その70
次の日の朝、モフモフに戻ったわたしは、皆んなにびっくりされながらオオカミのお肉でバゲットサンドを作ってみた。
『・・・うんまっ!?やっぱり鶏ハムになった!』
わたしは昨日オオカミのお肉を晩ご飯を作る時に少し焼いてみた所、味は鶏むね肉っぽい感じだけど、その肉質はびっくりするぐらい柔らかかったので、これは絶対鶏ハムにしてサンドイッチにしたいと思ったのだ。
「こんなにしっとりと柔らかい肉があるんだねぇ」
「リーナ!このピリ辛のソース美味しいね!」
「これタコスの時のサルサソースじゃね?俺も、好きだわ!」
「だよな!それでこの白いソースはシーザーサラダのドレッシングだよな!マジ美味いわ!」
「この肉って昨日のオオカミの聖獣の肉なんだよね〜?毛が無くなっても結構硬かったのにな〜!」
「うんうん!それにこの肉、絶対筋肉に良いと思うなぁ!」
こうして、わたし達はオオカミのお肉のバゲットサンドをお腹いっぱい食べると、次の階へと向かったのだ。
「ここで闇堕ちさらしとるのはサルやな〜」
『・・・サル』
わたしは目の前に広がるゴツゴツとした岩場に思い思いで寛ぐ真っ黒で大きなサルが、これだけ筋骨隆々だったら最早ゴリラと言っても良いのでは?と思うぐらいにはムキムキゴリマッチョだったので、異世界のサルって逞しいんだなと思った。
「物理攻撃・魔法攻撃、何でもありよ〜。まあ、サル達もだけど〜」
ゴンッ!
『痛っ!?』
わたしは後頭部に硬い物が当たった痛みに振り向くと、そこにはサル達がいた。
ギャーッギャッギャッギャッギャッギャッ!!!
サル達は手を叩いて大喜びしてる奴等や、こちらにお尻を向けて叩いて馬鹿にしてる奴等や、お腹を抱えてジタバタと大笑いしてる奴等がいた。
『・・・腹立つわ〜』
わたしは足元に落ちていた石を拾うと、一匹のサル目掛けて投げつけた。
ドガーーーーーーンッ!!!
ギャギャッ!?
そして、投げつけた石はサルにヒョイと躱されたのだけど、サルの後ろの大岩に当たり、大岩が木っ端微塵に粉砕されたのを見て、サル達は蜘蛛の子を散らす様に逃げて行った。
わたしはどこまでも続く岩場で戦っている皆んなの様子を見たけど、サル達との戦いは開始一時間ほどで完全に膠着状態となっていた。
何故、ぶっちゃけ何が出て来ようと、まあ、負ける訳ないよね〜の皆んなが膠着状態になっているのかと言うと、サル達に相手の戦闘スタイルや魔法をコピーする能力があったからだ。
だから、隊長達騎士勢は動きを読まれてしまっている上に魔法も同等なのでサル達と何か訓練してるみたいになってるし、皇太子も同じく火魔法の訓練になっていた。
そして、聖獣達もそれぞれの魔法をコピーされてしまっているので魔法をぶつけ合っているのだけど、何せサル達は数が多いので皆んな徐々にダメージを負って来てる感じになっていた。
そんな中ハムちゃん達も超音波攻撃をコピーされてしまっているから、超音波攻撃がぶつかった衝撃で、双方コロコロ転がりまくっている状況なのだ。
「・・・お前等、俺様の真似しやがって!いい加減、鬱陶しいんじゃっ!ボケッ!」
白龍がイラつきながら放った巨大竜巻は、同じく竜巻を放ったサル達により打ち消されたのだけど、サル達は白龍を煽る様に、わたしがサル達にさっきされた馬鹿にする様な態度を見せたので、白龍はブチ切れて今度はもっと巨大な竜巻をサル達にぶつけたら、サル達はギャッギャッ言いながら逃げて行った。
「逃げんなっ!コラァッ!」
わたしは白龍が怒鳴りながらサル達を追いかけて行ったのを見て、どうしたものかと考えた。
『・・・わたしのスキルがコピーされたら、絶対もっと面倒臭い事になるだろうしな〜』
ゴンッ!
『痛っ!何するのよっ!』
わたしは右の側頭部に硬い物が当たったので右を見たらサル達が挑発行動をしていたので、足元の石を拾うと投げ返し大岩を粉砕して追い払うと、また考えてみた。
『・・・・・・・・・・・あっ!そうだ!』
わたしは近くにあった巨大な岩の上に飛び乗ると、頭陀袋を下ろし釣竿を取り出した。
そして、ハムちゃん達と戦ってるサル達の一匹を釣り上げて、誰もいない岩場に叩き付けたのだ。
ギャギャーーーーーーッ!
わたしは叩き付けたサルがピクリとも動かなくなったのを確認してから、また一匹釣り上げ討伐した。
ゴンッ!ゴンッ!ゴンッ!
わたしは下からサル達が石をぶつけて来たけど地味に痛いだけなので、構う事無く、また一匹釣り上げた。
(((((((リーナ様っ!?危ないっ!)))))))
わたしは背後に熱さを感じたので振り向くと、巨大な火球がこっちに向かっているのが分かった。
『また、燃えて丸ハゲ!?まあ、白虎の薬あるし良いかっ!』
わたしはモフ毛と騎士服を諦めて前を向くと投擲した。
ぷおーーーーーーーーーーーんっ!!!
ドガーーーーーーンッ!!!
すると、ハムちゃん達がこちらに向かって走りながら超音波を発したと思ったら、わたしの背後の熱さが消えた。
(((((((リーナ様!お手伝い致します!)))))))
『うん!ありがとう!』
こうして、わたしのいる大岩によじ登って来たハムちゃん達の防御魔法のお陰で、わたしは安心してサルの一本釣りをする事が出来る様になったのだ。




