(22)絵描き少女
今回は意味怖なお話です。
一人の女の子がおりまして。
以下を少女と呼びましょう。
少女は絵を描くのが好きでした。
お世辞にも上手いとは言えないけれど絵を描いている少女はとても楽しそうでした。
だから少女の両親も友人達も微笑ましそうに絵を描く少女を眺めていました。
ある日、少女は両親に絵の具を買ってもらいました。
少女は絵の幅が広がる、と喜んでおりました。
それから何年か過ぎて少女の絵には数字の価値が付くようになりました。両親も友人達も努力が実ったのだと本人よりも喜びました。
しかし少女は絵を描くのを辞めてしまいました。
両親も友人達も驚きましたが、したいようにしなさいと少女に無理に筆を持たせるような真似はしませんでした。
それからまた何年か過ぎて少女は立派な女性に成長しました。
以下を女性と呼びましょう。
女性の両親が流行り病で亡くなりました。
女性は悲しみに暮れました。
女性の友人達は何か気の紛れるものを、と彼女にスケッチブックと絵の具を贈りました。
女性は久々に絵を描きました。
しかしそれはお世辞にも上手いとは言えませんでした。
何年ものブランクがあるのだから仕方ない、と友人達は女性を励ましました。
女性はその言葉に頷いてまた絵を描くようになりました。
そしてまた何年か過ぎて女性の絵に数字の価値が付くようになりました。
女性はしばらくそうして過ごしていましたが、何年かすると女性の絵に数字の価値が付くことはなくなりました。
それでも女性は絵を描く事をやめませんでした。
黄の絵の具が無くなりました。
買うお金はありません。
青の絵の具が無くなりました。
買うお金はありません。
赤の絵の具も無くなりました。
買うお金はありません。
庭先にキ色い花弁を揺らす花が咲いていました。
友人は透き通るようなアオい目をしていました。
自分の口から何ものも塗り潰すようなアカい液体が流れ出ました。
それから女性を見た者は居なくなりましたとさ。
END
少女は絵を描くのが好きでした。
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