神だったよね。
私の力がカーラに似てるのは、私が使徒だからなのかも。
そうだとしたら私は魔術を使ってるんじゃなくて、無詠唱の魔法を使ってるのかも。
「その使徒って人に頼めば、カーラについて教えて貰えるのかな?」
「何故、カーラの事について知りたいのですか?」
エレノアは眉をひそめながら私にそう聞いた。
「いやほら、私の力ってカーラに似てる所があるから、なんか気になって」
「………ユウカはカーラとは違いますよ」
ノア、私の事を気遣ってくれてるのかな……?
でも、私は自分の力の事をもっと知りたい。その為にカーラの事も知らなければいけない。
「ありがとうノア。でも大丈夫だよ、私の個人的な興味だから」
「そう、ですか……それならいいのですが」
エレノアの表情は未だ不安そうだった。
「残念ですがユウカ様、使徒は特定の神に仕えているので全ての神と対話出来るわけではありません。サレウス皇国にカーラの使徒が居れば話を聞いて貰えるかもしれませんが………」
アンナはそう言うと、言葉を詰まらせた。
「どうかした?」
「実はサレウス皇国では善神である六大神しか信仰していないんです。カーラは邪神である為、サレウス皇国に信仰者はいない筈です」
六大神に善神か……。
そういえばノアの記憶でカーラは邪神だとノアの両親は言ってたな。
「そっか……まあ今はそんな事より、ロペルの町に行って冒険者になる方が先だからね。そのついでに私の力について調べればいいし………あれ、そういえばその町に冒険者ギルドはあるの?」
そうだ、根本的に冒険者ギルドが無ければ冒険者になれないよね。
「安心してくださいユウカ様。ロペルにはそこそこ大きいギルドがあります」
「なんだ、それなら良かったよ」
『ドン、ドン、ドン』
その音は外から突然聞こえてきた。
「この音はもしかしなくてもアンデッド達がここに入ろうとしている音だよね」
この場所ちゃんと保つかな?
そういえば最初にアンデッドと戦った時は大勢いたせいでスケルトンがやられたんだよね。
「ユウカの作った場所ですから、大丈夫ですよ」
「ありがとノア。まあ念の為にミノタウロスでも出しておくよ」
私はそう言うと拠点の外にミノタウロス一体とスケルトン数体を出した。
『ドォン』
木に挟まってないか心配だったけど、今の音からしてちゃんと戦ってるみたいだね。
「ふァァ………すいません」
するとエレノアは唐突にあくびをした。
ノア、今あくびしてた。
表情も眠たそうだし。ノアを見てたら私も眠たくなってきた。
「ユウカ様、私が起きていますので眠りに着いて構いませんよ」
「ああ、ありがとう。それじゃあその言葉に甘えさせて貰うよ」
私はそう言うと、エレノアと一緒に眠りに着いた。
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「う、うが………あ、朝か」
スケルトンで満遍なく密閉していたから、外が明るいのかも分からないな。
まあノアが少し光ってるから良かったけど。
「おはようございますユウカ様」
「おはよう骸骨さん」
本当に一晩中起きてたのか。
凄いな、私だったら絶対無理だ。
「あ、おはようございますユウカ」
「おはようノア」
エレノアはボウッとしながら挨拶をした。
「外はどうなってるの?」
「先程まで地響きが聞こえていましたが、もう音は鳴っていませんね」
だとしたらもう朝だな。
外に出てみようかな。
私は囲っていたスケルトン達を退けよとしたが、余りに密着していた為離すのが難しかった。
「あれ、離れない。外にいるミノタウロスに壊して貰うか」
私はそう言ってスケルトンの拠点をミノタウロスに持ち上げさせた。
『ズザッ』
するとミノタウロスは軽々と拠点を持ち上げると、近くに放り投げた。
『ガッ』
「おお、出られたね」
いやァ、一瞬焦った。
もう出られないのかと思っちゃったよ。
空を見るともう既に日が昇っていて、辺りにアンデッドはいなくなっていた。
そして前日には無かったへこみが、地面のそこら中にあった。
うわァ、スケルトン達頑張ったんだなァ。
て、あれ。ミノタウロス以外いなくなってる。
アンデッドに倒されちゃったかな。
「意外とミノタウロスが役に立ったね」
「はい、そこら中に穴が空いています」
ミノタウロス、恐るべし。
さてと、ロペルの町に行くか。
今日中に着くといいけど。
「二人とも、準備はいい?」
「いつでも大丈夫です」
「私も、大丈夫です」
エレノアとアンナがそう返事をすると、私は一体のスケルトンを召喚して背に乗った。
「よし、それじゃあ行こう。道案内よろしくね、骸骨さん」
「お任せを」
アンナはそう言うと私の前に行き、空中を浮遊して先行した。
それを見た私はスケルトンを走らせ、エレノアも浮遊しながらアンナに着いていった。




