その47
「それじゃあ、皆んなちゃんと掴まっててね〜」
わたし達が白亀の背中に乗ると白亀はフワリと浮き上がり、テッドおすすめのミョウガの群生地へと向かって出発した。
「うわぁ!リーナっ!空を飛ぶって気持ち良いねっ!」
わたしはキラキラした笑顔のニックに大きく頷き同意した。
『でも、物凄いスピードなのに心地良い風しか感じないんだね〜』
「そら、俺様が風をコントロールしとるからやで〜。せやなかったら、今頃お前等は吹っ飛んどるわ〜」
『そうなんだ?ありがとう白龍!』
「おう!この礼は今夜の酒と美味い料理でええからな〜!」
そして、わたし達はあっと言う間にミョウガの群生地へと到着したのだ。
『・・・うわぁ!いっぱい生えてる〜!』
わたしは本当に群生地と呼ぶに相応しい見渡す限りのだだっ広い山の頂上にびっしりと生えてる前世と比べると若干大き目のミョウガに狂喜乱舞しながら、早速ミョウガ採りを始める事にした。
「こんなにいっぱいあるんやったら、俺様の魔法で掻き集めたろか?その方が早いやろ?」
「あら?ミョウガはあんたと違って繊細な生き物だから、魔力を過剰にぶつけたら色も変わるし味も物凄く落ちるわよ〜?」
「はあっ!?俺様はデリケートでセンシティブでナイーブやっちゅーねんっ!」
わたしはそれは無いな〜と思いながら、たぶん皆んなも生温かい目だったから同じ気持ちでせっせとミョウガ採りに勤しんだのだ。
『・・・結構いっぱい採れたな〜』
しゃがんでいたわたしは、周りのまた直ぐに生えてくるらしいミョウガを採り切ったので、立ち上がり周りを見渡した。
『ニックもちゃんと採れてるね〜』
この世界のミョウガは過剰な魔力に弱いので、ニック達も身体強化魔法を最低レベルにして採取し始めたのだけど、ニックだけは最初の頃はミョウガの色が変わりまくっていたのだ。
わたしはニックが楽しそうにそっとミョウガを採ったのを見てから、次に採取する場所を探した。
『・・・ん?あれ何だろ?』
わたしは皆んながせっせと採取してる群生地の外れの遠くの方に、やたらとキラキラした箇所があるのが見えたので見に行く事にした。
『・・・虹色のミョウガだ!?』
わたしは採取前の白亀のレクチャーで、極々たまーに生えてるらしい虹色のミョウガは、それはもう爽やかな味と香りが絶品なのだと聞いていたから、一目散に駆け寄ったのは言うまでもない。
ズボッ!
『え?』
わたしは足が地面に着かなかった事にびっくりし、そのまま落下した事で思わずタヌキの大絶叫を上げた。
『ギャーーーーーーーーーーーーーーーッ!?』
そして、わたしの視界は真っ暗闇になったのだ。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いつになったら底に着くんだろ?』
わたしは腕とあぐらを組みながら未だに絶賛大落下中で視界も真っ暗なので、まあまあ落ちるのに飽きて来てた。
わたしとしては、とりあえず落ちた先に串刺しの罠みたいなものがなければ良いなと思ってる。
まあ、万が一あったとしてもわたしが串刺しになる事は無いだろうけど、チクッとはするはずなので痛いのは本当に嫌いなのだ。
ズボッ!
『あ、着いた?』
「ブホッ!?」
『・・・』
わたしは視界が明るくなった瞬間着地に対して身構えたのだけど、お尻に衝撃があり、何かに乗っかったのが分かった。
そして、そっと降りて見ると、そこには気絶してるムキムキマッチョな真っ白な髪の毛のおじさんが横たわっていた。
『・・・え?誰だろ?』
わたしはムキムキマッチョなおじさんの服装が前世の布を巻き付けた古代ローマっぽい感じだな〜と思いながら、とりあえず起こす事にした。
『おじさん起きて下さい』
「うーん・・・」
わたしが軽く揺さぶるとおじさんは目を開けたのだけど、その目は虹色に光っていたのでびっくりした。
そして、虹色の目と言うのは王太子妃教育で習った女神の目の色だと思い出したのだ。
『女神?』
「いや、我は男神だな」
『ですよね。えーっと、お尻で踏んで申し訳ございませんでした』
「まあ、我も何か落ちてくるなと思って、のんきに見上げていたからな。許す。それで?お前は獣人族であるよな?何故ここに落ちて来たのだ?」
『それは・・・』
わたしはミョウガ採りをしていたら虹色のミョウガを見つけたので、採ろうと近寄ったらいきなり落ちてここに着いた事を説明した。
「・・・なるほどな。彼奴等の魔法が雑過ぎて世界のあちこちに穴が開いたらしいからな・・・ああ!そうだ!お前達の世界に我の眷属である神使が行っておらんか?そっちの世界では知らぬだろうが、神使と言うのは背中に羽が生えた我等の部下や友達と言う感じなのだがな。神界にも、ここ地獄にも居らぬのだ」
『えーっと・・・・・・・・・ハムスター的な?』
「おおっ!?やっぱりか!?我がちょっと修行の旅に出ておった間に居なくなっておったのだ!ハムスターと分かると言う事は断食ダイエットは成功だったようだな!」
『・・・』
こうして、わたしが到着したのは地獄なんだと理解したのだ。




