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空の空  作者: lycoris
空の空の下

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89/116

暗雲

「何があったか、話してくれませんか?」

「…」

思い出せるのはあの目だけ。

あの目が。

あの目は。


「お腹、減ってませんか?」

「…。」

なんで?

減ってないのに。

「やっぱり君達は…

今用意しますね。」


「お待たせしました。

お口に合うといいですけど。」

「…」

匂いで分かった。

「もちろん毒なんて入ってないませんよ。」

それも匂いで分かる。

分かってしまう。

やはりまだ自覚が足りていない。

私は人じゃない。

そしてあの目は、さらに化物の目。

死なないためには、もう、

「…」

人ではいられない。

それでも私が生きたいのなら。

ここでタつ必要がある。

「急かさないので、食べ終わったら教えて下さい。

 2人が帰ってこない理由を。」


「…」

なんと言えばいいのだろうか。

結果から言えば、彼らはただ、ただ犬死しただけ。

私が逃してもらえた理由もハッキリとは分からない。

それをどう伝えれば私はまだここに居られるだろうか。

「…大方予想はついてますので、確証が欲しいんです。」

「狩の帰り際に、あの目に会った。

2人は多分殺された。

私はただ()()()

それだけです。」

「覚えてるのはそれだけ、って事ですか。

その『目』は何と呼ばれていました?」

その目を持つものの名は、

人形人食種、高崎綺音、

「まあ、その予想も付いていますが。

あの2人が帰ってこない、つまりその目は死神と呼ばれていませんでしか?」

頷く。

「よく、逃げられましたね。」

「…」

「大丈夫ですよ、私も逃してもらった事がありますから。」

「!」

「そんな事でここを追い出したりはしませんから。

ここはそういう者達の集まりなんですから。」

笑う浦野さんに少し安堵した。


窓が割れた。

振り返ると人が転がっていた。

見上げると人が居た。

「やっと見つけたぜ。

嬢ちゃん案内ご苦労さん。」

耳障りの悪い声。

「あなた達は!?」

「知ってどうする?

どうせここで死ぬのに。」

「マズイ!」

浦野さんがボタンを叩いた。

「安心しろよ。

全員殺してやるからよ。」

警報が鳴り響いた。


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