その39
わたし達は四階の安全地帯で野営をする事になり、ニック達第一班が建物を設置して、わたしと白虎は晩ご飯を作る事にした。
そして、牛の赤身っぽい見た目のペンギンのお肉を少し焼いてみた所、これは絶対にローストビーフにしたいと思ったのだけど時間かかりそうだし面倒臭いなと諦めようとしたら、白虎が白雀を連れて来たのだ。
「リーナ様!この白雀の背負う籠は入れた者の願いを直ぐ様叶える籠でござる故、この者を是非ともリーナ様のペットにするでござる!さすればローストビーフは簡単に作れるでござるよ!」
「はあっ!?何で俺がこいつの願いを叶えてやらなくちゃならねぇんだよっ!って言うか、俺は誰のペットにもならねぇって決めてんだよっ!」
「リーナ。このアホにカルーアミルク出したって〜」
こうして、カルーアミルクを飲んだ白雀は速攻でわたしのペットになったのだけど、直後白龍がわたしのペットじゃないと知った白雀が、わたしに切れ散らかしたのは知らんがなとしか言いようがない。
そして、白雀の籠は願いを叶えると言うよりは、願い通りに完璧に加工すると言った方が適正で、ちゃんと下ごしらえはしなければならなかった。
「・・・今日の晩飯はローストビーフか?」
わたしがダイニングテーブルにズラリと並んだ一見ローストビーフ・ローストビーフ丼・ローストビーフサンドイッチ・ローストビーフサラダを見ながら隊長に頷くと、本日の晩ご飯のローストビーフ祭りは始まったのだ。
『う、う、う、うんまーーーーーーっ!!!』
わたしは見た目ローストビーフを口に入れた瞬間、まるでシャトーブリアンの様なペンギンのお肉をローストペンギンにしたのは間違い無かったと確信したのは言うまでもない。
「リーナ!このローストぺ、ビーフに合う酒出してんか!」
「俺は甘い酒が飲みたい!甘ければ甘いほどいいぞっ!」
「「「「「俺達はドライビール!」」」」」
「拙者は日本酒が良いでござる!」
「「「ハイボール」」」
「泡盛!」
こうして、今日も今日とて大宴会が始まったのだ。
ちなみに、面白半分に白雀に甘酒を出してみた所、めちゃくちゃ気に入ったらしく、一生わたしのペットでいてやると言われてしまった。
グオォォォォォキュルルルルルルルッ!
わたしは次の日の朝、お腹の鳴る音で目が覚めた。
そして、朝ご飯を食べ終えたわたし達は野営を撤収すると【禁足の塔】の四階の入り口に向かったのだ。
『・・・こいつめっちゃ硬いし、力強いなっ!?』
わたしは自分の身長約1メートルの倍以上はありそうな闇堕ちした真っ黒なコアラの聖獣と手四つになりながら、そう思った。
ちなみにわたしの尻尾の長さも50cm程あり、前世のタヌキよりはかなり大きいけど、今世では犬や猫もこの大きさで小動物扱いなのだから、わたしが可愛い小動物なのは間違いない。
ここ四階の大きな岩がごろごろ鎮座してる荒地の闇堕ちしたコアラの聖獣にも白龍が言うには魔法は効かないらしく、先程物理攻撃での全討伐が開始されたのだけど、ぶん投げる為に掴もうとしたら図らずも手四つの体勢になってしまったのだ。
獣人のわたしが思うぐらいだから、人間の隊長達は速攻で剣を弾かれ苦戦しているみたいだった。
パカッ!
『ん?』
わたしが手四つの体勢からどうしたものかと考えていると、こちらを見下ろすコアラの顔が縦に割れ、中からあの有名な映画に出て来るよりも醜悪なギザギザの乱杭歯の口が現れたのだ。
『ギャーーーーーーーーーーーーーーーッ!?』
わたしは一瞬で全身の毛が逆立つほどの気持ち悪さに、叫びながら思わず掴んでいたコアラの手を思い切り振り払ってしまった。
ドガーーーーーーンッ!
チャリーン!
『え?』
そして、わたしが振り払ったコアラが飛んで行ったと思ったら大きな岩にぶつかった瞬間に、何やら白っぽくて丸い大きな硬貨に変わったけど、岩は無傷だった。
「あれは大白金貨っ!?閣下っ!リーナの戦い方でいきましょうっ!!!」
副隊長はそう言うと速攻で剣を納め、目の前の闇堕ちした今ではコアラかどうかも怪しいギザギザの乱杭歯の聖獣を掴むと大きな岩に向かってぶん投げた。
ドガーーーーーーンッ!
チャリーン!
「なるほどな〜。こいつら硬いし魔法効かんし討伐するん面倒やと思っとったけど、ここの岩は異世界の岩やし普通の岩ちゃうもんな〜。あらよっと!」
そう言うと、白龍は尻尾で闇堕ちしたコアラの聖獣を弾き飛ばして大きな岩に叩き付けたら、またしても大白金貨とやらに変わった。
こうして、わたし達VS闇堕ちした真っ黒なコアラの聖獣達との大乱闘が始まったのだ。
『・・・翼が欲しい』
わたしはもう見慣れたギザギザの乱杭歯のコアラの聖獣を大きな岩に向かってぶん投げると、近くで上空からコアラの聖獣を岩に向かって落としている白雀を見上げそう思ったのは、長時間投げまくって飽きたからだ。
そして、今現在わたしが見渡した所、隊長と皇太子も絶対飽きてるし、第一班もニック以外は若干飽きてるっぽいし、白龍に至っては大きな岩の上で寝てる始末だった。
『・・・めっちゃ頑張ってるのは副隊長とニックと白虎と白雀か〜』
わたしは何故か嬉々として真っ黒なコアラを投げまくってる副隊長と、楽しそうにお喋りしながらぶん投げてるニックと白虎と、これまた何か楽しそうに落としてる白雀を見てそう思った。
『痛っ!?何するのよっ!』
わたしはただただ殴るだけの攻撃しかして来ない真っ黒なコアラに頭を殴られたので、掴むと大きな岩に向かってぶん投げた。
チャリーン!
こうして、【禁足の塔】四階の闇堕ちしたコアラの聖獣の全討伐と大量の大白金貨の回収は夕方過ぎに終わったのだ。




