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ジークフリードSide〜その14

 俺が、ふと視線をリーナに向けると、闇堕ちしたアルマジロの聖獣の体当たりに吹っ飛ばされ、その先にあるマグマに落ちて行くのが分かったので、俺は襲って来るアルマジロを剣で薙ぎ払いながら走り出した。


 そして、ギュッと目を閉じているリーナがマグマに落ちる寸前に何とかキャッチ出来たのだ。


 ・・・落ちなくて良かった!


 俺は抱えたリーナが暑さで汗だくなのが分かり、何故だか心臓がギュッと痛くなった。


 ・・・リーナは魔法が使えないんだよなぁ。安全地帯にいてくれていいのに


 俺は心底そう思ったが、汗だくで辛そうなリーナは戦闘意欲は失ってないのが分かったので、取り敢えず見守りながら討伐の続きをする事にした。


 ・・・アルマジロめちゃくちゃ美味いな!


 俺はその日討伐したばかりの闇堕ちしたアルマジロの聖獣の肉の料理の数々が驚くほど美味くて、全回収の指示を出す様に言ってきた時のヴァージルの圧が凄かったのも頷けた。


 そして、美味い料理を作ってくれたリーナが、またキッチンで忙しくしていたので手伝いを申し出た所、新しくレモンハイボールと言う酒を作ってくれ、その後も色んなハイボールを飲んだのだ。


 「・・・ジーク、ちょっといいかい?」


 俺がほろ酔いで寝支度をしていると、珍しく兄上とヴァージルがやって来たので部屋に招き入れた。


 「ジークって、リーナの事どう思ってるんだい?」


 俺は兄上に唐突にそう聞かれたので、リーナの事を思い浮かべてみた。


 「・・・リーナは可愛いと思う」


 「そうなんだ?具体的にどこが可愛いと思うんだい?」


 「・・・全体的にモフモフした感じとか、討伐も頑張ってるし、料理も美味いし、とにかく一生懸命なのが可愛いと思ってるな。それがどうかしたのか?」


 「ふーん。それじゃあ、リーナに触れたいとは思う?」


 俺は兄上が何を言いたいのかさっぱり分からないが、言われた事を思い浮かべてみた。


 「・・・まあ、ちゃんと風呂に入ってるみたいだから毛並みは良いし、飯もいっぱい食ってるから毛艶も良いし、触り心地は良いよな」


 「・・・毛並み」


 「・・・毛艶」


 そして、兄上とヴァージルは何故か苦笑しながら自分達の部屋に帰って行った後、俺は改めてリーナの事を考えてみたら気づいた事があった。


 ・・・俺、今迄動物が可愛いとか思った事無かったよなぁ


 俺は小さな頃から何に対しても可愛い等と思った事は無かったので、そう言う感情を持たせてくれたリーナに感謝しながらベッドに入ったのだ。


 次の日、俺達は【禁足の塔】の七階へと向かったのだが、そこには物凄く穏やかな光景が広がっていた。


 だが、それは一歩踏み込むとガラリと様相は一変し、全く穏やかとは程遠い光景となり、俺は闇堕ちしたパンダの聖獣に斬り掛かったのだ。


 ・・・全討伐は完了だな。取り敢えず骨以外は全回収するか


 ドンガラガッシャーーーーーーーンッ!!!


 『ギャーーーーーーーーーーーーーーッ!?』


 俺がそう考えていると凄まじい雷鳴とタヌキの大絶叫が聞こえたので慌ててリーナを探した所、リーナはさっきまで討伐していたパンダの聖獣よりもさらに巨大なパンダの聖獣の右前足に頭がくっついた状態で叩き付けられたと思ったら、今度は振り回されていたのだ。


 ・・・リーナっ!?今行くぞっ!え?


 そして、俺がリーナを助けに行こうとした瞬間、それは起こった。


 ・・・大丈夫そうだな。何故大きくなれるのかは知らないが、まあ、金色獣人だしな!


 俺はリーナが巨大化して闇堕ちしたパンダの聖獣を地面に叩き付けて討伐したのを見て、目の前に走って来た真っ黒で巨大なパンダに斬り掛かった。


 だが、現れた巨大なパンダは全身に雷を纏っていたので、思うようには刃が通らなかった。


 そして、それは他の皆んなも同じらしく、俺は魔法攻撃に切り替えたが、それも致命傷に至る程のダメージを与える事が出来なかったので、どうしたものかと考えていたら、闇堕ちしたパンダの聖獣達は一斉にリーナに向かって走り出した。


 ・・・リーナってマジで凄いよなぁ。って言うか、本当に令嬢なんだよな?


 こうして、【禁足の塔】の七階の闇堕ちしたパンダの聖獣は、その巨大なパンダ達よりも巨大化したリーナのほぼほぼ一方的な攻撃で全討伐されたのだ。


 ・・・昨日の炭火焼きも美味かったが、卵とじも美味いな!


 俺はリーナが作ってくれた朝飯を食べ終えると次の階へと向かったのだが、そこには闇堕ちしたキツネの聖獣がいたので嫌な予感がしたら、案の定兄上と第一班が様子見だと言って飛び込み、あっさりと取り込まれたのを見て心の中で舌打ちしたのは言うまでもない。


 そして、俺は呆れながらも闇堕ちしたキツネの聖獣を全討伐し、その日の晩飯も大いに食べて飲んだのだ。


 ・・・丸ハゲで貧相なリーナも可愛いな!


 俺は昨日、【禁足の塔】の九階でリーナを助けきれなかった事を悔いながら、今日は十階の闇堕ちしたウサギの聖獣の討伐をしたのだが、そこでリーナはウサギの聖獣の攻撃で全身の毛が剃り落とされた感じになってしまった。


 俺としては頭頂部だけハゲの状態の面白い感じよりマシなのではと考えたら毛の無い貧相なリーナが小動物のタヌキに見えなくても可愛いと思えたし、二日連続で討伐に貢献してくれたリーナのスキルである良く分からない茶釜にも感謝出来たし、とにかく俺にとってリーナは居なくてはならない存在なんだなと思ったのだ。



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