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死霊術士は生き還る  作者: ク抹茶
小さな人形編
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十三話 魔眼

「それにしても、私は霊体なのにユウカに触れることが出来ます。何故なのでしょうか?」

「さあ……なんでだろ?」


 そういえば、霊体は同じ霊体か魔力でないと触れないんだっけ?

 じゃあ私も霊体で触ったとか?


「まあ、私は嬉しいですが」

「フフ、私も」


 さっきまではノアの考えていることがわかっていたけど、今はわからないなァ。

 でもノアが私に心を許したって事はわかる。

 それに結構表情豊かだったんだな。まあ敬語のままだけど、それはそれで……ぐふふ。


「あ、そういえば!」

「どうしたのですかユウカ?」

「ミノタウロスの事忘れてた!」


 長い間ノアの記憶を見ていたから、今までさっぱり忘れてた。

 というかミノタウロスは何処に……あ! スケルトンがあそこにだけ集まってる。


「ブガァッ」


「な、一体何が!」

「ああ、多分私のスケルトンがミノタウロスを倒したのかも」


 突然響いた唸り声のすぐ後に、一箇所に集まったスケルトンが私の元に戻ってきた。

 私がスケルトンのいたほうを見てみると、そこにはボロボロの身体になったミノタウロスがいた。


「……ユウカ、何か雰囲気が変わりましたね」

「そう、かな?」

「はい、少し落ち着いて見えます」

「え、そう? 私、大人っぽい? そうかあ、ついに私も大人の女性に」

「いえ、そこまでは」

「そっか……そう、か……」


 そういえば、ノアの体がバラバラになった後、スケルトンを大量に出しまくったんだっけ。

 結局最初からそうしていればよかったかも。


「ノア、なんかごめん」

「何がですか?」

「最初からたくさんスケルトンを出せば、ノアはあんな事にはならなかっただろうし」

「……別に気にしていませんよ。私は元々何処かで死のうと思っていましたから。でも、今はユウカと一緒にいられて物凄く嬉しいです」


 ううノア、私は泣けてきたよ。いや涙出ないけど。ていうか、これ前にも言ったような。


 すると倒れていたミノタウロスから突然何かが出てきた。

 ソレは真っ先に私のほうへ向かってきた。


「わわわ! なんかこっちに来る!」

「えッ!? 何が来るのですか!」


 ノアには見えていないの!?

 どうしよう、こっちに来る、どうにかしないと!


 私は周りにいたスケルトンでソレを攻撃した。

 だがスケルトンの拳はソレをすり抜けて、ただ空を切るだけだった。


 そしてソレは私のすぐ近くまで来て、スッと消えてなくなった。


「あれ、どこいった……?」

「大丈夫ですかユウカ?」

「ああ、うん」


 あれは一体何だったの?

 ミノタウロスから突然出てきて、私のほうへ近づいてきて。

 そして消えて……。


 あれ、これってどこかで……? そうだ! あの時、ノアを襲っていた男を殺した時の状況と似ている!

 でも、あの時とは違ってさっき出てきたアレの形はノアの記憶で見た私にそっくりだった。

 あそこまで禍々しくはなかったけど。


「一体どうしたのですか?」

「いやァ、ミノタウロスから何か出てきたんだけど……どっか行っちゃって」

「そうですか……ユウカが無事ならそれで良いですけど」


 うゥん……あの時もあまり気にしてなかったけど、アレってもしかして魂とかそういうのかな?

 だとしたら私は魂を吸い取っているというわけか……え、怖い。


「ユウカ、その眼!」


 エレノアは私の顔を見てそう言った。

 その顔はとても驚いていた。


「え、何?」

「眼の色が片方違います。これは……魔眼」

「魔眼、だと……」


 私に魔眼が……フッフッフ、遂に私にも魔眼が。


「ユウカ、大丈夫ですか? 体に異常はないですか?」

「え、あ、うん、別にどうとも……」


 え、なんか魔眼って危ない?

 私、危ない?


「何かまずいことでもあるの?」

「……魔眼が体にあわない事もあるそうなので」


 へえ、魔眼ってカッコいいと思ってたけど、あまり都合のいいものじゃないのか。

 私は……特に異常は無いかな?


「あ! ちなみに私の魔眼ってどんなの?」

「さあ、わかりません……?」


 うう、知りたい、私の魔眼にどんな力があるのか知りたい。

 というか、どんな魔眼かなんてどうしたら分かるんだ?

 んん、相手の死の線が見える魔眼だと予想しておこう。


「そういえば、ミノタウロスから何か出てきたとか言ってませんでしたか?」

「ああ、そうなんだよ。何というか、こう……見た目は丸に近いんだけど、形はあやふやで、青白く光ってて」

「ッ! それはきっと霊体です……おそらく。という事は、ユウカのは魔力視の魔眼ですね」


 ま、魔力視……ちょっと地味だけど、なんかカッコいい。

 ん? 魔力を見ることができるのと、霊体になんの関係があるんだ?


「霊体って魔力なの?」

「はい。ついでに言うと魂も魔力の塊です」


 へえ、だからこの魔眼で見ることができるのか。

 この世界はなんでも魔力だなァ……じゃあノアの記憶を通して見た私って結構な魔力量じゃない?


「その魔眼は私も持っていたので使い方を教えられます」

「おお……! ん、持っていた?」

「……はい、どうやら今は使えないようです」


 使えない……? ノアの体が霊体になった事と関係あるのかな?


「魔力視の魔眼に限らず、全ての魔眼は魔力を通す事で発動します」


 なるほど、なるほど。

 でも私、魔力の扱い方とか全然知らないんだよね。

 スケルトン出すときも、何となくでやってるし。


「どうやって魔眼に魔力を通すの? 私、スケルトンを出すとき全然魔力とか意識してないけど」

「そうなのですか? そうすると……ユウカ、これが見えますか?」


 エレノアはそう言って右手を私のほうへ向けた。

 すると突然、エレノアの手の周りを紫色のモヤモヤしたものが光りが漂い始めた。


「お、なんか光ってる」

「…………わかりました。ユウカはもう既に魔眼を発動させています」

「え、そうなの?」

「はい。今ユウカが見ているのは魔力ですから」


 魔眼を常時発動してたから常に魔力が見えていると。

 ああ、だから霊体のノアも見ることが出来るのか。


「これなら教える必要はありませんね」

「うん……あ! そうだ炎」

「なんですか急に?」

「私、手から炎出したいんだけど! 教えてくない?」


 そうだそうだ、忘れてた。

 ノアは手から火の玉出せるんだよね。

 フフフ。遂に私も爆裂魔法少女として一歩を踏み出すんだ!


「別に構いませんが……ユウカは私の記憶を見たのですよね? 教える必要があるのでしょうか?」

「それが、記憶を見たと言ってもノア目線だったわけじゃなくて、なんと言ったらいいのか……俯瞰して見てたって感じかな。まあ、自由に動き回れたけど、ノアが本とか読んでる時は外を眺めたり、散歩したりしてたし」

「ゆ、ユウカ……まあ、構いませんけど」


 よし、やるぞ!

 そして私は華麗なる魔導を歩み始める!


「それじゃあ先ずは何を?」

「集中して、イメージするのです。自分の魔力を、どう変化させたいか」


 ………え、それだけ?

 大事なのは想像力? まあ、それなら自信あるけど。


「わ、わかった………ふんッ」


 私は自分の手の平に火球ができるイメージをした。

 だが一切何も起こらず、魔力すら見えなかった。


「ユウカ、魔術はあまり難しくはありませんよ。特にユウカには魔眼があるのですから、習得も早いはずです」

「んん、でも見てる限り、魔力は何も変化ないし……なんか呪文とかないの?」

「魔術に詠唱はいりません、いるのは魔法です」


 へえ、そうなんだ。

 ん、だとしたら……私って魔術が使えない?

 あれ、爆裂魔法少女になれない?


「……うう」

「ゆ、ユウカ気にしないでください。ユウカは強いですから。私が補償しますから!」

「う、うう。ノアァ!」


 私はそれからしばらくノアの膝の上でうずくまっていた。

投稿が遅れてしまい申し訳ありません!


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