その62
「・・・これはどう言う事だ?」
起きて直ぐに様子を見に行ったニック達の報告により神災級魔獣達がいなくなった明るく綺麗になってるダンジョンの部屋の中を、わたしは眠い目をこすりながら皆んなと一緒に見ていた。
「・・・閣下。鑑定した所、完全に聖域となっております」
「聖域だと?あの神災級魔獣達はどこに行ったのだ?」
「あら?聖域になったなら討伐無用って事でしょ?さっさと次に行きましょ〜よ!」
「閣下。回収しなければならない物も一切無いようですから次の階層へ向かった方が宜しいかと思います」
「・・・では、次へ行くとしよう」
こうして、わたし達は朝ご飯を食べてから野営を撤収し、第十階層へと向かったのだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・リーナ・・・・・・・・・・リーナ・・・・・・・起きて・・・・討伐は終わったよ」
わたしはニックの声が聞こえ、ゆっくりと目を開けた。
『ん〜、良く寝た〜』
「寝過ぎやろ!最初っから最後まで寝くさってからに!俺様めっちゃ働いたし、晩飯は美味いもん作ってや!」
「え?白龍って五分ぐらい働いたら一時間は休憩してたよな?」
「やかましいわ!白雀、いいか?俺様が働く五分間であのアホみたいに湧いて来よるゴーレムを何匹倒したと思っとんねん!トータルでスーパー非力なお前の十倍は倒しとるはずやぞ?」
「あんた達!煩いわよ!まだいっぱい魔石は落ちてるんだから、さっさと拾いなさいよ!って言うか、白龍!魔法で集めなさいよ!」
「いやじゃボケ!俺様はもう一ミリも働きたくないんや!」
「リーナ様!拙者も頑張ったでござるよ!晩飯は煮込みハンバーグがいいでござる!」
「おいこら!白虎!何しれっとリクエストしとんねん!俺様は唐揚げが食いたいんじゃ!」
『ハムちゃん達は何か食べたい物ある?』
(((((((あたし達、餃子が食べたいです!)))))))
こうして、本日の晩ご飯は餃子中心の晩ご飯に決定したので、わたしはキッチンへと向かったのだ。
ここ第十階層には神災級のゴーレムがいたのだけど、物凄く警戒心が強いのと物理攻撃のみ可能との事で、わたしは久しぶりに誘き出す囮として副隊長に投擲される事になった。
そして、前夜の寝不足もあったから開始早々わたしの記憶は途切れていたのだけど、物凄い数の暴力で永遠に終わらないかと思いましたと、体力を使う超音波攻撃のハムちゃん達はちょっとやつれた感じで一緒に晩ご飯を作ってくれたのだ。
「・・・リーナ様!ニンニクの入った餃子も美味いでござるが、ミョウガの入った餃子は爽やかな味わいで何個でも食べられますな!」
「おいこら!白虎!お前は遠慮ちゅー言葉を知らんのか!まだ俺様はミョウガの餃子一個も食ってへんのに全部食いやがって!リーナ!ミョウガの餃子追加してんか!」
『・・・』
わたしとしては大皿を抱えてニンニク入り餃子を食べてる白龍に、どっちもどっちだよな〜としか思えなかったけど、まあ、いっぱい食べてくれるのは嬉しいし、皆んな大皿を抱えて自分の分は死守してるので、しょうがなしにミョウガの餃子を追加で作ってあげる事にした。
『・・・あ・・・白龍、もう闇堕ちしたウサギのお肉が無いみたい。ウサギとタヌキの合い挽きじゃないとこの餃子は出来ないんだよね〜』
「はあっ!?ウサギの肉があらへんやとっ!?何でや!?あんなにいっぱい狩っとったのにか!?」
「そうよねぇ。タヌキのお肉だけじゃちょっとしつこい感じだし、風味も全く違ってくるわよね〜。リーナ、他のお肉の在庫は大丈夫なのかしら?」
わたしは白亀に言われて闇堕ちした聖獣のお肉達の在庫を確認した所、タヌキはまあまあ残っていたけど他のお肉達は残り僅かとなっていた。
「それならしゃあないな!ジーク!ここは撤収して禁足の塔へ肉の調達しに行くで!」
「だが、一階から六階までは全討伐したし、七階以降はハムスター達が食べて無くなっているのだろう?」
「それはロゼルナイトの禁足の塔の話しや!せやから帝都の禁足の塔へ行くんや!あっこはまだまだぎょうさんおるで!」
こうして、わたし達はダンジョン【暗闇の深淵】の第十階層の全討伐を完了した翌朝、一旦ロゼルナイト辺境伯城へ帰還する事になったのだ。
「・・・はあっ!?何で帝都に行くのは三週間後なんやっ!?肉はもう無いんやぞっ!?」
「・・・アンジュ兄上の都合上だそうだ・・・」
「何で皇太子の都合が関係あんねんっ!?」
「そりゃあ、皇太子が行く気満々だからじゃないかしら〜?」
「もうええわっ!俺様がサクッと狩って来たるっ!三日もあったら一ヶ月分は確保出来るやろしな!」
「リーナ様!拙者も白龍殿と一緒に肉の調達に行って参りまする!白龍殿!お待ち下され!」
「本当に白龍はしょうがないやつだよな。あの二人だけじゃ心配だから僕も行って来るよ。白亀はどうする?」
「あたしはパス。あんた達三人なら楽勝でしょ?久しぶりにのんびりするわ〜。って言うか、もうお肉無いんだからさっさと帰って来なさいよ?」
こうして、白龍と白虎と白雀が帝都の【禁足の塔】に向かったのだけど、一週間経っても三匹が帰って来ないので、ちょっと様子を見て来ると言った白亀も、それからさらに一週間が経っても帰って来なかったのだ。




