その37
『・・・うわぁ!』
わたしはさっさと入って行く皇太子の後を追いかけて建物の中に入ると、あまりの凄さにそれ以上言葉が出なかった。
「うん!なかなか良い感じだねぇ!」
皇太子はそう言いながらめちゃくちゃ広い部屋の入って右側にある全面ガラス張りの応接セットへ行くと、上座のソファーにどっかりと座った。
わたしも一頻りふかふかなソファーの座り心地を確かめ、その奥のダイニングテーブルセットを見てから入って左奥にある広いアイランドキッチンへと向かい見上げた。
『・・・』
「リーナ、これで見える?」
わたしはニックに抱きかかえられて全てが完備されてる巨大なアイランドキッチンの全貌は見れたけど、どう頑張ってもわたしの身長では料理は無理そうだった。
「なぁ、第二皇子。リーナが料理しやすい踏み台作ったってや。お前ならお茶の子さいさいやろ?」
すると、名指しされた第二皇子が少しびっくり顔になってから左手を振ったら、何も無い空間に踏み台が現れたのだ。
『うわぁ!魔法みたい!』
「魔法や!」
わたしは白龍のツッコミをスルーして踏み台に上ると、これならちゃんと料理が出来そうだったので、ペコリと第二皇子皇子にお礼のお辞儀をした。
「・・・礼は良い。その踏み台は魔力で自動走行するように作ったから、便利に使うと良い」
『えっ!?凄いっ!』
「リーナは魔力あらへんで〜」
「・・・それなら手動だな」
『・・・』
わたしの今世はあるあるの異世界転生なのに、魔力の無い獣人なのを心の底から残念に思ったのは言うまでもない。
そして、二階を見に行くとちょっとお高いビジホっぽい個室となっていたので、この前の買い出しで冒険者ギルドで見つけて思わず購入してしまったけど、良い買い物をしたなと満足した。
ちなみにこの野営セットの値段は、わたしが前世で暮らしていた地方都市の駅前のタワマンの低階層ぐらいしたので、副隊長が買い取ってくれた闇堕ちしたカラスの聖獣の体内に蓄えられていた宝石の売却代金を全額突っ込んでいる。
『・・・何作ろうかな〜』
わたしは晩ご飯を作る為に下に下りると、取り敢えず今日討伐したゴリラとゾウのお肉を焼いて食べてみた。
『・・・こ、これはっ!?』
わたしはゴリラとゾウのお肉に衝撃を受けて、速攻で晩ご飯を作り始めた。
『・・・うんまっ!?ゾウのニラレバ炒め、うんまっ!!うわぁ!?このゴリラのホルモンピリ辛味噌炒めも、めっちゃ、うんまっ!!!』
「リーナ!酒や!酒や!酒、出さんかいっ!」
「リーナ様!これは白飯にめちゃくちゃ合うでござるな!拙者、今夜は食べ過ぎてしまうかもでござるっ!」
「うんうん!俺もヤバいぐらい食べるかもっ!あっ!お代わりするねっ!」
「これは酒も進むよね〜!でも、今は白飯かな〜!」
「って言うか、闇堕ちした聖獣、美味過ぎじゃねっ!?」
「こんなに美味いもん食えるなんて、俺、騎士団入って良かった!!」
「闇堕ちした聖獣って、こんなに美味いんだぁ!あっ!?じゃあ、カレーと肉丼の肉も闇堕ちした聖獣なのかなぁ!?」
わたしはのんびりしてたら物凄い勢いで食べる白虎とニック達に食べ尽くされると考え、速攻で白龍に泡盛を出すと、お代わりしまくる事にした。
「・・・この泡盛とやらは度数ヤバいよな?美味いけど二日酔い必至だよな?」
「・・・ああ。ヤバいな。美味いけど二日酔い確定だな」
「・・・この酒は美味いが、どれほどの量を飲んだら大丈夫なんだ?俺は二日酔いになどなりたくないんだが?」
「お前達!美味い酒なら好きなだけ飲んだら良いんだよ!たとえ二日酔いになろうともリーナの薬があるじゃないか!」
こうして、白龍と隊長と副隊長、及び皇子二名が速攻で撃沈してくれたので、わたしと白虎と第一班は心ゆくまで美味しい晩ご飯を食べ放題出来たのだ。
グオォォォォォキュルルルルルルルッ!
『・・・もう朝か〜』
わたしは身支度を整えると隣りの白虎の部屋をノックしたけど返事が無かったので、わたしの為に鍵を掛けないと言っていたドアを開け、ほっかむりして寝ている白虎を起こすと一階に下りた。
そして、昨日泡盛で撃沈した四人と一匹を寝かせてあるソファーへ向かうと、先ずは白目でピクリともせずヘソ天て寝ている白龍の口の中に二日酔いの薬を流し込んだ。
「ゲホッ!?ゲホゲホっ!何すんねん!気管に入ったやんけ!ゲホッ!ゔぉぉぉぉっ!?頭がぁぁぁぁっ!?」
『あれ?効いてない?』
「そうみたいでごさるな?」
わたしは聖獣に気管なんてあるんだ?と思いながら白虎と顔を見合わせてから、取り敢えず隊長達の口にも二日酔いの薬を流し込んでみた所、全員目は覚めたけど二日酔いは治らなかった。
「・・・・・・・・・・・・今日は待機とする」
そして、隊長達が二日酔いで全く動けないので、今日は一日待機する事になり、わたしは異世界チートが太刀打ち出来なかった泡盛凄いなぁと思いながらのんびりと朝ご飯を食べたのだ。




