その34
明日には帰ると言う事で、わたし達はタヌキ丼の朝ご飯を終えると、早速【禁足の塔】の五階へと向かった。
カアッ!カアッ!カアッ!カアッ!カアッ!カアッ!
『・・・え?カラス?元々黒いよね?闇堕ちしてるの?』
わたしは五階の入り口からどこまでも広がるサバンナの様な大平原にいるカラスの大群を見てそう思ったのはしょうがないと思う。
「ねぇ白龍、カラスも美味しいのかい?」
「美味いんちゃうか〜。知らんけど」
「リーナ様!美味いかどうかは拙者も分かりかねまするが、通常カラスの聖獣は体内に宝石を蓄えるはずでござるからして、損は無いかと!」
『へぇ、そうなんだ?』
「では、是非とも可及的速やかに全討伐しましょう」
「・・・」
こうして、わたし達はちゃんと闇堕ちしてるらしい真っ黒なカラスの聖獣の大群を討伐する事になったのだ。
『イタタタタタタタタタタタタタタタタタタタッ!』
わたしとしてはカラスを捕まえて討伐したい所なのだけど、何せこいつらはすばしっこいので全く捕まえられなくて、今現在、わたしが全力疾走して逃げてるのにもかかわらず囲まれ寄って集って突かれているのでほぼほぼ前が見えない状態なのだ。
そして、【禁足の塔】五階のサバンナの如き大平原をわたしが全力疾走で闇堕ちしたカラスの聖獣から逃げ続けていたら、夕方過ぎに全討伐は完了した。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・疲れた』
結局一日中全力疾走していたので、さすがに体力がある獣人のわたしでも疲労困憊で、サバンナに隊長達が設置してくれていた野営セットのテント前の椅子に倒れ込んでしまったのは許して欲しい。
「リーナ様!大丈夫でござるか!?リーナ様のお陰で全討伐は完了したでごさるが、拙者が不甲斐ないばかりにリーナ様にご苦労をお掛けして、誠に申し訳ござらん!」
『・・・どう言う事?』
そして、わたしは今日一日ずっと皆んなも討伐を頑張っていたのかと思っていたら、白虎が言うにはカラスの大群に襲われていたのはわたしだけで、それも完全に飲み込まれていたので魔法を使う事も出来ず、カラス達の魔力切れを待ち、脱落していったのからトドメを刺していくしかなかったのだそうだ。
「まあ、そう言う事や!リーナ!俺様、暇で昼寝し過ぎて腹減ったわ!はよ、晩飯作ってや!」
『・・・は?』
わたしは目が覚めると、すっかり昨日の疲れは無くなっていたので、体力のある獣人で良かったと心底思いながらベッドから下りた。
そして、わたしのベッドの下で唐草模様の風呂敷をほっかむりして丸まって寝ている白虎を引き摺ってテントから出ると、朝ご飯を作る事にした。
「・・・リーナ様、まだ、お怒りでござるか?」
グオォォォォォキュルルルルルルルッ!
『もう、怒ってないよ。まあ、そう言う事ならしょうがなかったのも分かるし』
わたしは昨日の白龍に暇で昼寝し過ぎてのくだりで思わずブチギレてしまい、自分の携帯食料を貪るとベッドに入って寝たのだけど、別にわたしの仕事は食事を作る事じゃないので悪いとは全く思ってない。
そして、朝ご飯が出来た頃に皆んなは起きて来た。
「おい、リーナ!何で俺様の朝飯がふりかけ飯だけなんや!?」
「白龍って、まあまあアホだよねぇ」
「何やと!?しばくぞ皇太子!って言うか、お前もふりかけ飯だけやんけ!」
「うん、リーナ、何でかな?」
わたしは昨日の討伐が隊長と副隊長と白虎しかトドメを刺してなかったのは朝ご飯を作ってる時に白虎に聞いて知っていたので、ふりかけご飯を用意してあげただけ感謝して欲しいと思う。
「リーナ様!このヒツジ肉の唐揚げは絶品でござるな!」
『うん!うんまっ!マジ、うんまっ!』
わたしは何を作ろうかな?と考え、取り敢えずヒツジ肉とウサギ肉をちょっと焼いて食べてみた所、それぞれめちゃくちゃ美味しい鶏肉と豚肉っぽかったので、朝ご飯はヒツジ肉の唐揚げと野菜たっぷりの味噌汁にした。
こうして、皇太子は隊長と副隊長のお皿から華麗に、白龍は白虎のお皿から強引に唐揚げを強奪した朝ご飯が終わると、わたし達は帝都へと帰還したのだ。
「「・・・これは!」」
『うんまっ!?マジ、うんまーーーっ!!!』
わたし達がお昼前に皇宮に戻ると聖獣のお肉を皇帝陛下達が食べてみたいらしいと隊長に言われたので、皇宮の厨房にお肉を持って行った所、早速お昼ご飯を皇帝陛下達と一緒に食べる事になった。
そして、タヌキ肉のタルタルステーキに皇帝陛下達は目を見開き固まり、わたしは前世でも今世でも初めて食べたタルタルステーキと言うものに本当に感動したのだ。
ちなみに、晩ご飯はヒツジ肉のフリカッセとウサギ肉のコンフィと言う、これまた食べた事の無い料理だったので、わたしは作り方も味も知らなかった料理を食べられた幸せに包まれて、その日は大満足でベッドに入った。
そして、そろそろ休暇が終わるわたし達は次の日の朝にロゼルナイト辺境伯城へと魔法飛行船で帰ったのだ。




