(25)英雄の優しさ
今回はファンタジー系のお話です
『無理だ、他を当たれ』
『ソコをナンとか!』
『執拗い奴だな、無理なものは無理だ』
『アリえねぇ! そレデも英雄かよ!』
仮面を被った男は犬耳の生えた少年にしっしっと手を振った。少年は仮面男を睨み付けて更に追い縋った。
『なぁ、ペダ。お前の知る英雄はお前の都合のいい道具か?』
『うェ……っ?』
『お前の知る英雄は何の為に権力を持ってる』
ペダと呼ばれた犬耳の少年はバツが悪そうに顔を逸らした。
そうしてポツリと呟いた。
『いつもナラ通れる道なンダ・・・』
『だからな────』
『いつもナラ問題なく通れてオッ母の見舞いに行ケルンだっ! ナノに兵士達が今日ニ限ってダメだっテ言うかラ! 今日はオッ母の手術の日なノニ!』
少しばかりイントネーションの違う言葉に仮面男は首を振って立ち上がる。自分が英雄などという名称を与えられる前だったならば快くそれに返事をして目の前の少年によく似た女性の見舞いに行っていたのに。
時は流れる。立場も変わる。
仕方ない────、
『・・・・・・今日だけだぞ』
『……っ!』
『間違えるな、今日だけだ』
『分かっテル!』
ペダは返事をすると早く! と急かして仮面男を引っ張る。
嗚呼こうやってまた無意味に権力を振り翳しては王国の馴染み連中に叱られる。そう思っていてもやはり、家族同然に育ってきたこの少年には勝てぬのだと失笑した。
『早く! 日が暮れちャウ!』
『嗚呼、分かってる』
END
この獣耳くんが大人になった時にまた分かることがあるのでしょう。
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