ジークフリードSide〜その12
「・・・リーナが消えただと?」
「はいっ!リーナが消えたんですっ!隊長っ!リーナがっ!」
俺はヴァージルと共に今日も今日とて執務室で仕事をしていたら、顔面蒼白の第一班と難しい顔をした聖獣達が飛び込んで来たので何事かと思ったら、どうやらいつの間にかリーナが消えたらしかった。
「白亀殿。どう言う事かご説明頂けるか?」
「うーん・・・まあ、それがねぇ・・・リーナが消えたのは事実なのよ?でも、あたしにもそれだけしか分からないのよねぇ」
俺は聖獣白亀ならどう言う事か分かるだろうと思ったら、まさかの白亀でも分からないとの事に、さすがにどうしたものかと考えた。
「・・・なあ、白亀。あそこのどこかに地獄の入り口でもあるんちゃうか?」
「え?あんな所にも?まあ、でも、神達って本当に大雑把だからあるかもねぇ。それならそれで物凄く面倒臭いんだけど?」
俺はどう言う事かと白亀に聞いてみた所、天空への道を塞ぐ際に魔法で破壊しまくった影響が世界中のあちこちにはあるらしく、その一つが今回リーナが消えたミョウガの群生地だと言う山頂にもあるかも知れないとの事だった。
そして、その影響は殆どが地獄の入り口へとなっているらしかった。
「・・・明朝捜索隊を派遣するとしよう」
俺は魔力保持者及び高度運動神経保持者なら絶対に落ちない穴らしい地獄の入り口を探す事にしたのだ。
・・・何か飛んで来た
俺は凄まじい魔力を感じて空を見ると四角いヒラヒラとしたものがこちらに向かって飛んで来たのが分かった。
そして、それはリーナとハムスター達の友達である男神様だったのだ。
・・・また雲に潜りたい。って言うか、炭火焼きの肉ってめちゃくちゃ美味いよなぁ
俺はその日の夕方から開催されている男神様大歓迎会で焼き肉とドライビールと言う、俺としてはこれ以上無い完璧な組み合わせに感動しながら、人生初の雲に潜ると言う体験を思い出していた。
そして、隣りにいるヴァージルも同じ気持ちだろうと思いチラッと見たら眉間に皺を寄せてBBQコンロをじっと見ていたので、仕事が増えそうな嫌な予感がしたのは言うまでもない。
・・・明日から遠征か。何事も無ければ良いな
俺は【暗闇の深淵】の第一階層から第三階層まで万事滞り無く事業が進んでいることに安堵して、第四階層は何の利益にもならなさそうな食材だと聞いていたらリーナによって、それは覆されたのだ。
・・・鰻の蒲焼最高に美味いな!
こうして、俺もヴァージルもたぶん違う意味でホクホク顔になり、翌朝第五階層へと向かったのだ。
「・・・閣下。お疲れ様でした!」
俺は漸く終わった第五階層の純金の全回収に心地よい疲れとは程遠い気持ち悪さの疲労困憊に真っ白になっていたので、たぶん物凄く良い笑顔のヴァージルに返答する気力も無かった。
・・・泥の中へ潜るのがあれほど気持ち悪いとはな。すき焼きは美味いけど
俺はいつもなら〆のうどんを食べる所だが、今日は食べる事なくベッドに潜り込んだのだ。
「接待と言えば宴席だな」
俺がそう言うと、ヴァージルや第一班の騎士達は力強く頷いた。
ここ第六階層はヴァージルから交渉案件だとは聞いていたし交渉相手が蜂の妖精とも聞いていたが、中身がおっさんとは聞いてなかった。
そして、そのおっさんはどうやら俺の推測の域の接待をしたら契約してくれそうだが、その内容はここにいる俺達では絶対に無理だったしさせる気も無いので、ここはリーナに頼る事にした所、リーナは完璧に接待してくれた。
こうして俺達は貞操の危機を脱出した事に安堵しながら第七階層へと向かったのだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
俺は第七階層の部屋の中で凄まじい衝撃を受け、どうやら気絶していたらしいと分かり飛び起きたら、リーナがハムスター達とのんびりとお茶をしている向こうで、荒れ狂う魔法の応酬が見えて思考停止になっていた。
そして、白虎や白雀も意識を取り戻したのでリーナにどう言う事かと聞いた所、白龍と神様が戦っているのだと分かり、まあ、被害もこれ以上無さそうなのでお茶に参加する事にした。
「リーナーーーーーーーーーーーッ!!!」
・・・は?
俺は目の前で起こった事が全く理解出来なかった。
いや、理解したくなかった。
「ジークっ!アカンっ!リーナは死んどらんっ!」
俺は白龍の言葉の意味が分からなかったが、何とか目の前の目を見開き固まっている虹色の少年の首を刎ね飛ばす寸前で止まった。
「隊長殿!半人前とは言え神殺しは問答無用でこの世界からの永久追放となり申す!刀を納められよ!」
「そうだよ!リーナは絶対に見つかるから!リーナが帰って来た時に隊長さんがいなかったらリーナが悲しむよ!?」
「ジーク!聖獣達が言ってるんだ!リーナは大丈夫だと!」
俺は一つ息を吐くと魔力と刀を納めた。
「・・・それで?リーナはどこにいる?」
俺は目の前の半人前の神にそう聞くと神は俯いただけだったので、首を掴み俺の目の前まで引き上げた。
「・・・どこにいるのか聞いてるのだがな?」
「・・・・・・・・・・・・・・わ、分からない」
「何やてっ!?あっ!こらっ!ジーク!アカン言うとるやろがっ!」
そして、俺が目の前の半人前の神の首を砕こうと魔力を流した瞬間、魔力をぶつけられたのは分かったがそれ以上は暗闇となったのだ。




