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その43

 「・・・ふむ。悪魔は一年後には塔から出て来くるとな?」


 「あたしの計算ならそんな感じね〜」


 「たった一年しかあらへんのかいなっ!?」


 「それに、この千年で益々巨大化してるみたいなのよ〜」


 「本当でござるかっ!?奴等は千年前も山の様な大きさでござったぞっ!?」


 「そうだよなっ!だから、その物凄い食欲で世界は根こそぎ食い尽くされたもんなっ!」


 「・・・その様な悪魔が、今この世界に現れたらどうなるのだ?」


 「そら、ぺんぺん草も生えてへん世界になるに決まっとるわっ!」


 わたし達はあれから【禁足の塔】を出て、直ぐにロゼルナイト辺境伯城に戻ると、その足で帝都の皇帝陛下に悪魔の襲来がある事を伝えに向かったのだ。


 「それなら討伐するしかないよねぇ?悪魔はどのくらいの軍勢かは分かるのかな?」


 「軍勢と言う規模じゃないわね〜。彼奴等は数で言えば七匹ですもの」


 「七匹だけど、一匹一匹が山の様な大きさって事かい?」


 「そう言うこっちゃ。ホンマ彼奴等バカでかいよって地獄に叩き落とすん、めっちゃ苦労したんやで?」


 「奴等も最初は小さき存在だったと聞いており申すが、本当でござるかな?」


 「らしいよね!何でも食べてめちゃくちゃ大きくなったんだっけ?」


 そして、早いうちが良いだろうと、一ヶ月後にアルドーラ大帝国騎士団による悪魔討伐が行われる事となったのだ。


 「それで?白亀は悪魔とはどの様に戦うべきだと思うんだい?」


 「そうね〜。彼奴等は異世界を食い尽くすのに夢中になってるばずだから、奇襲で各個撃破が一番良いんじゃないかしら?あたし達の人数も人数だしね〜」


 わたしは皇太子の問い掛けに若干苦笑してこちらを見ながら言った白亀に、まあ、少数精鋭だしな〜と納得した。


 最初は悪魔討伐はアルドーラ大帝国帝国騎士団の全総力を挙げて当たる事になっていたのだけど、白亀のお眼鏡に叶った戦力になる基準をクリアした騎士が、たったの十人だったのだ。


 ちなみに騎士十人の内訳は、わたし・隊長・副隊長・第一班・皇太子・第二皇子で、それに聖獣組と言う、この前の討伐組の編成に白亀が追加されただけだった。


 「奇襲するんだっ!?俺、大丈夫かなっ!?奇襲とかした事ないよっ!?」


 「ニックはガキの頃から隠れるの下手だし、奇襲とか無理なんじゃね?」


 「だよな〜。毎回、絶対に尻が見えてたんだよな〜」


 「えっ!?そうだったのっ!?」


 「だから、お前の事は三回に一回はスルーして、鬼にならない様にしてやってたんだぞ?」


 「そうだったな!最初、立て続けに鬼にしたら泣き出したもんな!」


 『・・・うん。何か下手そう』


 わたしが頭隠して尻隠さずを体現している、子供の頃のニックを容易に想像出来てしまったのは言うまでもない。


 こうして、わたし達は次の日にロゼルナイト辺境伯領の【禁足の塔】へ、悪魔討伐に向かったのだ。


 『・・・何もいない?・・・・・ん?あれかな?』


 わたしは【禁足の塔】の七階の入り口から、こっそりとどこまでも続く青空と大草原を見たのだけど、遠くの方にポツンポツンとめちゃくちゃ大きな山があって、それがもぞもぞとちょっとずつ移動しているのが分かった。


 「彼奴等、ちょっとどころやないぐらいに更にデカくなってへんか?」


 「異世界は広いでござるから、食べ甲斐はありそうでござるな!」


 「何か土まで食ってそうに見えるのもいるんだけど?」


 「あれは土も食べてるわね〜。本当に悪食よね〜」


 わたしは地面の下に潜った感じで食べ進んでいると言う事は、悪魔って本当にめちゃくちゃ巨大なんだなと思った。

 

 ブオーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!


 その時物凄い咆哮が聞こえたと思ったら、近くの地面がちょっと割れたり隆起したりと異世界が少し震えた。


 「相変わらず凄まじい威力やな〜!まだ、安全地帯におるからええけど、中におったら吹っ飛ばされとるで!」


 『白龍でも?』


 「おう!俺様も何回吹っ飛ばされたか!彼奴等、魔法も咆哮で吹っ飛ばしよるから厄介なんや!」


 「それにしても、この状況はマズいわよね〜」


 「遮る物が全くないからねぇ。奇襲しようにも隠れる場所がなければ移動も出来ないよねぇ」


 「兄上、夜になるのを待つしかないのではないか?」


 そして、白龍と白亀と皇太子や隊長達が改めての作戦会議に入ったので、わたしは入り口から巨大な山の様な悪魔を今一度じっくりと観察する事にした。


 ブオーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!


 (ん〜!止められない止まらない!)


 ブオーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!


 (美味しくないけど、食べたいの!)


 ブオーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!


 (本当は美味しくない物なんか食べたくないのに!)


 ブオーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!


 (でも、食べるのを我慢出来ないんだもん!)


 ブオーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!


 (また大きくなっちゃうよ〜!)


 ブオーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!


 (不健康だって、また神様に怒られる〜!)


 ブオーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!


 (地獄のダイエットとか出来ないの〜!)


 『・・・なるほど』


 わたしは悪魔の言葉が理解出来た事にびっくりしながらも、何故か悪魔の咆哮が全世界の乙女の叫びに聞こえたのだ。

 

 

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