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短篇集50  作者: SOUYA.(シメジ)
26/37

(26)見透かされた寒さ

今回は悲恋なお話です。

 本当は寒かったからかもしれない。


『この地方は冬になるとほぼ毎日雪が降るし、春が来ても夏が来てもそれほど暖かくはならない。

 だから私がこんなに凍えているのはそのせいなのかもしれない』



「ンな訳あるか」


 パコン、と良い音を鳴らして私の頭を叩いた親戚のオジサンは書きかけの原稿用紙を取り上げた。どうやら私の肩越しに最初の方を読んでいたらしい。


 暴力反対、超痛いです。


「俺の本気はもっと痛いぞ?」


 そういう問題じゃないと思います。


 私の読書感想文を黙読したオジサンは微妙な顔をしてこちらを見た。何です、その顔は。


「お前何を読んだらこんな物悲しい感想になるんだ」


 秘密です。どうせ賞にすら選ばれないし適当に書いておけばいいんですよ。


 そう言えばオジサンは溜め息を吐いた。なんと失礼な。


「はあ~・・・、まぁお前がいいならいいけどよ」


 何なんですか、全く。


「まぁ一つ分かるのは────・・・」







 私は書きかけの原稿用紙に消しゴムを当てて擦った。

 見透かされた悔しさと気付いてもらえないどうしようもない気持ちが織り交ざって泣きそうになるがグッと堪える。


『私は寒かったからその人を好きになってしまったのだ、この一文に私はすごく共感した。この地方は寒くて寒くて、いくら暖めても孤独を感じてしまうから、作中の「私」は「彼」を好きになってしまったのだと後悔しているように感じた。

 確かに誰かと共に居ればこの寒さも少しは和らぐのかもしれない』


 私は少しシワの出来た原稿用紙を折って大学に持っていくファイルの中に入れた。明日は手袋もマフラーも耳あてもしていかなきゃ・・・また雪が降るらしいから。

 大学生にもなって何で読書感想文なんて書かなくちゃいけないんだ、と鞄を殴ってみるも手が痛くなっただけだった。


「おーい、シズク」


 オジサンが呼んでる。危なっかしい仕草で自分の子供を抱いているオジサン。・・・いや、本当に危ないな。


 ああ、でも。

 本当に寒いな。


『まぁ一つ分かるのは、お前は誰かに恋してるってこったな!』


 本当に寒くて仕方ない。


「叔父さん、頭支えないと落としますよ」


 寒い、だからこっちを見てください。

 私の恋を、暖めて下さい。




END

叶わぬ恋も届かぬ想いも一思いに燃やしちゃいましょう!


閲覧ありがとうございました

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