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その55

 ゴォォォォォォッ!ドガーーーーーーンッ!!


 グオォォォォォキュルルルルルルルッ!


 「・・・おい!クソガキ!部屋もぶっ壊れたし晩飯の時間やし、また明日や!」


 「は?殺し合いにまた明日はある訳ないよね?」


 「お前も分かっとるやろ?お前には俺様は殺されへんで?何でか?お前が修行をサボりまくってるくせしよって中途半端に聖獣作りまくっては闇堕ちさせとる半人前やからや」


 わたしはこのクソガキが闇堕ちした聖獣を作った張本人だったのかと、ちょっとびっくりしたけど納得出来てしまったのは言うまでもない。


 「まあ、お前が半人前のお陰で俺様達の食卓は潤っとるから、そのままでも全然ええんやけどな〜。せやけど、しょうもない因縁は付けてくんな!俺様達はお前みたいに暇やあらへんねん!」


 白龍にそう言われた半人前の神は初めは悔しそうな顔だったけど、だんだんとしょんぼり顔になっていった。


 「・・・だって・・・だって、僕の修行に付き合ってくれる神がいないんだから修行のしようがないんだよ!」


 そして、しょんぼり顔から一転憤怒の形相に変わると、巨大な魔法を展開してわたし達のいる入り口の方に向かって放出した。


 「アカンっ!白虎っ!白雀っ!盾になれっ!」


 そう言われた瞬間、慌てて白虎と白雀は元通りの大きな体に戻ったのだけど、晩ご飯を作ろうとテーブルを離れていたわたしとハムちゃん達までの盾にはならなかったので、わたしはハムちゃん達を何とか纏めて白虎と白雀の所まで押し飛ばした瞬間、何も感じる間もなく視界は真っ暗闇になった。


 「リーナーーーーーーーーーーーーーッ!!!」


 そして、ニックの叫び声を聞いて思考も途切れたのだ。


 ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 『・・・・・・・・・・・・・・・・三途の川かな?』


 目を開けると、突っ立っているわたしの目の前に激流の巨大な川があったので思わずそう考えたのはしょうがないと思う。


 そして、どこも痛くないけど自分の体の状態を確認しようとして固まってしまった。


 『え?わたし人間になってる?』


 どう言う事かと思いながら自分のだろう人間の手で顔を触ってみた所、これまでのタヌキ顔ではない人間の顔になっているのが分かった。


 『・・・尻尾も獣耳もモフ毛も無い・・・』


 わたしはもう何が何やら分からないので、思わずその場にへたり込んでしまった。


 『・・・って言うか、ここどこなんだろ?痛くなかったけど、わたし死んじゃった?』


 そして、漸く思考を開始したわたしはあの状況からして、痛みを感じる間もなく死んだのだろうと結論付けた。


 『死んだら人体になるんだね〜。あっ!今ならスキル使えるのかな!?』


 わたしは自分が死んだ事よりも人体となりスキルが使えるかも知れない事に、ちょっとワクワクしたのは許して欲しい。


 『・・・えーっと、スキルの使い方ってこうよね?先ずはスキルオープン!』


 そして、わたしは王子妃教育で習った通りにスキルを使ってみる事にした。


 


  スキル 茶釜


      ・六神通力 神足通 オン

            天眼通 オン

            天耳通 オン

            他心通 オン

            宿命通 オン

            漏尽通 オン




 『・・・わたしのスキルって神通力?え?わたしって獣人のタヌキじゃなくて妖怪のタヌキだったの!?』


 わたしはまさかのスキル茶釜が神通力だと言う事にびっくりしながら、とりあえず神足通からその詳細をタップして見てみた所、下三つは人として必要無さそうだったので、そっとオフにした。


 『・・・って、今さらスキル使えてもな〜』


 わたしは相変わらず轟々と流れる三途の川的なものを見て、これからどうしようかと考えた。


 そして、しばらく考えた後どこまでも見渡せるはずよね?と思いながら辺りを見渡してみた。


 『あっ!あっちに家がある!行ってみよっと!』


 わたしは川の向こうの遥かに遠い場所に見えた家に行ってみる事にし、スキルを発動中だからと思いながら目の前の三途の川的なものを飛び越えようとジャンプした。


 ドボンッ!


 『へ?モガっ!?フガっ!?アガーーーーっ!?』


 こうして、わたしは変化自由自在で運動神経も身体能力も抜群のスキルを発動中のはずなのに、激流の川に落ちるとどこまでも流されまくり、やがて再び思考が途切れたのだ。


   




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