その65
「・・・何や今日の朝飯はイマイチっちゅーかイマサンやな〜。まあ、普通に美味いんやろけど」
「そうねぇ。やっぱり、お肉が闇堕ちした聖獣じゃないからかしら?あら?あたしって、あんた達が帰って来ないから様子を見に・・・ここ【禁足の塔】よね?」
「拙者は白龍殿を追いかけ申して【禁足の塔】に入ったでござるよな?然し乍ら、何故リーナ様達がここにいるのでござるであろうか?」
「うーん・・・俺、めちゃくちゃ楽しい夢を見てた気がするんだよな。何の夢か全然思い出せないけど・・・って言うか、俺、何でここで寝てたんだっけ?」
わたし達は朝ご飯を食べながら、四匹の聖獣達が【禁足の塔】に入ってから昨日までの事を何も覚えてない事に、大きな大きな溜め息を全員が吐いたのはしょうがないと思う。
「「「「ご迷惑をお掛けして、申し訳ございませんでした!」」」」
そして、わたしが白龍の竜巻きによって壁にめり込んだ事も漏らさず今回の詳細を教えてあげたら、わたし達の前にひれ伏し謝罪した四匹を広い心で許し、闇堕ちした聖獣のお肉を調達する為に六階へと向かったのだ。
『・・・グホッ!?』
わたしは朦朧とした意識が一瞬で覚醒するぐらいの鳩尾を突き上げるような衝撃に息が詰まった瞬間、大きな放物線を描いて自分が飛んで行くのが分かった。
そして、わたしが落ちるであろう先には煮えたぎるマグマがボコボコと音を立てていたので、さすがのわたしでも無傷では済まないなと覚悟して目を閉じた。
パシッ!
「大丈夫か!リーナ!」
わたしは、わたしを受け止め救ってくれたその人の声を聞いて目を開けた。
そして、心配そうな顔をした隊長に大きく頷くと、今日の隊長の晩ご飯のおかずを絶対多めにしてあけようと思ったのは言うまでもない。
「リーナは防御魔法が使えないのだから無理するな」
ゴンッ!
わたしはそう言ってから次の討伐に向かう隊長の右側頭部にぶち当たりに行った闇堕ちした真っ黒なまあまあ大きなアルマジロの聖獣が隊長の防御魔法により弾き飛ばされたのを見て、またしても魔法の使えない獣人なのを残念に思ったのも言うまでもない。
ここ帝都付近の【禁足の塔】の六階の異世界はマグマが煮えたぎる火山地帯で、闇堕ちした真っ黒な体長1メートルほどのアルマジロの聖獣がいた。
そして、闇堕ちしたアルマジロの聖獣には魔法攻撃も物理攻撃も何でもありだったので特に作戦を立てる事なく、わたし達VS闇堕ちしたアルマジロの聖獣達の大乱闘となった。
だけど、わたし以外の皆んなは防御魔法や空調魔法が使える事によりこの尋常じゃない暑さが全く平気でも、わたしにとっては熱中症不可避状態だったので、先程ちょっと暑さで意識が朦朧とした隙にアルマジロの攻撃を受けてしまったのだ。
わたしは汗で濡れてベッタリと張り付くモフ毛の不快感に眉を顰めながら、こちらに丸まり勢い良く転がって来るアルマジロと対峙した。
そして、二足歩行になり足を踏ん張ってアルマジロを受け止めると持ち上げてジャンプし、思い切り地面に叩き付けた。
ドガッ!
すると丸まっていたアルマジロは伸びて動かなくなったのだ。
『うーん・・・こいつらってお肉じゃなくて海鮮系の匂いがするよね〜』
わたしは辺り一面に伸びた真っ黒なアルマジロの聖獣達も、やはりわたしの目と鼻には海鮮系の食材だと理解出来たので、わたしはもうそろそろ討伐も終わりそうだったから、目の前のアルマジロのめちゃくちゃ硬い表皮を手で剥がした。
『・・・やっぱり海鮮系だね〜』
そして、近くで一匹討伐したばかりの副隊長の所に持って行くと水洗いして貰い、まあ、わたしならお腹を壊す事も無いだろうと山葵醤油で食べてみた。
『うんまっ!?プリプリのエビ?イカ?タコ?まあ、何でもいいやっ!取り敢えずめっちゃ新鮮な海鮮系だっ!』
わたしはじっとこちらを見てる副隊長にも味見をさせてあげようとしたら副隊長は何やらブツブツと呟いてから口に入れ、カッと目を見開いた後に素早く隊長の所に駆け寄り全回収の指示のお願いをしてくれたので、その日の晩ご飯は副隊長お墨付きの新鮮な海鮮料理祭りが確定したのだ。
「・・・ アルマジロの刺し身めっちゃ美味いなっ!リーナ!これに合う酒頼むわっ!」
わたしはちょっと考えて辛口の白ワインを作って出したら、白龍は気に入ったらしくお代わりしまくっていた。
そして、アルマジロのカルパッチョを食べていた白亀も辛口の白ワインが口に合ったらしく、同じくガンガン飲み始めた。
「リーナ!アルマジロのマヨネーズ和えのお代わりある?」
わたしはニックに小さく頷くとキッチンに行き、大きな中華鍋に作ってあったアルマジロのマヨネーズ和えの残りを大皿に盛り付けてダイニングテーブルに運んだ。
そして、ハムちゃん達が一心不乱に食べているアルマジロのフライを追加で揚げ、炊き上がっていたアルマジロの炊き込みご飯をおにぎりにしてダイニングテーブルに運んだ。
「・・・リーナ。何か手伝う事はあるか?」
わたしは隊長の有難い申し出に、アルマジロの味噌汁をダイニングテーブルに運んで貰った。
そして、お礼にスッキリしたお酒が好きらしい隊長にレモンハイボールを作ってあげた。
「・・・これは物凄く美味いな」
「これはレモン風味のハイボールですか?普通のハイボールよりさらに飲みやすいですね」
こうして、レモンハイボールはニック達にも大好評だったので、わたしはコークハイやジンジャーハイボールなんかも作ってあげて、その日もいつも通りに大宴会となったのだ。




