(31)男子たるもの
今回は日常系ギャグなお話です
悲しむ暇なんて無かった。
泣いている暇なんて無かった。
でも、悔しい。悔しくて堪らない。
「見返してやる」
そう言った僕に兄はやって見せろ、と笑った。まるで見下すように仁王立ちになって笑っていたのだ。僕は兄を強く睨みつけて唇を噛んだ。
今は駄目だ。今はまだ見返す時じゃない。
彼奴が向こうを向いた時だ。僕から興味を無くした時だ。
「今に見てろ」
僕はゆっくり立ち上がり、地面に落ちた武器を手に取った。兄の方が強い。それはそれで悔しいが認めよう。しかし不意を突けば僕だって兄に勝てるやもしれない。
そんな風に考えている僕なんて知らぬままに憎き兄が向こうを振り返る。
――――――今だ。
「うおおおおおおおおッ!」
「ほいっ」
「ぐぇっ!」
額に衝撃。
中指と親指を丸めてデコピンの構えをした兄がひひっと笑った。ぐぐっと怒りがこみ上げてきて武器を持ち額を押さえたまま兄に走り向かった時だった。
「なーにやってんのぉ!!」
甲高い女の――妹の声だ。
箒を持った妹は眉を寄せ、落ち葉集め中にサボって遊んでいた僕達兄弟を睨み付けた。
「もお、目を離すといつもそうなんだから!
箒すら持ってないじゃん! さっさと掃除なんか終わらせて遊びに行きたいんだから!」
「「へーい」」
ぷんすこ怒りながら裏庭の方へ行ってしまった妹に僕は木の棒を放り捨てて箒を拾い上げた。
兄も興が醒めたのか真面目に箒を手に取った。
サッサッと落ち葉を掃く音が静かな庭に響く中、兄と僕がにやりと笑い、箒を剣に見立てて同時に構えるまであと何秒――?
END
ちょっと男子!ちゃんと掃除してよ!
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