(24)光射す花畑にて
今回はファンタジー系ほのぼのです
『黒羽! ここで休みましょう!』
「お嬢様、走ると転b『キャアッ』……ほら言わんこっちゃない」
私は黒羽。
ミチルお嬢様の専属執事である。
今日は街に出て帽子を買いに行くと聞かなかったので護衛も少し連れてやって来たのだが、自由奔放なお嬢様の事だ。大人しく街を歩けるわけが無い。そう思った矢先、
『黒羽! 向こうから鳥の鳴き声がしたわ!』
あれよあれよと言う間にドレスを着ているとは思えないほど護衛も追いつけない速度で走り去っていったのだ。
ミチルお嬢様は体力がないのですぐに追い付いたが、本当に心臓が持たないのでやめていただきたい。
街で買った帽子を被り、休もうと言った花畑に腰を下ろしたのだった。
「お嬢様、もうすぐ帰らなければ旦那様と奥様が心配なさりますよ」
『そんなの知ってるわ。でも今日は門限を過ぎて帰るとワタクシ、決めましたもの!』
お父上に似て頑固なお人だ。
いくら説得したって聞かないだろう。
ここから少し離れた所に和菓子屋が出来たと言っていたな。あれを手土産にして言い訳するか。
愛娘を溺愛している彼らのことだ。すぐに許してくれるだろう。
『ねぇ、黒羽聞いてる?』
「何でしょう、お嬢様」
『ほら! ウサギよ! 可愛いわね』
考えに耽っている間に白いウサギがちょこんとお嬢様の後ろに座っていた。
『もしお父様が許してくれるのなら動物でも飼いたいわね!』
「ちゃんとお世話を出来るのですか?」
『し、失礼ね! ちゃんと出来るわよ!』
「これは失敬」
クスクスと笑いながらお嬢様を見るとプクリと頬をふくらませていた。
おや、機嫌を損ねてしまったようだ。
「お嬢様、拗ねないでください」
『もう、黒羽ってばいつもそうなんだから!』
そう言ってこちらを睨んでいたかと思えば何も無かったようにニコリと笑った。
『まぁその前にお父様が許してくれないわ』
お嬢様はそう言ってまたクスリと笑うと後ろにいるウサギに手を差し伸べた。
私はそれを眺めながら帰るのはいつになる事やら……と遠くを見つめたのだった。
END
典型的執事にキュンとくる作者です
閲覧ありがとうございました




