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エルフ、砂に生きる  作者: 初荷(ウイニィ)
砂エルフ、旅情篇

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199/202

戻った日常 ~ドワーフと女商人~

月刊砂えるふ






 ゴブリン大発生による襲撃が終息してから二日。麦畑防衛が建前であったのだが、権利者たちがどうなったかとか一々確認はしていない。こちらで分かっていることは、無事だった麦はもうじき収穫を迎えるということだけ。


 ゴブリンの死体は大量の死肉喰らい(スカベンジャー)が飛来して食い散らかしていった。そのお陰というか、残滓はスコップで集めて持ち上げられる程にまで軽量化され、ひとまとめにする手間も楽になったとか。


 魔法で幾つも穴を掘らずに済んだようで、焼却するために付きっきりで魔法で火を維持せずに済んだ。それでも火を扱うに当たっては見張らねばならなかったが、戦闘の規模からすると手間がかからなかったことは言うまでもない。




「ギルド長の魔法、キラキラして凄かったんだよ」

「あれギルド長の魔法だったんだ」

「魔法を放っているの、櫓の下から見てたけどすごかったぜ」

「ギルド長ってすんげぇ魔法使いだったんだな」


そしてギルド長の評価がうなぎのぼりである。いや今までは赤髪ショート(タマラ)の立ち回りが良すぎて、ギルド長(パスクァル)の指示前もしくは指示を出そうとする瞬間に動き出すので、その陰に隠れていただけだったのだ。


もともと実力はあったのだが、目立たなかっただけで見直されている……とは言え、それは“魔法使いとして”であって、”ギルド長として”となるにはまだ時間がかかかりそうである・




 数日も経つとオルターボットはいつもの喧騒を取り戻した。


 南の港町ギルギットからはいうに及ばず、遠くは東の王都ラスタハールからも隊商がオルターボットを訪れる。


 俺はエステルとナスリーンが来たこともありギルドに入り浸る毎日であったが、バルボーザと言えば専ら鍛冶の助っ人に呼ばれる日々だった。しかも特定の鍛冶師の専属ではなく、依頼の鍛冶が終われば次の鍜治場へ、そしてまた次へと渡り歩いているらしい。


 そして今日のバルボーザの仕事場は武具修理を主とした鍛冶屋だ。


「なんとかならねぇか?」

「ならねぇな」

「そこをなんとかしてくれよ」


しつこくごねる客にバルボーザも声が上がってしまう。


「歪んだ剣の直しなぞ出来るわけなかろう!叩いて鞘に収まるようにしても、それは形になるだけで元には戻らん!そんな剣にお主は命を預けるのか?!」


 依頼主の男もバルボーザの剣幕に押されてしまった。


「そしたらこの剣は……」


「鋳つぶして材料にするくらいだ。下取りもやってるが1㎏単価で銀貨三枚とか四枚にしかならん。値段がついているだけまだましだわい」


「えええ~この剣、金貨十枚したんだぞ!」


「馬鹿言え、盛り過ぎじゃ。精々三枚から五枚がいいとこだ」


 少しでも金額を吊り上げようとした依頼主であったが、バルボーザに一目で看破されてしまい、男はここでも怯んでしまうが、見かねた鍜治場(ここ)の主が声をかける。


 「兄さん、鉄でドワーフ相手に価格交渉するとか無謀すぎるぞ。見立ては相場通りだから、その辺であきらめな」


「くっそ!こないだの仕事で懐があったまったと思ったのに、新調したら金がなくなっちまう。昨晩、おねぇちゃん遊びをするんじゃなかった……」


「……どうするんじゃ?」


答えはとうに出ているのに、男はうじうじと言葉にできない。しばらくして男はあきらめるように剣を新調した。




 昼も過ぎその日の仕事も目途がたったころ、およそ剣に縁がないいで立ちの者が訪れた。


「バルボーザさん捜したわよ」


 かけられた声に顔を上げると、オルターボットに来た時の隊商で一緒だった女商人だった。


「依頼の仕入れで行って帰ってくるまで、いくつ鍜治場を渡り歩てるのよ!あちこち尋ね歩いたら足が疲れちゃったじゃない!」


「アンタか。そんなナリじゃそうもなろう」


 女商人の身なりは余所行きの上等なものであったが、およそ街歩きには向かない姿であった。


「仕方ないでしょ、色街の商談の帰りなんだから。旅装とか野暮ったい服なんかで行ったら舐められちゃうでしょ!まさかここまで歩かされるだなんて予想できないわよ!」


「すまんすまん。おーい、湯を頼めるか?」


鍛冶屋とはいえ客商売なので設置されてる商談用のスペースへ案内すると、汚れているようには見えないイスとテーブルを彼女の目の前で清拭して勧める。


 女商人も自身への扱いに矛を収めた。


 バルボーザは私物のティーセットを持ってくると、慣れた手つきで素朴なポットとカップの準備を始める。鍛冶屋の弟子から薬缶を受け取ると、慣れた手つきでお茶を供するまでさほど時間はかからなかった。


「今までドワーフって頑固でがさつで大酒飲みって思っていたけど、あなたって丁寧で気が利くわよね」


「なんじゃ、おだてても茶菓子は無いぞ」


「こんな鍛冶屋でお茶が出てくるだけでもびっくりなのに、お茶菓子まででてきたら私どうにかなっちゃうわ」


 そう言いつつも女商人は手を伸ばし、お茶をひと口含む。


「ん、悪くない茶葉ね。香りも及第点」


「普通の茶葉だぞ、安物でもないが。で、頼んだものは手に入ったか?」


 ”せっかちね”と女商人は軽く頬を膨らませたが、気を取り直すとポーチから(べに)を入れるような手のひら大の陶器を並べていくと、その横からバルボーザが中身を検める。


「全部持ってくるのも骨だから、少し取り分けて来たわ」


「……ふん、これだけ種類があれば要望通りの仕事ができるじゃろう」


 それらの中身はきめ細かい灰色をしたペースト状のものだった。


「見ただけで分かるの?」


「使ったことがあるものじゃからな。そこら辺の区別は見てわかるし、指でこすれば確実に判別がつく」


「ならいいわ。……要望の物がそろったからには、私の依頼を受けてもらうわよ!」


鼻息も荒い女商人の宣言に、バルボーザは息を吐きながら肩をすくめて見せた。


「ねぇ色街の仕事よ、男ならもっと嬉しそうにしなさいよ!しかも”嬢”の私室に入れる機会なんてまずないんだから!」


「男が全員、女遊びに目の色を変えるわけではないんじゃがなぁ……」


 女商人、ドワーフ男に娼館での仕事を持ってきた。




 夜の色街にはある種の魔法がかかっている。町全体にかけられた大仕掛けの魔法だ。娼館ごとにかけられた雰囲気のある照明魔法だけではない。セイレーンもかくやといった女たちの声。その声に振り返ろうものなら、零れ落ちそうな胸元をあけた衣装に艶のある紅を引いた女が手招きする。


 そしてその魔法に抵抗(レジスト)出来なかった(しなかった)男たちは、彼女らの巣へ誘われるのであった。


 そんな色町も日の光の下では、その正体を現す。酔っ払いが汚した道は掃除され、散らかった店の周りは整理される。


 店の中も同様だ。そこで暮らす者たちがいる以上、掃除・洗濯・炊事は一日足りとて欠かさぬ日課である。身を清めるのも客が帰ったこの時間帯だ。


 足りないものがあれば買わねばならない。商人が御用聞きに出入りし、様々なものが持ち込まれ運び出されていく。




 日も改まった翌日の午後、女商人はバルボーザを伴い依頼先の娼館を訪れた。人の出入りも落ち着いた頃合いである。


 娼館に入ってすぐのラウンジでは、客はまず嬢と酒を酌み交わす。興が乗れば連れ立って二階の個室に場所を移すが、嬢の気分が乗らなければその限りではない。ここはそういった高級店である。もし”ヤル”だけの目的ならば、そういった店に行けばよいだけだ。


 女商人がバルボーザを連れて入ると、ラウンジで微睡んでいた数名の嬢に囲まれてしまう。


「ヴァネッサ姐さん、昨日ぶり~」

「ヴァネッサ姐さんが男連れて来たわ!」

「おひげのおじさま、ひょっとしてドワーフさんですか?」


「あんたたち邪魔!散りなさい、仕事できたんだから!オーナー、オーナー?」


 今までアンタ呼ばわりしかしていなかったが、期せずして女商人の名前が分かった。ちゃんと名前で呼んだ方がいいのか悩んだがバルボーザは先送りにした。


「なんだ騒がしい。ああ、ヴァネッサか。今日はどうした」


 現れたのは腹の出た老普人の男。馴染みの付き合いのようだ。


「前にも話していた鏡の研磨できるヒトを連れて来たわ。マルレーヌの所へ上がらせて頂戴」


「ああ……鏡なんてそれなりに映れば十分だろうに。まぁあいつが自腹を切るのは自由だが……だれか案内を───」


「いいわよ。部屋は知ってるし上がらせてもらうわ」


 断りを入れたという事実が重要なのだろう。ヴァネッサはずかずかと奥へ進んでいく。


「バルボーザさん、こっちよ」


「おう……」


 勝手知ったる様子に訝しみつつも、バルボーザは道具袋を手に彼女の背を追いかける。入り組んだ通路を進んでいくと、途中途中で嬢たちとすれ違いざま気さくに挨拶を交わしていくのだが、ヴァネッサは挨拶だけにとどまらずあれこれと注文も受けていく。


「全部記憶しているのか」


「注文のこと?全部は記憶してないわ。うちのとこで常時取り扱ってるものばかりだから、質のいいものがあったら多めに仕入れるくらいね。扱いのないものを言われたら注意する程度よ。今回あなたに声をかけたのがまさにそれね。頼りにしてるわよ……っとマルレーヌ、いる~?私よ、ヴァネッサよ」


 声をかけども返事は無い。


 繰り返し呼びかけ何度目かのノックで扉がようやっと開いた。


「んあああ、ヴァネッサねぇさん、おはよ」


 扉が開くと下着姿の女性が長い髪をかき上げながら現れる。


「マルレーヌもう昼過ぎよ。昼寝……じゃなくて、二度寝?三度寝?頼まれていた鏡の研磨できるヒト連れて来たんだから、ちゃんと服を着て」


「あああ、あのかがみね」


 ヴァネッサは”ちょっと待ってて”と断りを入れて中に入る。身支度を手伝うのだろう。一瞬見えた部屋のテーブルには空になった皿とコップが見えたので、何かしら食べて寝てしまったのだろう。


 ともあれ女性の身支度だ。待機の一択しかありえず、バルボーザは手持ち無沙汰の時間を過ごす羽目となった。


「お待たせ~」


 部屋の主ではなくヴァネッサによって扉が開かれると、身なりを整えた部屋の主はソファの上でまだ眠そうにしていた。


「よろしくおねがいしますぅ」


「夕方くらいにならないとしゃんとしないから、大目に見てやってね」


 アンニュイな雰囲気で佇むマルレーヌ。普通の男ならその様子を見るだけでも見惚れるだろうが、バルボーザの視線は一顧だにせず目的のものを探し求める。


「ああ。で、依頼の鏡は?」


 朴念仁なのか仕事モードに切り替わっているのか、鼻を伸ばさなかった男にヴァネッサは意外と悪い気はしなかった。


「もうテーブルの上に用意してあるわ」


 ”ふむ”と一言、バルボーザは手袋をはめると件の鏡を検め始める。


「綺麗に使われているが、使用後とかで鏡面についた指の脂や化粧品が拭いきれていないな。これも数か月の話じゃなく、何年も使い続けた結果じゃろう」


「すぐ綺麗になる?」


「いつぞやの井戸端を覚えているか?簡単に磨くのでよければすぐできる。じゃがそうではないじゃろ?」


己の見立てをヴァネッサに伝えると、彼女も微睡んでいるマルレーヌを見やる。


「何日くらいかしら」


「預かって丸一日もかければ十分。じゃから明後日には大丈夫じゃわい」


「ええ~それじゃあお化粧できないじゃない。すっぴんでお客の前に出るのはいやよ」


 化粧なしでも十分に美しいマルレーヌなのだが、彼女にとって化粧なしで店に出るのは有り得ないことらしい。


「しかたないのう。その間ワシのを貸してやるから──」


 予め持参していた鏡を取り出し、鏡面を彼女へ向けて差し出すと、瞬間マルレーヌは覚醒し大きく目を見開いた。


「なにこれ!?鏡ってこんなハッキリと映るの?やだ、こんなとこにうっすらとシミが!やだ、お肌が!やだ、それより眉毛が眉毛が!産毛の処理も!」


 バルボーザの鏡をテーブルに据え、引き寄せた化粧箱から取り出した化粧水を手のひらに取ると、マルレーヌはぱたぱたと肌を押さえるように浸み込ませていく。


「言うほどマズい状態か?ワシには十分整っていると思うのじゃが」


「私も誤差だと思うけどねぇ」


「どうしよう……ぼさぼさ眉は整えないと恥ずかしすぎるし、産毛……顔剃りできるヒトを呼ぶにも今からじゃ……ヴァネッサ姐さん!伝手とかない?」


「無くはないけどこの時間じゃみんな塞がってると思うわ」


「えええ……じゃ、じゃあ姐さんやってくれない?自分でやるよりマシよ。ねぇお願い!」


「ちょっ何言ってるのよ。髪を結うならまだしも、ヒトの眉をやったり産毛剃りとか怖くてできないわ」


 さすがのヴァネッサも他人の顔に刃物をあてがうのは憚られるようだ。


「なんならワシがやってやろうか?」


「「え?」」


 思いもよらぬ方面から申し出がきた。


「あなた出来るの?」


「故郷にいた時は告白前の若い連中の顔やひげを整えてやったもんじゃ。どいつもこいつも贈り物を作ることばっかりに意識がいって、身なりを整えずに行ってやり直しさせられた奴を何人も助けてやったわい」


「えーと……?」

「若いムダ毛ひげもじゃドワーフを身綺麗にした、って認識でいいのかしら?」


 ドワーフ、黙って首肯する。


「どうしよう」

「わたしちょっと興味出て来たんだけど」


「ここに来るにあたって、ワシも今朝整えてきた」


 バルボーザの顔を見ると、確かに顔には産毛らしきものは残っておらず、髭の形もきれいに整い、長さもきれいに揃えられている。ドワーフ、しっかりと身支度をして高級娼館(ここ)に来ていた。


「お願いしてみようかしら」




 顔剃りをするにあたって作業しやすい高さの確保が必要だったのだが、椅子やソファでは角度も高さもドワーフが作業するには適しておらず、白羽の矢が立ったのはベッドである。


「故郷ではどうしていたのよ」


「木工が得意な奴に頼んで、それ用の椅子を作らせた。高さも角度も変えられる逸品でなぁ、作業が捗ったわい。図面の写しを貰ったはずじゃが、どこにしまったかのう」


 店に頼んで湯を沸かさせ、それとは別に水も持ってこさせる。そして店の備品である手拭いもだ。


 ベッドに仰向けで横たわっているマルレーヌは、初めての体験で落ち着きがない。


 そんな彼女をよそに、バルボーザはいつも洗顔に使っている泡立つ木の実を椀に三粒入れ、そこに湯を注ぐと筆とも刷毛とも言える棒状のもので丹念に泡立てる。


 そして枕元に立つと、たわわな胸とその谷間がどうしても視界に入るのだが、バルボーザが一枚手拭いを取り、そっと胸元に広げて隠すのをヴァネッサは見逃さなかった。


”ふーん”


「目を閉じて」


 言われるがままマルレーヌが目を閉じるのを確認すると、”刷毛”で額から順番に泡を塗布していく。目を閉じさせたので、沁みぬよう瞼をはじめ目の周りにも泡をのせる。


 そしていざ剃り始めるかと思いきや、熱湯を入れた手桶に手拭いを浸して固く絞る。ドワーフの手だ、多少の湯の熱くらいどうということはない。


 どうやらその手拭いを彼女の顔にのせるようなのだが、マルレーヌの肌はそうではない。そこはバルボーザも理解しているようで、絞った手拭いを広げて熱を程よく逃がすと、あごから頬を経由し、目元口元まで覆って温める。


 呼吸を妨げぬように鼻の穴だけを残して覆うこと暫し、程よく湯気も落ち着いてから泡を拭きながら手拭いを取り除く。


「ふぅ」


 マルレーヌも思わす息が漏れる。


「なにか意味があるのよね?」


「肌を柔らかくし、汚れを浮かし、毛穴を開かせて深剃りしやすくさせるためじゃ」


 再び顔全面に泡をのせると、ようやっと顔剃りが始まった。

 

 バルボーザは柄の長い顔剃り用の刃物を手にすると、ためらいなくマルレーヌの顔にあてがう。


 右頬左頬から始まりあごからその裏まで刃物を滑らす。口元から鼻回り、小鼻には刃を立てて軽くこする。傍目には果物の皮をむくように、泡を取り除いているふうに見える。


 目の周りや額もスルスルと刃を滑らす。閉じられた瞼も小鼻と同様泡が取り除かれる。さらには顔を横に傾けさせるとあっという間に耳介の産毛まで整えた。


 そして今回の目的である眉に取り掛かる。常日頃形は整えられているので、そこは微修正で問題なかった。


 問題の彼女が言うところの”ぼさぼさ眉”だが、梳っていくと確かに綺麗に流れてはいなかった。これを切り過ぎてしまうと、辻褄合わせでどんどん短くなってしまうので注意が必要だ。


 バルボーザは自身の髭用の鋏に持ち帰ると、確認しながら音もなく鋏を入れる。そこはドワーフの太い髭とは違い、パチパチと切断音はせず整うまで長い時間はかからなかった。


 濡らした熱い手拭いを何度か替えながら、泡や切った毛を残さぬように清拭をすすめると───


「ヴァネッサ、最後に化粧水で肌を引き締めてくれ。ワシの固い指で塗ったら、折角の肌を傷つけてしまう」


「わかったわ、まかせて」


 ヴァネッサと位置を代わると、彼女は両手に化粧水を取り、額から順番に頬を経由し顎先まで、やさしくマッサージをするように沁み込ませていく。


「はい、おしまい」


「ふう」


終了の合図にマルレーヌはベッドから体を起こし、ため息が漏れた。


「なんかサッパリ気持ちよかった~」


「刃を当てたから、肌が落ち着くまで化粧は待った方がいいじゃろう。その間これでも飲んで落ち着け」


バルボーザはいつの間にか淹れていた茶を彼女に差し出す。


マルレーヌは受け取りつつも、反対の手で手繰り寄せた鏡を覗き込み一言。


「まぁ」


 茶を一口含んですぐさまカップを置くと、左右上下と鏡の角度を変えてマルレーヌは自身の顔のチェックに余念がない。


 じっくりと時間をかけ、彼女は言った。


「ヴァネッサ姐さん、お金払うわ。受け取って頂戴」


 マルレーヌはにっこりと笑ってバルボーザの仕事を評価した。








顔剃りなんて何年もやってませんが、今やろうとするとなると理髪店いかにゃいけないのかなぁ。

自分でT字カミソリは使うのですがね。


お読みいただきありがとうございました。


ブクマ、イイねボタン、★★★★★、一言感想、お待ちしております。



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