その54
「ふーん、そいつら死んでないんだ?僕としては気に入らないかな?」
『ちょっと!いきなり何するのよ!あんた誰よ!』
「え?僕の事分からないの?君、獣人だよね?学校行ってないとか?あ、君達は僕が誰か分かるよね?」
見た目は虹色の腰に白い布を巻いただけの可愛らしい少年がハムちゃん達を見た瞬間、ハムちゃん達は一斉にわたしの背後に固まって震え出した。
「アハハハハハハ!あのおっさんの作った神使弱過ぎ!」
わたしとしてはここまで聞いたら見た目もあり、どう考えても神なのだろうとは理解したけど、神様では無いなと思った。
(り、リーナ様!その方はダメです〜!あたし達無理です〜!)
『え?ハムちゃん達何かされた?』
(はい!ダイエットしてたあたし達の目の前でご飯やオヤツをこれ見よがしに食べてました!)
(それに態々あたし達の目の前に来てデブって何回も言われました!)
(そして、デブには人権は無いって転がされました!)
(あっ!男神様に地獄の断食ダイエットを提案したのはこの方なんです!)
(それなのに、あたし達が地獄にいる間もデブって言いに来てました!)
(あたし達が断食ダイエット中なのにやっぱり目の前でご飯やオヤツを食べてました!)
(地獄から出た後もずっとデブって言って笑ってました!)
『・・・』
震えていたハムちゃん達はいつの間にか震えは止まり、された事を吐き出したからか怒りの形相になっていた。
そして、わたしとしては神がクソガキとか、ここの神っていったい何なんだろう?と物凄い疑問に思ったのは言うまでもない。
「・・・おいこら!クソガキ!お前、俺様に何してくれとんねん!」
「は?クソガキって、もしかして僕の事?聖獣如きが何言ってるの?」
「何やとコラァ!俺様はもうただの聖獣とちゃうわ!見て分かるやろが!」
「あー、ただの最上位なのは見たら分かるよ?」
「お前、死にたいんか?」
「へぇ、聖獣如きが神に勝てるとでも?」
「・・・リーナ。他のもん連れて部屋から出といてくれへんか?」
わたしは白龍の雰囲気が変わったので慌ててハムちゃん達に頷くと、未だ気絶してる皆んなをハムちゃん達と部屋から運び出した。
こうして、【暗闇の深淵】第七階層での白龍VSクソガキの戦いは始まったのだ。
(((((((・・・リーナ様〜!クッキーが焼けました〜!)))))))
『ありがとう!』
わたしは高級野営セットの座り心地の良い椅子に座って、ハムちゃん達がテーブルのお皿に追加してくれた美味しそうなクッキーを一つ摘むと齧り付いた。
「・・・それにしても凄まじいな。部屋が崩壊しそうだぞ?」
「まあ、ここはダンジョンですから崩壊した所で元通りになりますから宜しいのでは?」
「白龍様って神様と同じくらい強いんだね!」
「って言うか、あの神様が白龍様と同じくらいの強さなんじゃね?」
「そうなんだよな!あの神様はまだ半人前で、不意打ちだったから俺達に当たったけど、正面からなら先ず当たらないからな!」
「拙者も不覚を取ってしまい申した!だが、何故あの方がこちらにおられるのか?」
「ハムスターさん達のされた事を聞いた感じだと、暇なんじゃないかなぁ?」
「だよな〜。神様とか仕事ないのかな〜?」
「半人前らしいから仕事も無いんじゃないか?」
『・・・』
わたしは最初は白龍が死んだらどうしようかと思って気が気じゃなかったけど、今現在は力が完全に拮抗状態だから、ただただダンジョンの部屋がぶっ壊れてるだけにしか見えないので全く心配する事無く、気絶から復活した皆んなと野営セットでお茶をしてるのだ。
グオォォォォォキュルルルルルルルッ!
「おっ!昼飯の時間やな!リーナ!今日の昼飯は何や?」
『カツ丼だよ〜』
「そうか!出来たら呼んでんか!」
「は?お前、今僕達が何してるか分かってるの?」
「分かっとるわい!クソガキ!せやけど腹が減っては戦はできん言うやろが!お前も昼飯食って来いや!」
そして、再び魔法をぶつけ合う二人を尻目に、わたしはハムちゃん達とカツ丼を作ったのだ。
「・・・ホンマ、リーナのカツ丼は絶品やな!カツはサクサクやし卵はトロトロやもんな〜!味付けも出汁が良う効いとるしな〜!」
ぐ〜きゅるるる
「うんうん!本当に美味しいカツ丼だよね!お代わりしていい?」
ぐ〜きゅるるる
「城の食堂より美味いのは、やっぱりこのカツ丼の肉が闇堕ちした聖獣だからなんじゃね?」
ぐ〜きゅるるる
「まあ、それもあるだろうけど、リーナとハムスターさん達の調理技術もあるんじゃないかなぁ?」
ぐ〜きゅるるる
「だな〜。幾ら素材が良くてもそれを活かす人材がいなければ成り立たないからな〜」
ぐ〜きゅるるる
「何れにせよ、俺達はリーナとハムスターさん達無しの人生はもう考えられないよな!」
ぐ〜きゅるるる
「は〜!食った!食った!ほな、ぼちぼち行こか〜」
こうして、お昼ご飯休憩を挟んで、白龍VS腹ペコクソガキとの戦いが再び始まったので、わたし達は食後のお茶をする事にしたのだ。




