星の刃
流石に今回で決着をつけねばと書き綴っていましたら、文字量多め(当社比)になり一週間遅れに
ユルシテ_(:3 )∠)_
兜を被り盾と槍を握りしめ、じゅうたんをゴブリン向けて飛翔させると、後ろからはナスリーンが“エステル、戻ってきなさい”と叫んでいるのが聞こえる。ごめんね、ナスリーン。でもこれが最善だし、あの程度、後れを取る気もないからさ。
さて私のじゅうたんは、ヴィリュークのと比べると加速が段違いよ。航続距離は魔力貯蔵量がとんでもない彼のじゅうたんに敵わないけどね。
風を切るじゅうたんの上で身体を覆うように盾を構え、馬上槍の切っ先をさらに前面に突き出す。
すぐ近くにいたゴブリン達は丘の上のみんなに任せ、私はその先にいるゴブリンの集団に突撃を仕掛ける。
じゅうたんはスピードに乗り、ゴブリンはもう目の前。剛力招来は身体を巡り、タイミングを合わせて身体を前面に押し出す。
前傾姿勢で盾を、槍を構え、瞬間衝撃が走る。盾にも、槍にも、踏ん張る足にもだ。
視界が開けてすぐに、じゅうたんを上昇・旋回させる。うわ、槍がゴブリンの肩を貫いて刺さったままだわ。槍の先でギャウギャウ叫んでいてうるさいから、槍を振って切っ先から宙へ放り出す。落下の衝撃で止めをさせるから手間が省けるわ。
おおう、そのまま下の様子を伺うと、今突っ込んだゴブリンの集団は、ほぼ地べたに這いつくばっている。蹴散らせたようで何よりね。
突き刺す数ももう少し減らさないとね。身体強化を施していなかったら、吹き飛んだのは私だったに違いない。
危ない危ない。そんな羽目になったら、ナスリーンに怒られちゃうわ。
あっ、次はあの集団がおあつらえ向きね。じゅうたんの旋回を終えると高度を落とし、私は次のゴブリンの集団目がけ突撃を仕掛ける。
★☆★☆
魔法による援護でゴブリンどもは大きく数を減らしたが、その後それぞれの陣地の柵が各所で破られてしまい、乱戦になりつつある。見習い達へは撤退指示が出されているが、まだ逃げきれていない者たちが散見される。だが、それでも目聡いベテラン達が撤退援護を継続中だ。
俺はと言えばホブゴブ一体を相手にしている最中である。
しかしこのホブゴブリンと呼んでいる魔物の正体は何なんだろう。ゴブリンが成長するとホブゴブリンになるのだろうか。それにしては見た目が違い過ぎる。
身の丈は普人男性と同じが少し大きいくらい。しかし分厚い体で単純に力もある。知性も……ゴブリンよりはましだろう。それ故奴らは何かしらの得物を携え、それを振るう知恵がある。
“ぶん”
たった今、風を切って振り回された棍棒がそれだ。正面から受け止めるのも骨なので、しっかりと避けてから切りつけてやるのだが、如何せん脂肪が厚くダメージらしいダメージにならない。
周囲の仲間も、迂闊に援護に入ろうものなら巻き添えになるのが分かっているのか、近寄らずに別の敵に向かって行っている。
しかし何時までもこいつにかかりきりになってもいられない。
“ぶうん”
何度攻撃しても当たらないホブゴブリンが、イラついたのか更に大振りをしてきた。
よし。
丁寧に避けて背後を取ると、心臓目掛けて魔刀を突き刺し、素早く引き抜くと距離を取って返り血を避ける。それでもホブは振り返って棍棒を振り上げたが───
しかしそこまで。
ホブゴブリンは棍棒を振り下ろすことなく、武器の重みで仰向けに倒れるのであった。
また一体、ホブゴブリンが地に伏せると、バルボーザは大太刀を振り払った。しかし灼熱する彼の刃から血が振り払われることはなく、纏わりついた血は蒸発し、残滓は燃えカスとなって落ちていく。
乱戦となってからバルボーザは、自身のゴーレムロバでの刀身の掃除を行えなくなるほど、引っ切り無しにゴブリンを切り伏せていた。
それでも切れ味が悪くなればゴブリン退治に支障が起きるわけで、彼はゴーレムロバの炉に棲むサラマンダーの力を借りて刀身を灼熱化。切りつけながら傷を焼くことになるが、そこは達人のドワーフ。ゴブリン相手なら、振るう一太刀は常に致命の一撃となる。
となるとゴーレムロバのヴァロが暇かと問われればそうではない。地面に頭を垂れて土を食む姿はそのように見えるかもしれない。しかし───
“ぱすっ”
空気が爆ぜる音と共に背後のゴブリンが倒れた。よく見ればその額には小さな穴が開いており、それが致命の一撃のようである。
ヴァロはバルボーザの背後を、一定距離を空けて追随するのだが───背後から近寄るゴブリンへ尻を振ると“ぱすっ、ぱすっ”またもや破裂音がしてゴブリンが倒れる。
ゴーレムロバの尻に何か───あった。筒が一本生えていた。ヴァロは土を食んで体内で礫弾を生成。それを尻の筒から発射して攻撃していたのだ。
バルボーザはただ武器の手入れの為だけにヴァロを連れて来た訳ではなかったのである。
「まさに数の暴力とはこのことじゃのう……ん?あれは……」
“……ぁぁぁぁあああああぁぁぁぁ……”
バルボーザの視界の前を左から右へ、空飛ぶじゅうたんが絶叫しながらゴブリンを轢き飛ばしていった。
「……エルフのじゅうたん。てことは、はぁ……何やっとるんじゃ」
心当たりが一人しか思い浮かばなかったバルボーザ。そして別の場所ではヴィリュークも同様に呟いていた。
「……何やってんだ、エステル」
エステルがやってきた。
鎧は付けていなかったが、盾で身体を覆い隠し、馬上槍を構え、じゅうたんでゴブリンを轢き飛ばして現れた。あんな真似をするのはエステル以外にありえん。
戦場を左から右へ端から端まで行くと、|上昇、背面姿勢から、ひねって上下を元に戻し《インメルマンターン》、そこでふわりと静止してからの急降下……俺に気付いた?
あ、ばか。急降下中に、軽く左右にひねってまで合図してくるんじゃない。
“ばきっ”
よそ見をしてたらゴブリンがかかってきたので蹴り飛ばす。ああもう危なっかしくて集中できない。
今度は右から左へゴブリンを轢いていく。くそっ、ナスリーンも一緒に来てるはずなのに、なんだって彼女は止められなかったのか!
「あっ」
「くそっ」
「おねぇちゃん!」
ハッと声のする方向へ振り向く。見習い達の撤退援護中なのに、すっかり頭から吹っ飛んでいた。
ルイシーナとラモナ、それぞれの弟、そしてルイシーナ妹の五人が、ホブゴブリンに阻まれている。弟二人がそれぞれの姉をかばい、ルイシーナ妹が縋り付いている。ホブがもうここまで接近しているのか。
魔刀を上段に構えて飛びかかる。
「シッ」
鋭い呼気を吐き出しながら袈裟に振り下ろすと、肩口から反対の脇腹まで深く切り裂く。同時に前面に水の膜を張って返り血を受け止める。
そんな余裕も残っているが、如何せん手が足りない。果たしてあのエステルの突貫が、どこまで意味があるのか。
それでも声を張って撤退を急かせる。
「ルイシーナ急げ!」
「姉ちゃん!」
「おねぇちゃん!」
弟と俺が左右からルイシーナを持ち上げ立たせると、妹が彼女に縋り付く。まさに姉弟がかばい合っている状態だ。だが、それが良くなかった。
影が俺たちに被さってそこで気付いた。ホブゴブリンが棍棒を振りかぶっている。だがルイシーナを支えるため魔刀を右から左に持ち替えてしまっていたのだ。
左片手の魔刀でも受け流すのは容易いが、それでは庇っている姉弟に当たってしまう。
となれば───
“ガガン”
握っていた魔刀を下に落とすや否や、バルボーザ謹製の左の黒義手を上に、それを右の黒籠手で下から支えて十字で受けた。
咄嗟に剛力招来を施し、受け止められたが体勢がよろしくない。
「「「やぁーっ!」」」
彼らは庇われっぱなしではなかった。
年長者たちは手にした棍棒をフルスイングするが大して効果は無かったが、意外にもルイシーナ妹の攻撃の方が効果的であった。
彼女はスリングで投げる小石の入った袋を、ホブの脛目掛けて力任せに振り抜いたのだ。
さしものホブゴブリンも悲鳴を上げて力が抜ければ、こちらは棍棒を押しのけて右の籠手でボディへ一発入れるとあばらが折れる感触。崩れ落ちてくるので左の義手で鳩尾へ追撃。そして丁度いい高さに頭が来る。顎かこめかみか……確実に仕留めるために、こめかみ目掛けて右の籠手を打ち抜いた。
……手ごたえあり。頭蓋を砕き、ホブは耳から血を流して倒れたのであった。
「よくやった!逃げるぞ!」
“はいっ!”体勢を整えた五人の見習いは、ようやっとまともに逃げ始められたのだが、俺はホブゴブリンの集団の接近を視界に捉えた。
★☆★☆
じゅうたんを旋回させると視界に捉えたヴィリュークの姿は、丁度ホブゴブリンから子供を庇っているところだった。
何やってるのよ!と思ったら、次の瞬間には全員で連携して倒してしまっていた。流石ね!けれども新たなホブゴブリンどもが接近しているのが見える。ヴィリュークたちの撤退を援護しなきゃ!
よし、次の標的はあのホブたちだ。
ゴブリンならまだしも、ホブともなるとサイズも重量も違う。ランスチャージの際、競技用の木槍であればぶつかった時に砕けるので衝撃は耐えられる程度に和らいでくれる。
そんな木槍であっても鍛えている騎士だから耐えられるのであって、これからやろうとしている馬上鎗での重量がある相手の突撃は初めてだ。
“やっば、緊張してるかも”
舌でペロリと唇を湿らし、脇を締めて大きく深呼吸。そして降下。降下速度と高度を見ながらじゅうたんの前方を上げると、丁度良い地面の高さで水平飛行に移った。
歯を食いしばり、左足を前、右足を後ろにし、じゅうたんを踏みしめ“剛力招来”。目標は二匹のホブゴブリンを連続してのチャージだ。
ホブゴブリンは目の前だ。心の準備?んなもん降下開始に済ませたわ。
“ど、どん!”
衝撃は二回。一瞬だった。
気付くと私は無手で宙を舞っていた。馬上鎗も盾もどこかに飛んで行った。とにかく身体強化を維持すべく魔力をみなぎらせると、強引に手足を縮こませ身体を丸めて小さくする。
なにがどうなった!?
一匹目のホブは槍の餌食にして上手く踏ん張れた。だが連続して次のホブに当たった衝撃に耐えられなかったのだろう。これは質量負けというやつ?良く分からない。ともあれ、これからは二匹のホブゴブリン相手に正面突撃は止めておこう。
などと益体もない思考を巡らせていると、再び身体に衝撃が加わると同時にゴロゴロと回転。地面に落ち、身体を小さくしていたからそのまま転がっているのね。
「うへぇ……」
ここは戦場だ。いつまでも寝転んでいては格好の標的にされてしまう。
立ち上がって気付いた。転がっている最中に跳ね上げ式のバイザーが壊れてどこか行ってしまっていたのだ。まぁ兜の本来の役目を成してくれたからよしとしよう。
私もヴィリュークの方へ逃げようっと。あれ?じゅうたん、どこいった?
★☆★☆
見習い姉弟の撤退を最後方から急かしていると、ホブが二体向かってくるのに気付いた。このまま引き連れて逃げても、逃げ先の陣地の面子に負担をかけそうなのでここらで迎え撃とうか。
納刀した魔刀を手に姉弟の後ろ走りながら敵を視認していたのだが、今回も視界の端の上空に映り込むモノがあった。
おいおいおい。やめろ、エステル。無茶だ、ホブ二匹相手に突撃するんじゃない!
じゅうたんは降下の勢いをのせて水平飛行に移ると、身体強化の発動光を発しながらホブ目掛けてさらに加速する。
おいばかやめろ、発動光を抑える余裕も無いんじゃないか!
連続する馬上鎗の衝撃をエステルは受け止めきれず、彼女は槍と盾を手放し宙に舞う。
「エステル!」
無意識に手にしていた魔刀を放り投げ、“疾駆招来”を身に纏うと雄叫びを上げて突貫。
エステルが仕留めそこなったホブゴブリンが、よろめきながら立ち上がる彼女に向かっている。
「お前の相手は!俺だ!」
右の黒籠手を振りかぶり、飛びかかる勢いのままホブゴブリンの顔面に拳を打ち込むと、喰らってすっ飛んでいくホブには構わず、頭を振りながらよろめき立つエステルの元へ駆け寄った。
「何やってるんだエステル!考えなしに突っ込むんじゃない!」
「何やってるって!ピンチだったから助けに来たんじゃないの!」
「バカ、無茶すんじゃねぇ!」
思わず彼女を抱きしめた。兜が頬にあたって痛い。
「ちょちょ、ヴィリューク!こんなとこで、恥ずかしいって。それに───」
「邪魔だ!」
水槍を生み出して射出。寄ってきたホブの喉元を貫いてやる。
抱擁から解放しエステルの顔を見ると、紅潮している彼女の頬。ついでに周囲を見渡すとヒトの姿はなく、俺たちが殿の殿でホブ共が俺たち目掛けて来るのが分かった。
「イけるな?」
「誰にモノ言ってるのよ!」
二人してニヤリと笑い、俺は籠手を、彼女は足甲を構えた。ふふ、彼女の足癖は悪いぞ。俺は彼女との最初の出会いを思い出した。
☆★☆★
エルフのじゅうたんが戦場を蹂躙するさまを、別々の場所で目撃する者たちがいた。
一人は戦場の西の丘からナスリーン。もう一人は戦場の正面に立つ櫓の上から、オルターボットのギルド長である。
「なに調子に乗ってゴブリンを轢いて回ってるのよ」とナスリーン。
「エルフのじゅうたん?!彼の縁者の救援か?いつの間に連絡を取っていたんだ」とギルド長。
数往復目の突撃。遠目にはホブゴブリン勢を引っ搔き回しているじゅうたんであったが、じゅうたんが暴れまわっているお陰で、味方の撤退からの再集結は順調に進んでいた。
「「あっ!!?!」」
ホブゴブリンへ突撃したじゅうたんに乗っていた者が宙に舞う。手にしていた槍や盾は砂煙を上げて地面を転がり、じゅうたんはその勢いのまま青空へ消えていった。
「エステル!」
「押し負けたか?!」
それぞれ場所は違えども、座している場所からは大きく距離をあけ、援護に向かおうにもままならないのは共通している。
櫓の上から戦場と正面から対峙しているギルド長からすると、ホブゴブリンが左右広く展開して迫ってきている。
西の丘のさらにじゅうたんの上からは、ナスリーンが戦場を真横から観測。手前から奥までホブが見えるのは一緒だが、厚い層にはなっていないことが分かる。
「奥の手を使う」
「ギルド長!」
彼の宣言に赤髪ショートが制止した。
「これ以上押し込まれると後がない。ここでカードを切るべきだ。その後は……分かるな」
「後退させた戦力を全て押し出します」
「そういう事だ。この呪文を唱えたら、俺は魔力も尽きていつものお飾りギルド長になるから──」
「違います!ギルド長はお飾りなんかじゃありません!」
らしくない赤髪ショートの反論に、目を瞬かせるギルド長であったが、彼女の肩を一つ叩くと杖を構えて詠唱を開始した。
どうするどうするどうする───
じゅうたんで飛んで行っても間に合う距離でもなければ、間に合ったとしても彼女みたく突撃なんかできないし。
ええい、なら奥の手よ。まさか戦術級魔法を使う羽目になるとは、全部エステルのせいよ!ついでに彼女から貰った射程延長の魔法陣で上乗せ、ええい威力強化も使ってしまえ!
……どれがどれかしら。んもう、エステルも気が利かないわね!分かりやすくしといてくれないと。こんな時に一枚一枚確認してらんないわ!
緊急事態よ、全部まとめてつかっちゃえ!
それぞれが戦術級呪文の完全詠唱を開始する。
櫓の上からはギルド長が。
「■■■ 煌めく星々の光よ、彼方より放たれる守護の光よ、その光を刃に変え、我が元に集い、我が同胞に仇なす敵を撃て 迎撃・スターブレイド!」
西の丘のじゅうたんの上ではナスリーンが。
「■■■ 煌めく星々の光よ、彼方より放たれる守護の光よ、銀色の閃光、光刃となりて我が元に集え。我が同胞に仇なす全ての障害を貫け 貫通・スターブレイド!」
詠唱を開始すると、それぞれを中心に光が周回し始める。詠唱が進むにつれ光の数は増え、ギルド長のものは球状を成し、ナスリーンのものは針のように鋭く尖った。
そして最後のキーワードを宣言すると、光の奔流は戦場目掛けて雪崩れ込む。
「うおっ」
「なんだ、なんだこれ」
「ひいっ」
星刃は一旦全方向に放たれたが味方には当たることなく、敵に向かって進行方向を変えていく。
「じっとしていてください!動かなければ避けていきます!」
ギルド長から放たれた星刃は、櫓を中心に扇状に広がりホブゴブリンに対して面制圧を図る。
ナスリーンが全周に放ったそれは、太い一本の奔流となって集い、さながら全てを押し流す激流を彷彿とさせるものであった。星の刃の激流はホブゴブリンを側面から襲い、奥の奥まで貫いていく。
期せずして同系統の魔法の詠唱は十字砲火となって放たれたのであった。
それは突然やってきた。
俺は黒籠手でホブに正中線五連突きで、肋骨越しに心臓を叩き潰すと、背後のエステルは足甲を纏った斧刃脚で膝をつかせ、低くなった頭をかかと落としで粉砕していた。
お互いに先ずは一匹倒し、次の獲物はと見渡すと、陣地側と西の丘から無数の光が迫って来るのが見え、その攻撃的な魔力に背筋が凍る。
「エステル!伏せろ!」
即座に彼女を地面に押し倒すべく飛びかかった。一瞬彼女の耳が赤くなったように見えたが、エステルも迫る光に気付いたのだろう。勢いのまま彼女は地面に伏せ、俺も庇うようにその上に伏せる。
ちらりと見上げると、光の刃はゴブリンやホブゴブリンに向かってはじけ貫いていくが、俺たちのことはスムーズに避けていく。はじめは気のせいだと思ったが、その動きは間違いなく制御されているものとすぐ気付いた。
しばらくして誰かが放った光の刃の魔法が収まると、戦場に動くゴブリンは僅か。いや、あの攻撃でまだ生き残りがいるとか、ゴブリン侮りがたし。
“殲滅しろ!続けーっ!”
そして遠くから誰かの指示する声が聞こえてくる。
「終わった……のか?」
「ヴィリューク、重い」
「す、すまん」
下にしていたエステルから苦情の声が聞こえ、慌ててどいて起き上がって彼女にも手を貸してやる。
「あ、じゅうたんあった」
エステルが指差す方を見ると、西の空に浮遊しているじゅうたんが見え───
「……丘の上からも……じゅうたん、だな。ナスリーンか」
「あー、はははは……」
ばつの悪そうなエステル。これは制止を振り切って来たに違いない。
「ちゃんと叱られてきなさい」
「───はい」
エステルは観念してうな垂れた。
今回初めて呪文詠唱なるものを書いてみましたが、思いのほかあれこれ付け足すことに。いやぁ厨二病真っ最中の方だと、興が乗ってあれこれ膨れ上がるのも頷けます。ぶっちゃけ十年前から呪文名だけは頭にあったのですが_(:3 )∠)_
次回はエピローグです。
ブクマ、イイねボタン、☆評価、一言お待ちしております。
お読みいただきありがとうございました。




