その57
「・・・なるほど。虹色の髪色と瞳の少年に魔法をぶつけられ、気がついたらここにいてスキルが使えるようになっていたと言う事かな?」
『はい、そうです!』
「では、父上。今現在我が弟セルディは世界にいると言う事ですか?」
「そうなるな。どこを探してもおらぬ訳だ」
「旦那様、妾が至らない故に申し訳ありませぬ。リーナよ、セルディが迷惑を掛け申し訳なかった。残りの桃は詫びとして受け取って貰いたい」
「女神よ。我もセルディの苦しみを理解してなかった故同罪だ。リーナよ、我の息子が迷惑を掛けて本当にすまなかった」
「って言う事は、家出少年の件はこれで解決ね〜。って言うか、リーナがぶつけられた魔法って転移魔法みたいね!」
こうして、わたしは男神様と女神様の謝罪を快く受け入れ、その上女神様からお詫びとして残りの半分のめちゃくちゃ美味しい桃も貰える事になったので、ホクホク顔で世界に戻る事となったのだ。
「ねぇ、リーナ?あんたそのまま帰るの?」
わたしは白亀に言われて、そう言えば人体化してたな〜と思い出し、とりあえず自分の今世の人の姿を見てみる事にした。
『・・・こ、これがわたしっ!?』
わたしは女神様の宮殿の謁見の間にあった装飾用の大きな姿見を発見したので近寄って自分の姿を映した所、それはもうめちゃくちゃびっくりした。
『うわぁ!わたしめっちゃ可愛いっ!』
わたしは姿見に映る前世とは全く違う腰まであるフワフワの金髪に大きなタレ目がちの青い瞳に、ツンとした小さな鼻とぷっくらとした小さな口がある白い小さな顔に驚愕しつつも大歓喜したのはしょうがないと思う。
「あんたって本当に脳筋で能天気よね〜」
わたしは白亀から失礼な感じの言葉が聞こえて来た気がしたけど、それよりも今世の自分の可愛さを観察するのに忙しかったのでスルーした。
『・・・ねぇ、白亀。リーナは居なくなったものとして、名前を変えて普通の女の子としてわたしをロゼルナイト辺境伯領の領民にして貰うのは無理かな?』
「そうねぇ。魔力が無くてアホみたいに怪力で、おまけにとんでもなく大食いですもの。普通の女の子として領民になっても、いつかは獣人だとバレちゃうんじゃない?」
そして、わたしは一瞬考えてから国外追放刑を受けた罪人だと言う事を思い出したので、スキルを全てオフにしたのは言うまでもない。
「・・・お前、金色のタヌキ獣人だったのか」
わたしはちょっとびっくり顔になった金髪虹眼のルシアンに対して小さく頷いた。
そして、わたしは少しの間神界にいる事にした男神様と女神様に見送られて、白亀と弟を迎えに行くルシアンと一緒に皆んなのいる世界へと帰ったのだ。
「・・・あ、兄上!?何故ここに兄上が!?」
「お前を迎えに来たに決まってるだろう?修行の事はリーナに聞いた。父上と母上がお前の修行相手を探してくれているから、もう大丈夫だ。気づいてやれなくてすまなかったな。帰ろうセルディ」
「・・・あ、兄上っ!ごめんなさいっ!」
こうして、セルディはわたしにも皆んなにもちゃんと謝ってくれ、ハムちゃん達には土下座までして許してもらうとルシアンと一緒に神界へと帰って行ったのだ。
「リーナ!お帰り!心配したんだよ!?」
「転移魔法や言うんは分かっとったけど、行き先が分からんかったからどないしよか思っとったんやで?せやけど。神界に飛ばされとるとはな〜」
「家出少年が感情のままに転移魔法をぶつけたら、まあ、必然って感じよね〜」
「せやな。これでジークも目が覚めたら安心するやろ」
『隊長寝てるの?』
「寝てるちゅーか、寝かしつけた感じやな!」
わたしは何のこっちゃと思いながら、白龍に隊長の所に行くように言われたので、とりあえず男神様バージョンの野営セットで寝てるらしい隊長の部屋に行ってみる事にした。
『・・・何か苦しそう?』
わたしは皆んなと一緒に二階の隊長の部屋に行き、隊長が寝てる枕元に飛び乗り隊長の顔を見ると、何故か魔力全開の隊長は苦悶の表情を浮かべていたけど、それでもイケメンなのはズルいなと思った。
そして、白龍が虹色の息を隊長に吹き掛けると、隊長はゆっくりと目を開け、わたしと視線が合うとびっくり顔になった。
「リーナ!?」
『グエッ!?』
そして、魔力全開の隊長はいきなり起き上がり力一杯わたしを抱き締めたので鯖折りが完璧に極まり、わたしじゃなかったら死んでるよ!?と思いながらタップしたのはしょうがないと思う。
「ジーク。リーナを放したってんか〜。さすがのリーナも苦しそうやで〜」
「っ!?す、すまないっ!リーナっ!?大丈夫かっ!?」
わたしはちょっと骨がミシッて言って息苦しかっただけで、別に痛くはなかったから小さく頷いた。
グオォォォォォキュルルルルルルルッ!
「晩飯の時間やな〜。昼飯は携帯食料やったさかいに美味いもん頼むわ〜」
こうして、わたしとハムちゃん達は今日も今日とて自分とハムちゃん達と皆んなの為にカツ丼を作ったのだ。




