ジークフリードSide〜その8
帝都へは兄上が乗って来た魔法飛行船で行く事になった。
リーナは魔法飛行船に乗るのが初めてらしく、飛行船内を物珍しそうに見て回り昼飯を食べ、窓にへばり付いていたかと思っていたら、白龍と共にサロンのソファーで寝ていた。
スピ〜!フガッ!スピ〜!フガッ!スピ〜!フガッ!
「この子面白いよねぇ」
「・・・本当にうちの大事な騎士だから、手を出すなよ?」
「大事な騎士?金のなる木なんじゃないのかい?なぁ、ヴァージル?」
「いえ、大事な騎士です」
「ふーん。益々面白いねぇ」
そう言って兄上は自分の部屋へと戻ったが、あの兄上が面白いと思った事を物凄く不安に思った。
「皇太子殿下は全てに飽いておられるからな。まあ、リーナなら大丈夫だろう」
俺はヴァージルにしては楽観的だなと思ったが、言葉にはしなかった。
・・・リーナは十六歳って言ったよな?
俺は帝都に到着して直ぐに父上達に来る様に言われたので、しょうがなしに行った所、速攻でリーナは父上達の膝の上でモフられた上に吸われた。
そして、何とか引き離しての、その後の晩餐は俺の初めての経験がたくさんあったのだ。
晩餐は和食を中心とした料理だったのだが、リーナの出した純米大吟醸とやらは物凄く合う上に飲みやすかった。
「・・・ヴァージル。俺、どれぐらい飲んでる?」
「・・・俺に聞くな。ん?酎ハイが出て来たぞ!?」
「酎ハイって?」
俺は純米大吟醸を水の様に飲んでいる兄上にハッと閃いてしまった。
「兄上。酎ハイは物凄く美味い酒だが、二日酔いは必至だ」
「二日酔い?ジークは面白い事を言うねぇ。って言うか、美味しいなら飲まないとダメでしょ?」
そして、兄上は足取り軽くリーナの酎ハイを貰いに行ったのだ。
「・・・ジーク、お前・・・」
「・・・ヴァージル。俺は間違った事は言ってないよな?」
「・・・まあな」
その後、兄上は酎ハイを浴びるように飲み、カクテルなるものを散々飲んでからテーブルに突っ伏したのを見て、俺は満足して目を閉じた。
・・・ダメだ。頭が割れそうだ
「・・・今日の兄上はどうしてる?」
「本日、皇太子殿下は急遽特別休暇を申請されておられます」
・・・まあ、そうなるよな
「・・・そうか」
俺は次に目を開けるといつの間にか自室にいたので、待機していた従者に兄上の状況を確かめると、思った通りの答えが返って来たので再び大満足で目を閉じたのだ。
そして、昼も大分過ぎた頃に漸く何とか起き上がるとヴァージルがやって来て、リーナは元気に買い出しに行ったと告げられた。
「・・・あいつは二日酔いにならないのか?」
「・・・そうみたいだな。この前も二日酔いにはなってなかったし、金色獣人だからだろう」
そして、その日の晩餐はステーキだったのだが、ここでもリーナの出したハイボールとやらが美味過ぎたのだが、俺もヴァージルも二日酔いにならない様に節制したのは言うまでもないし、兄上もそんな感じだったのも言うまでもない。
・・・【禁足の塔】か。ロゼルナイト領にもあるよなぁ
次の日にリーナが朝早く来たと思ったら、これまで誰一人立ち入る事等考えもしなかった古代の遺跡である【禁足の塔】がまさかのダンジョンで、中に居るのは魔獣では無く闇堕ちした聖獣だと言うのを聞いてびっくりしたが、俺は肉よりも闇堕ちした聖獣と戦ってみたかった。
・・・こいつら似た者同士かよ!
俺は【禁足の塔】に入った瞬間にどこからともなく近付いて来た怪し気な女達の誘いに、兄上と白龍があっさりと乗ったのにはイラッとしたけど、リーナに速攻でしばかれていたので、まあ、良しとした。
だけど、一階のカエルは兄上が全討伐した事に、ちょっとイラッとしたのは許して欲しい。
・・・俺も戦いたいのに!
そして、仕方ないので二階の闇堕ちした聖獣とは戦うと決めていたら、今度はリーナが一発で全討伐してしまったのだ。
・・・まあ、焦げてるしな
俺は戦えなかったけど、リーナのあちこち焦げた毛を見て、さすがにイラッとはしなかった。
そして、三階で漸く俺は闇堕ちした聖獣と戦う事が出来たのだ。
・・・それほど強くはなかったな。って言うか、ラスター兄上も大変だよなぁ
俺は三階の闇堕ちしたウサギの聖獣との戦いを終えると昼飯の携帯食料を齧りながら、兄上が公務を放り出してここに来てる事にびっくりはしなかったがラスター兄上には同情した。
・・・この調子だと、後二・三階全討伐したら今日は終わりかな
そんな風に考えながら俺は四階へと向かったのだ。
・・・そう言えば、タヌキの聖獣もいたな
俺はちょっと複雑そうな表情のリーナを見てたら、白龍が聖獣の概念を教えてくれた事で、そのまま全討伐開始となったのだが、さっきのウサギは何だったのかと言う程には桁違いの強さと数の暴力で、終わった頃には夕方になっていた。
・・・疲れた
そして、リーナのちょっと燃えてハゲになった箇所のある尻尾を見ながら久しぶりの完全燃焼に疲れ切っていたら野営となったのだが、その日のタヌキの焼き肉とドライビールと言う酒は本当に本当に美味かったのだ。




