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ジークフリードSide〜その11

 次の日の朝、俺が下に下りると既に全員がダイニングテーブルに着いていた。


 そして、俺も美味そうな匂いのする料理が並んだテーブルに着くと、リーナが兄上と白亀の口に二日酔いの薬を流し込んだのだが、二人とも綺麗さっぱりリーナの酒に瞬殺された事は覚えてなかった。


 ・・・まあ、思い出されても面倒臭い事になりそうだよな。だが、あの酒ちょっと飲んでみたいんだよなぁ


 俺はカメ肉ってこんなにうまいんだなと思いながらも、とりあえず兄上達の予定を聞いてみた所、どうやらどこまでも付いて来るみたいだった。


 だが、白亀の言葉でダイニングの空気が変わったのだ。


 ・・・え?悪魔って本当にいたのか?と言うより、女神っていたのだな


 俺はこの世界の神と呼ばれる存在は、俺達が作った想像上の存在だとずっと思っていた。


 何故なら、今現在この世界に暮らすあらゆる生き物のお陰でこの世界は動いているし、それで何の不都合も無く皆が生きていて、女神と言うのは世界のあらゆる生き物の、謂わば心の拠り所みたいなものだと思っていたからだ。


 ・・・と言う事は、女神を信じる者は最終的には救われていたのか?いや、それはなさそうだな


 俺は白亀達の話を聞く限りでは神は複数いるらしく、我が国が信仰する女神はどうか分からないが、なかなかクセのありそうな神達もいるようだった。


 そして、世界の平和が脅かされてる事が分かった俺達は父である皇帝陛下へ報告に向かったのだ。


 「・・・一ヶ月後か」


 「ジーク。生きて戻れたら良いな」


 「そうだな。だが、何故俺達だけで行くんだろうな?他の三国にも知らせた方が良くないか?他国も軍隊を持ってるよな?」


 「実際問題、今迄ほぼほぼ交流の無い他国と連携しての討伐は準備が整った頃には悪魔が塔から出て来てるな。それに、ジークも獣人族や魔族やエルフ族と昔あの時に多少の交流はしたよな?彼奴等と一緒に戦えると思うか?」


 俺はヴァージルにそう聞かれて、俺がまだ幼かった頃に一度だけ開かれた世界交流の為に各国の王族を招いてのパーティーに来ていた子供達の交流会に側近のヴァージルと参加した時の事を思い出した。


 その交流会ではアンジュ兄上とラスター兄上が何が理由か未だに教えてくれないが魔族の王子達と大喧嘩を始めて、獣人族の俺達よりも幼かった王子達は面白そうだと乱入し、エルフ族の王子達は囃し立て嘲笑いながら女神の加護とやらを連発した結果、交流会の会場だった離宮が崩壊したのだ。


 「・・・・・・・・・彼奴等とは無理だな」


 そして、結局俺達は少数精鋭で悪魔に挑む事となり、一ヶ月後に【禁足の塔】の七階へと向かった。


 ・・・タヌキローストで釣れるのか。まあ、美味いだろうけどなぁ


 俺は討伐開始が夜に決定した後にリーナが試してみたい事があるらしいと聞いて、いったい何をするのかと思って見ていたら、リーナは何やら仕込んだタヌキローストでまさかの悪魔の一本釣りをしたのだ。


 そして、何故か物凄く小さくなった悪魔は薄汚れた貧相な生き物だったが、ヴァージルが丸洗いした結果、見た目はモフモフで丸い薄茶色のハムスターで動物型の神使と言う存在だと分かり、更にどうやらリーナに餌付けされたみたいだった。


 ・・・まあ、世界が平和なら良いか


 こうして、ヴァージルが色々と計算したらしい七匹のハムスター達の餌代はリーナと聖獣達で賄って貰う事になるけど、ハムスター達は騎士としてロゼルナイト領民となり、演習場の隅に暮らす事となったのだ。


 「・・・第一班は何をしてるんだ?」


 「朝早くに独身寮からの退寮を言って来たらしいから、あそこで暮らすんじゃないか?」


 「・・・そうか」


 俺は休暇中で文官達も休みだが領地経営の為の新規事業の書類が山積みだからとヴァージルにこき使われていて、執務室から見える演習場に暮らすリーナ達の建物の横にリーナの私物である高級野営セットの大きなテントがある事に気づいて見ていたら、第一班の騎士達が出入りしていたのだ。


 「・・・なあ、ヴァージル。ちょっと様子を」


 「見に行かなくて良い。仕事しろ。と言いたいとこだけど、まあ、気になるよなぁ。見に行くか」


 そして、俺とヴァージルはこっそりとリーナ達の建物の中を覗くと、そこには驚愕の光景が広がっていた。


 「・・・ハムスターって料理出来るんだな」


 「まあ、普通のハムスターじゃないしな。戻るぞ」


 「えっ?」


 「仕事が溜まりに溜まってるんだ。俺達に遊んでる暇は無いよな?」


 「・・・」


 こうして、俺は美味そうな朝飯をモリモリと食べているリーナ達に後ろ髪を引かれまくりながら、執務室へと戻ると、ヴァージルから投げて寄越された味気ない携帯食料を齧って仕事を再開したのだ。


 


 


 


 

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