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ジークフリードSide〜その10

 「・・・これは凄いな」


 「はい、もはや野営のレベルでは無いですね」


 リーナの新しく購入した野営セットの建物の中の一階は貴族の狩猟小屋と言った感じで、二階はベッドとサイドテーブルがある個室が二十部屋あった。


 そして、晩飯は闇堕ちした聖獣の肉を使った料理をリーナが作ってくれたのだが、リーナが出してくれた泡盛と言う酒を飲んで直ぐに記憶が無くなったので、殆ど食べる事は出来なかった。


 ・・・これは無理だ


 「・・・・・・・・・・今日は待機とする」


 俺はソファーで目が覚めた瞬間の物凄い気持ち悪さと激しい頭痛に呻きそうになりながら、それだけ言うと再び目を閉じた。


 ・・・良い匂いがする


 俺は美味そうな匂いに腹が鳴りそうな気がしたので、どうやら二日酔いは治ったらしい。


 そして、晩飯のしゃぶしゃぶを食べていたら白龍からアンジュ兄上がスキルを使ってると言われ本気でびっくりしたが、アンジュ兄上のスキルの行使の目的が、たぶん酒なので間違ってる様な気もした。

 

 ・・・まあ、アンジュ兄上らしいと言えばらしいか


 次の日の朝に向かった【禁足の塔】の三階には闇堕ちしたペンギンの聖獣がいた。


 ・・・また何かいる


 そして、白い雀の聖獣もいたのだ。


 ・・・これ絶対ローストビーフじゃないよなぁ


 俺はその日の晩飯がズラリと並ぶダイニングテーブルの一見ローストビーフらしきものが、たぶん闇堕ちしたペンギンだろうと思った。


 「閣下、ペンギンだろうと美味ければ宜しいのではないでしょうか?」


 俺はいそいそとテーブルに着いたヴァージルに小さく一つ溜め息を吐いてから席に座ったが、ペンギンはハイボールとの相性が最高だったので良しとした。


 「・・・ヴァージル!」


 俺は剣を弾き飛ばされたヴァージルに殴りかかろうとしている闇堕ちしたコアラの聖獣に、最大限の身体強化魔法を使って剣を叩き付けた。


 「くそっ!硬過ぎるだろう!」


 それでも、真っ黒なコアラは少し傷付いたので、怯んだ隙にヴァージルは難を逃れてくれた。


 「閣下!申し訳ございません!私の身体強化魔法では全く刃が通りません!」


 そして、周りを見ると第一班もニックが辛うじてコアラにダメージを与えられてるぐらいで、白龍や白虎に白雀も致命傷を与えられてる感じはしてなかったし、兄上達も防戦一方に見えた。


 ・・・リーナも膠着状態か。魔法が効かないらしいしどうしたものか


 『ギャーーーーーーーーーーーーッ!?』


 ドガーーーーーーンッ!


 「え?」


 チャリーン!


 俺がタヌキの絶叫からのコアラの討伐における報酬に、チラッと見たヴァージルの顔が輝いていたのは言うまでもない。


 そして、ひたすらぶん投げるだけの闇堕ちしたコアラの聖獣の全討伐は開始されたのだ。


 ・・・やっと終わった。今日の晩飯何かなぁ。酒はドライビールにしよう


 俺達が闇堕ちしたコアラの聖獣の全討伐と大白金貨の回収が終わったのは夕方過ぎだった。

 

 ちなみに晩飯はロコモコ丼とか言う料理で、リーナがレモンサワーと言う酒を出してくれたのだが最高だった。


 ・・・朝からカレーも良いものだな。タヌキ肉だけどな


 俺は朝からタヌキ肉のカレーを食べながら昨日飲まなかったドライビールを飲みたい気持ちをぐっと我慢して食べ終えると、【禁足の塔】の五階へと向かった。


 ・・・またこいつらか。晩飯は焼き肉かなぁ。って言うか、ニックの可愛いの基準は大きさか


 そして、五階の闇堕ちした聖獣は一度討伐した事のあるタヌキだったので難なく全討伐は完了し、昼飯の時にカレーに入ってるのは闇堕ちした聖獣のタヌキ肉だと全員が理解した。


 ・・・聖獣の最上位とはこれほどの力を持つものなのか


 俺は【禁足の塔】の六階の闇堕ちしたカメの聖獣の討伐は俺達では無理らしく白龍達聖獣で行われる事になったのだが、白龍が見渡す限りのジャングルを全て根こそぎ竜巻きで巻き上げて更地にしたと思ったら、白虎が燃料となる消毒薬を降り注ぎ、白雀が消える事の無さそうな青い火を付けたのだ。

 

 ・・・また何かいた


 何故か闇堕ちしたカメの聖獣の中に最上位の白亀と言うカメの聖獣がいたのだ。


 そして、その白亀はアンジュ兄上にずっと纏わりついていた。


 ・・・この二人は絶対腹黒の同類だよなぁ


 俺はアンジュ兄上からの要望でリーナが出した酒を一口飲んでテーブルに突っ伏した二人を見てそう思ったのだが、ラスター兄上もヴァージルも白龍も同じく残念な生き物を見る目だったので、たぶん間違ってないと思う。


 こうして、俺はドライビールと闇堕ちした聖獣の焼き肉を、漸く心からの笑顔を浮かべながらゆっくりと堪能する事が出来たのだ。

 

 

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