その41
「ほな行こか〜」
白龍がのんびりと散歩でも行くかの如く前に出ると、ジャングルの異世界は竜巻きで全て巻き上げられ見渡す限りの更地となった。
ドゴーーーーーーーーーンッ!!!
グギャーーーーーーーーッ!!!!
そして、その一瞬後には真っ黒な巨大なカメだけが落ちて来たのだ。
『どこの世界でもカメはひっくり返ると動けないんだね〜』
「まあ、そう言う生き物やからな〜。白虎、燃料投下してや〜」
「承知つかまつった!」
そして、白虎が前に出るとひっくり返りジタバタしてる真っ黒な巨大のカメの上に大量の液体が振り注いだ。
『・・・この匂い消毒薬?』
「そや。白虎のは良く燃えるで〜。白雀、火ぃ付けたってんか〜」
「任せろっ!」
そして、白雀が前に出ると手前から舐めるように物凄いスピードで火は燃え広がって行ったのだ。
『・・・ん?あれ何だろ?』
「何や?どないかしたんか?」
わたしはどこまでも続くひっくり返った真っ黒なカメの物凄く遠くの方に、ポツンと白いジタバタしてるものが見えたのだ。
『白龍、あっちの方に何か白いカメみたいなのがひっくり返ってるよ?』
「は?」
そして、白龍は少し目を眇めたと思ったらカッと見開いた。
「な、な、な、何で白亀がおんねんっ!?あいつ神界行って来る言うてなかったかっ!?アカン!さすがに白雀の火やとあいつが燃えてまうやんけっ!ちゅーか白虎の燃料投下しとるさかい白虎の水でも消せんよなっ!?」
「む、無理でござる!面目ない!」
「俺が飛んでも間に合わねぇぞっ!?どうすんだよ白龍っ!」
『そうだ!』
わたしは閃いてしまったので、速攻で頭陀袋を下ろし魔法具の釣り竿を出すと投擲した。
『えいっ!よしっ!釣れた〜っ!』
そして、わたしのフライフィッシングで鍛えた投擲技術と獣人の怪力で、ひっくり返った白いカメっぽいものは火が付く一瞬前に釣り上げられたのだ。
「ちょっと!このあたしを釣るなんて、どこのどいつよっ!あら?あたし好みの良い男がいるわっ!ねぇ、今からあたしとデートしない?」
「僕、カメとは無理だねぇ。それに君、絶対男だよねぇ?」
こうして、カメの聖獣の白亀とやらは燃える事無く無事に生還したのだ。
『・・・何か海鮮の良い匂いする』
「あー、あいつらの甲羅アホみたいに硬いから蒸し焼きみたいになっとんな〜。一応食えるで?」
そして、わたし達は海老みたいな貝みたいな良く分からないけど絶対美味しいのは間違い無いだろう闇堕ちしたカメの聖獣を全回収して、本日の討伐を終えたのだ。
「ちょっと皇太子っ!もっと飲みましょうよ〜!本当にあたし好みの良い男よね〜!あっ!あたしあんたならペットになってあげてもいいわよ〜?」
「・・・リーナ。泡盛を出してくれないかい?」
「あら?すっごく美味しいお酒ね〜!これなら幾らでも飲めるわ〜!」
わたし達は今現在、六階の安全地帯で野営を設置して建物の前で晩ご飯の焼き肉をしてるのだけど、白亀が皇太子をめちゃくちゃ気に入ったらしく、絶賛纏わりついてうざ絡み中なのだ。
「このカメ肉めちゃくちゃ美味しいね!」
「タヌキ肉もマジヤバくね!?」
「俺はゴリラ肉だな〜!」
「俺はゾウ肉がいい!」
「取り敢えず闇堕ちした聖獣って美味いよなぁ!」
今日の焼き肉は今迄の聖獣のお肉を全て使った焼き肉なので、ニック達は勿論、隊長達も皆んな笑顔で食べていた。
「・・・リーナ。もっと強い酒はあるのかな?」
わたしがカメ肉を頬張っていたら皇太子にそう聞かれたので小さく頷いた。
「あら?これより強いお酒?皇太子ってば、あたしを酔わせてどうするつもりなの〜?」
「・・・さあ?どうしようかな?」
わたしはご機嫌な流し目の白亀と、笑顔なのに目が全く笑ってない皇太子の前に、前世のあの世界最高峰のアルコール度数を誇るお酒をそっと置いてあげたのだ。
「・・・それじゃあ、改めて君との出会いに乾杯」
「ええ、あたし達の運命の出会いに乾杯」
バタンッ!!
「やっと静かになったな〜」
「・・・リーナ。アンジュ兄上達に何を飲ませたのだ?」
「ジーク、それ強い酒やけど死んでへんから大丈夫やで〜。リーナ!俺様はハイボール飲むわ!」
「あっ!俺はカシスオレンジ!」
「拙者は淡麗辛口をお願いするでござる!」
こうして、わたし達は平和に焼き肉食べ放題の大宴会を続けたのだ。




